20231202 J1昇格プレーオフ決勝ホーム清水戦

ホーム清水戦。ヴェルディは4-4-2で清水は4-2-3-1でスタート。

ヴェルディの保持時はCBはフリーで持てるので森田がCF間又はサイドに流れて2CFの横から持ち上がりながら逆サイドへのフィードで前進しようとしながら不要なリスクを負わないん形ですけど、清水の圧力が強くそこまで上手くいってない感じなんですけど、硬さというよりも準決勝よりプレーをはっきりさせてきた印象です。逆サイドへのフィードでボールを持てた時は森田がサイドに流れてパス回しに参加して時間を使いながら隙を伺うような形で無理に縦パスを差し込んだりする素振りはないですね。サイドから仕掛けや繋ぎでポケットを狙うのと戻してからのファークロスはいつも通りの形。非保持はハイプレス志向ではあるんですけど行く行かないかはっきりしておらず中盤の突破されてしまったりしていて準決勝と似たような感じになってるシーンはありますけど、構えて前向きの守備ができている時は寄せたりスライドする所は安定してますけど乾が自由に動くのでそこの対応でスライドが間に合わない所はあるんですけどどちらを優先してケアするか?ならやむを得ないかなと。

清水の保持時は、2CBが大きく開いてのビルドアップで、乾が左サイドに寄ったり降りたり(DHのどちらかの方が多います)ゲーム.チャンスメイクに絡みながら自由に動くので秋葉監督が言ってるように戦術乾のいつも通りの形。右サイドでは中山と原にDHと乾が絡むのは同じですけどこちらは突破力がある分シンプルな仕掛けが多いです。蹴る時は左SHのカルリーニョスを狙って乾がサポートとCFのサンタナが受けてカルリーニョスがサポートするかのどちらか。前者では細かく繋ぐor逆サイドに展開して前進してきます。非保持はサンタナと乾が並ぶ4-4-2でCBまでは追わないミドルプレス(バックパスには追ってきます)なんですけど、制限をかけて意図的にサイドに誘導するって感じはそこまでではなさそうですけど受け手に厳しく寄せていく形。

エンドを入れ替えたのは逆光の影響なんでしょう。清水はキックオフで右DHの白崎からのリターンを乾が貰ってましたので序盤からガンガン行く気マンマンの様子。

清水は左サイドに寄って起点を作るいつも通りの形でまずは蹴るって所からって感じでは無さそうですけどスローインはお互いロングスローが多いです。ヴェルディにとっての右サイドで密集してデュエルが多くなる展開なんですけど、札束で殴られそうな雰囲気はありながらもしっかり対応できてると思います。

まずは清水に押される展開ですけどそれは想定内でしょうから特にバタつくような感じはないですね。

13分に高橋からの縦パスを受けた乾がターンと切り返しで稲見を剥がして逆サイドへの速いフィードで原に展開したチャンスメイクは流石としか言い様ないですね。清水はサンタナ目掛けてロングフィードを入れカルリーニョスがサポートする形が増えてきたので乾がいない時はこちらを基本線にしてるのかなと。

札束で殴られそうではありますけどヴェルディはしっかり構えるようになってからの守備は安定してますし、引っ掛けてカウンターになりそうなシーンを作れるようになってきました。

ティーナさんが基本中の基本を落とし込んでくれたのは間違いなくあるんですけど、城福監督もよい攻撃がよい守備からを体現してくれてるのでいい傾向だと思います。

中盤での攻防が激しい中清水の方がチャンスは作れてますがシュートまではいかせてないので相手にしっかり寄せて自由と選択肢を奪いながら身体を張る所はできてますね。

清水は右サイドで2DHが寄って細かく繋いで中央の乾を使ったり寄る形が出てきましたけどここも乾次第ではあるんでしょう。清水がピッチを広く使うと逆サイドを使われる事が多いですけど乾を見張る分(基本的に稲見)スライドが遅れてしまってますけどここはある程度やむを得ない部分はありますね。

ヴェルディロングフィードに対して清水ははっきりタッチに出すので、これを続けていけばチャンスが来る筈なので無駄なリスクを負わないと判断してるのかなと

もちろんお互い先制点が取れれば最高ですけど清水も守備意識の方が高くなってきた印象です。

両チーム共想定内のゲーム展開なんでしょうけどヴェルディとしてはもう少し陣地回復をしたいので深さを作る所は継続して見せていきたいですね。この後清水は個人能力で押し込んできますけどここは想定内でしょうし、ポケットに侵入した後中山も原もマイナスクロス(カットバック)のコースを見る傾向が結構あるので耐える事ができてるように見えます。

清水の圧力が強くヴェルディはほとんど相手陣内でプレーできてなかったので清水としては得点が欲しかったでしょうけど、走る寄せる競る闘うと所はできていたので想定内のゲーム運びだったと思います。

ヴェルディは引き分けでもいいとは考えてないでしょうけど受ける時間帯が長かったので深さを作りながらそこに相手が釣られたらライン間を使う所まで余裕がなかったように見えました。

繰り返しになりますが、少し受け過ぎだとは感じましたが想定内のゲーム運びだったように感じた前半。



後半、ヴェルディのキックオフはCBまで戻してサイドへフィードなのでここもゲームプランの違いを感じる所です。

後半はボールが持てるようになりましたけど清水の出足が前半より遅い印象なので押し込むよりある程度前線にスペースを作って刺した方がいいと判断してるのかもしれません。

バックパスをカルリーニョスに奪われてサンタナに決定機を作られたのを林がクリアしましたけどバックパスのミスだけは避けたいですね。

また清水が保持する展開になりましたけサイドでUの字で回してる事が多くブロックの内側を使われなければ大丈夫そうな感じです。まあ中央突破を前向きで奪われて逆襲を受けるのを警戒してるんだとは思うんですけどと書いたら1つ中央突破がありました

ヴェルディが押し込むとサイドで斜めのパスとレイオフで前進しようとしますけど後ろがケアできる位置にいるので枚数は足りてます。

宮原が奪って1人で運んでファウルを貰いましたけど、言うまでもないんですけど流石ですね。

60分にカルリーニョス→北爪へと交代して3-4-2-1へ変更。SBを山原と原にしたのもこのオプションを考えての事なんだと思います。

清水の並びが変わった事でプレスが噛み合わなくなってきました。

61分に原のクロスが森田の手に当たってPK。結果的に腕でとめる形になってしまいましたからね…これをサンタナが決めて先制されました。

66分に斎藤→新井へと交代。まあこの展開ならこうなりますよね。

清水は5-2-3で構えながらビルドアップを阻害するようになりましたけど無理をする必要はありませんので当然かなと

70分に山原と中山→吉田と岸本へと交代。後ろ重心にしてきたのでそういう事なんでしょう。清水は高めで構える時は5-2-3でベースは5-4-1へ変更してきました

なので中盤ではヴェルディが持てるようになりましたので横に動かしながら背後を狙う形が多いんですけど収めて起点を作った方が良さそうではあります。繋いでブロックの内側から崩せれば最高なんですけど、清水の圧力が強いですし逆襲のリスクを考えるとまだこの時間帯では難しい面はありますからね。ただラインコントロールやスライドの連動性はそこまでではなく人数をかける形なのである程度狙いながらくらいでいいかなとは感じます。まあここも個の能力を活かすって事なんでしょう。

74分に山田と林→綱島と平へと交代。平は左CBに入り谷口が左CBへ移動。

77分にサンタナが左サイドを抜け出した時にサポートが全くなかったのでこれでいいと判断してるんだと思いますけどサンタナのアクションを見る限り引きこもるより追加点を狙いにいきたいように見えますし、秋葉監督も超攻撃的なサッカーを目指すと言ってますからね。(実況の原さんはサポーターを煽ってるとおっしゃってましたが自分は味方にもっと上がって来いとアピールしてるように見えました)

中央は人数かけてサイドは吉田と北爪で蓋をさせる形なので中々攻め手を見いだせませんけど縦パスを差したりポケットへ落としたりと横に動かすだけになってない所はいいと思います。

81分に稲見と深澤→山越と長谷川へと交代。長谷川は左CFに入り綱島が左DHへ移動。単純なパワープレーをするつもりはないようです。

83分に腹と乾→神谷と北川へと交代。

長谷川が入ってCFの背後やライン間で起点を作りブロックの内側を使えるようになってきたので今までよりチャンスメイクしやすくなってきましたけど決定機を作れそうな雰囲気はないですね。隙を探しながらやれてるので今までよりはいいんですけど各駅停車のパスが多いのでこれでは相手を動かせないので難しいです。89分に森田が中央で起点を作って宮原に出してのアーリークロスを染野が合わせたのがここまでの決定機だったかなと

ATに入ってから1つ飛ばすパスが出てきて清水にスライドをさせられるようになったのでこれを織り交ぜながらやっていきたいですね。ロングフィードも増えてパワープレー気味になってきましたけどこれでいいと思います。

90+4分に神谷が中途半端にキープしたのを谷口が奪って中原から背後を狙う染野に合わせて運んだ所を高橋がタックルでとめてPKを獲得します。リードしてる中でサポートがない状況なら蹴るかタッチに逃れるべきですし、ライン設定も上げるか下げるかはっきりしておらず高橋もあそこで滑るべきではなかったので乾が怒るのも理解できます。このプレッシャーがかかる中でもPKを染野が決めて追いつきました。

形勢逆転になった事で清水にパワープレーを仕掛けてきますけど当然ですね。ただ誰をターゲットにして誰がサポートするかがはっきりしておらずあまり効果的には見えません。

パスが中途半端になった所を新井がインターセプトして運びましたけど自分でシュート打つより長谷川を使って時間を使った方がいいと判断したんでしょう。

このまま終了。



最後に、札束で殴り倒されそうな雰囲気はありましたけど、清水のCBはドライブ(コンドゥクシオン)をしないのでサイドに出た所からしっかりボールホルダーに寄せて競る闘うとベースの所と連動した守備が機能していて(攻撃の全てを司り自由に動く乾を稲見が見張る分スライドが間に合わないシーンはありました)決定機を作られてなかったのはよかったです。保持時はボールの受け手に寄せる圧力が強く相手陣内まで中々入れず前進に苦労した印象が強かったですけど、無理な仕掛けをしませんでしたからいい守備からいい攻撃を狙い後半勝負のゲームプランだったのかもしれません。

後半清水がやや圧力が弱まってボールを持てるようになってからは(清水が引き込んでひっくり返すゲームプランにしてきた可能性もありますが)サイドからの仕掛けと戻してファークロスといつも通りの形ができていたと思います。

ビハインドになってから各駅停車のパスで相手を動かせてない時間帯が長かったですけどポケットを狙ったり長谷川を投入して間を使ったりしながらチャンスメイクしてましたけどやはりあのPK獲得がターニングポイントだったと思います。あのプレッシャーのなかったでのPKは染野にとってこれからの財産になるでしょうね。

清水は個人能力をフルに活かすいつも通りの振る舞いでしたが、リードした時に個々がどうプレーすべきなのかがはっきりしなかったのがあのPKに繋がったように見えました。この特殊な状況では滑ってしまうのは理解できますけどロティーナさんを受け入れられなかった理由でもあったかなと。





今季はボールホルダーにしっかり寄せて自由と選択肢を奪いながら球際でしっかり競って闘うベーシックな部分の底上げが目立ったと思いますが、当たり前の事を当たり前にできる個人能力と戦術を及第点以上取れないチームが○○らしさを求めてもそれを得られるとは到底思えませんし、そういう意味では新しいヴェルディを創ると言ってもOBの皆さんが心配するような事にはならないと思いますよ。

そこにニアゾーン(ポケット)をとる背中から入ってくる人数をかける所を整備しながら誰かに依存しない(正確に言えばできないではあるんですが)攻撃ができていたと思います。

資金力に限りがあり若い選手を育てて活かしながらの難しいミッションだと思いますので、個人的にはサッカーという競技をやるにあたっての原理原則を浸透させていければ残留以上の結果は求めないつもりだったので正直この順位で終われるとは思ってませんでした。別に指導陣や選手達を信じてないとかそういう事ではないんですけど、このクラブの悪しき伝統であるテクニックはあるけど走れない競れない闘えない所や厳しく要求し合う所を変えていってほしいのが1番の願いだったんですよね。

もちろんコスパもあるでしょうけど、江尻強化部長もこの部分を改善する為に対人と走力に強みがある大卒選手を積極的にリクルートしたと思いますし、少なくとも来酷い内容だったと感じる試合がほぼなくなった所は満足してます。走り競り闘った結果なら例え負けても一定の満足度はありますからね。

それとクラブもお客さんを増やす(満足度を高める)為の施策を色々やってくれてますし、安定して上位にいた影響ももちろんあるでしょうけど観客動員でしっかり結果を出せたのでほんとクラブ一体になってたなと思います。

ある程度増えるでしょうけど自分が想定してる予算で残留はあまり現実的ではないんですけど、このベーシックな部分は変わらずやっていって欲しいと思ってます。