20240329 第5節ホーム京都戦

ホーム京都戦。ヴェルディは4-4-2で京都は4-3-3でスタート。

ヴェルディの保持時は、京都が人につく意識が高いので後ろ4枚で回しながら京都のSBの前にいるSHや上がったDH(見木)へのフィードやSBがいたスペースにCFが流れてチャンスメイクするか背後を狙う所に合わせる使うシンプルな形が多いです。繋ぐ時は森田がアンカーになり降りてボールを引き出しながらサイドを使っていきます。本来は上がりめの見木を使って内側から前進したいんですけど中々使えませんね。後半は相手の間の背後でフリーになってパスコースを作り(絶対のポジションってやつですね)ボールを引き出しながら中央を作って前進しながらサイドを使ってクロスとシンプルに背後を狙う形と併用しながらチャンスメイクしていきます。非保持はいつも通り4-4-2のハイプレスなんですけど京都は蹴る事が多く、SBが高い位置にいる分左SHの翁長が下がって5バックのような形になります。受けるというよりセカンド拾う隊を増やしたいのかな?って感じなのかなと。SBと上がってくるIHを誰がどう見張るのか?がいまいちはっきりしておらず押し込まれる事が多いんですけど、プレスでリズムを作れないのもありますけどデュエルで中々競り勝てずラインを上げられない影響の方が大きそうです。おそらく準備してきたであろう横圧縮の守備をさせてもらえない程京都の攻撃がシンプルかつ迷いなかった上で局面で劣勢だと難しいですね…

京都の保持時は両SBが上がってアンカーと2+1を作り両WGがかなり絞って密集を作った所やSBへのフィードでセカンドを拾い背後を狙えるなら背後、ダメならサイドに開いてクロスとこちらもシンプルな形が多く、当てたり収めたりするのをトリガーに後ろから選手が出てきてセカンドを拾ったりサポートする意識がかなり高いように見えます。繋ぐ時はWGとSBの余った方が持ち運んでからポケットを狙ったりGK-CB間に速いクロスを入れてきます。非保持は基本的に人につく意識が高いハイプレスで、両WGが1列目で原が少し下がって森田を見張りGKへ寄せる時は自分へのマーカーへのパスコースを切るように寄せていきます。それに合わせて後ろが押し上げて積極的に迎撃に出る意識が強いですね。ただ前に出る意識が高い分構えるとどこに制限をかけどこで奪うのか?がはっきりしない部分があります。

3分に跳ね返しがバウンドした所をトゥーリオのフライスルーパスし抜け出した豊川に繋がれましたが、十分間に合ってたと思いますのでバウンドさせずに処理したかったですね…オフサイドに助けられましたけど特に立ち上がりはもう少しシンプルにプレーしてほしいなと

5分くらいからフィードで中々競り勝てずセカンドを拾われる事が増えてきました。もちろん競り勝てれば一番いいですけど、そうでなくてもセカンドを拾う事はできるんですけどここの意識や予測は京都の方が上手ですね。ただネガトラの反応は相変わらずいいのでトランジションからチャンスメイクする方がうまくいきそうな印象です。

10分過ぎくらいから守備がハマらず押し込まれて奪っても奪い返される事が増えてきました。守備でリズムを作れない分噛み合わないようですけど、京都のSBと上がってくるIHをどう見張るのか?がはっきり定まってないように見えます。

守備からリズムを作れない事がビルドアップにも影響してるようで、相手のプレスを受けやすくなるようなボール回しで高い位置で奪われて再度攻撃されるようになってきました。京都が対策をしてきたというよりヴェルディが両WGが絞りSBが上がってくる所へ対応しきれてない事がデュエルやセカンドを拾う所にも影響してるような感じもします。まあそもそもデュエルで競り勝てずセカンドを拾う所でも劣勢なので押し込まれるのは必然なんですが

京都は押し込むと両SBが上がりIHの位置も高いので背後へのフィードを使って深さを作ってもいいかなとは思うんですけどCFが収めるようなフィードがかなり多いんですよね。ここで収められるのなら構いませんけど現状ではそうでもないので背後を狙って深さを作りプレスの出足を牽制する方が良さげに見えます。

個で剥がされるシーンも出てきてにんともかんともな状態になってきました。ここはある程度想定内ではあるんですけど組織が分断されるような形だと個vs個のようになってしまうので難しいですね…京都が密集でセカンドを拾い、そのタイミングで後ろから選手が出てくる所に全く迷いがないのも後手になってしまう要因の1つだとは思いますが


ロングフィードを胸トラップしてからのボレーで失点しました。シュート自体は豊川を誉めるしかないんですけど誰も豊川に寄せにいけませんでしたね…再三書いてますけど京都は収めるのをトリガーにして後ろから選手が出てくるのでラインを下げたんだと思いますけど、ボールホルダーに寄せて自由と選択肢を奪うのはチームとしての約束事ですからね。

森田が降りてビルドアップのサポートをするようになって最終ラインではある程度落ち着きましたがそこから先が合わないので中々形にならないのは変わりません。プレスが噛み合わないのもありますが、京都の強みである球際の所で劣勢になる事がこれだけ多いと難しいなと

26分に跳ね返しを拾われて原がポケットに侵入した所へのスルーパスからのシュートで追加点を取られます。この展開だと後何点取られるか?って感じになってきました。

見木がプレスを剥がしてサイドに展開して宮原のクロスでチャンスメイクしましたが、京都はSBが上がる分サイドが空きますし、松橋が絞ればカバーも連れていけるのでここは積極的に狙っていきたいですね。

30分過ぎから後ろで回してプレスを引き出してその背後を使う事ができてきました。京都の寄せが速いので判断を迷うと危険ではありますけどようやく形を出せるようになってきました。守備では横に圧縮する事でマークを噛み合わせるのでおそらくこれが準備してきた形だったんじゃないかなと

京都のプレスの勢いがある程度落ち着いたのもあるんですけど、主導権を奪うまではいかなくてもある程度押し返す事はできるようになってきました。最終ラインでボールを持って落ち着けるようになった分浮いたポジションをとる見木を使えるようになったので攻撃の幅が拡がったのが大きいですね。

プレスがハマらない分ラインを上げる事ができずにリズムを作れなかったのはありますけど、球際やセカンド争いでこれだけ後手を踏むとさすがに厳しいですね…

京都のプレスが落ち着いてからはボールを持ってサイドだけでなく空いた所を使って中央から前進できてるシーンもありましたし、用意してきた形であろう横圧縮の守備もやれていたので今までやってきた事や準備してきた事はある程度出せてはいたかなと。

両SBがWGのようになってWGが絞り、ポストプレイヤーに入ったのをトリガーにして勢いよく出てくると特徴的だったのはありますし、セカンドを拾いやすくする為に中盤にフィルター役となる選手がいても良かったかなとは思いますが、デュエルやセカンドの所でこれだけ後手になるとそれ以前の話になってしまうなと感じた前半。



後半頭から翁長と山田剛綺→斎藤と稲見へと交代して4-3-3へ変更。斎藤は右WG稲見は右IHに入り松橋が左WG見木が左IH森田がアンカーへ移動。ビルドアップがにんともかんとも状態なので受け手を増やして保持しやすい形に変えてきたようです。

後半に入りデュエル面はある程度良くなりましたけどセカンド争いでは引き続き劣勢なので引き続き押し込まれる事が多いです。

49分にマテウスのフィードを染野が落として松橋が抜け出しましたけどようやくやりたい形が出てきました。積極的に前に出てくる相手には深さをとるのは必須なのでこれをやりながらサイドを使っていきたいですね。

ゴールまで25mくらいなんですけど京都は壁を3枚しか置かないので直接より合わせてくると判断してるのかなと

守備では構えてから前に出ていくようにしてSBに前向きで寄せられるようにしてバックパスには追っていく形になったので安定してきました。

京都はコーナーキックマテウスの前に人数をかけるようになりましたが、前半はほとんど弾かれていたので出られないように修正してきたようです。

56分くらいからビルドアップ時に京都がそこまで勢いをもって寄せてこなく(これなく?)なったのでプレスを剥がして前進できるようになってきました。プレスの矢印を折ってサイドを使う程上手くいってる訳ではないので京都としては狙い所だと思うんですが、ボールホルダーに寄せきれなくなってるのでプレスに出られなくなった時の対応が現状の課題なのかもしれません。ここまでの京都の試合を観れてないのではっきりはわかりませんが

ヴェルディは時間と空間を得られるようになって余裕が出てきた事もあり繋ぎながらもプレスをひっくり返して背後を狙うシーンも出てきました。これが本来やりたかった形なんでしょうけどこれを激しいプレスの中で精度を上げていきプレス耐性を身につけていくしかないでしょうね。それとデュエルで競り負けるのはある程度やむを得ないとしてもセカンドを拾う所も含めてですね。

京都は原と左IHの松田が並んで4-4-2構えるんですけど、森田が頻繁に降りてくるのでプレッシングトリガーが中々定まらずに後ろが連動しにくくなってる印象です。ヴェルディは後ろに重くなってるので本来はどっしり構えても良さそうなんですけど疲労やあまり慣れてないのもあるのかなと

サイドに入った時に中央で平行サポートをしてボールを引き出す事もできるようになったので主導権を握れるようになってきました。

61分にヴェルディは深澤→山見へと交代。左WGに入り松橋が左SBへ移動。京都は豊川→宮吉へと交代。

山見や松橋も引き出す動きができてきてるので中断期間に城福監督の言う絶対のポジションをとる所は入念にやってきたんでしょうね。それと山見は縦横に仕掛ける意識が高くなってきたようでようやく持ち味を発揮できるようになってきたかなと

左サイドは山見が仕掛け、右サイドは斎藤が仕掛けるか内外からサポートする宮原を使う形で後ろは稲見と森田(もしくは松橋)がリスク管理してセカンドを回収する理想的な展開になってきました。とは言っても京都のプレスがかかりきらなくなったのとどこに誘導しどこで奪うのか?がはっきりしないのが大きな要因ではあるんですが

京都はフィードで収めたりスラしたりする所へのサポートが遅くなってきたのでボールを拾う事が難しくなってきました。出ていけなくなってきた時どうするか?が課題のようですけど、お互い尖った作りをしないと闘えない部分があるでしょうからある程度やむを得ない所もあるのかなと。これなら天皇杯の時みたいにはっきりローブロックで構えても良さそうではあります。

前後半ではっきり展開が変わりましたけど、年度末金曜遠方アウェイと三重苦の中来場された京都サポーター席から常に遠いサイドで試合をやってるのが申し訳ない所はあります。

ロングフィードに競り勝てない時でも距離が近くなった分セカンドを拾えるので、稲見が入ってフィルターになったのもあるんでしょうけどメンタル面の影響もあったのかなと

ヴェルディはかなり流動的なんですけど、誰かが空けた所に誰かが入るくらいで共有されてる様子。

京都は中央を固めてサイドはある程度くれてやるくらいな感じになってきましたけど、2点の貯金があるならこれでいいと判断してる様子。

74分にトゥーリオ→福岡へと交代。右IHに入り武田が左IH松田が左WGへ移動。

76分に松橋→綱島へと交代。左IHに入り稲見が左SBへ移動。見木より前目なので2CFのような形になりました。


78分に山見の仕掛けで左SBの福田と入れ替わった所で倒されPK獲得。果敢に仕掛ける姿勢が報われてよかったですね。これを染野が決めて1点差になります。

1点返したからか推進力が出てきたのでやはりゴールって大きいですね。

京都はSBの所にWGが前向きで寄せるようになったのでプレスでハメやすくなってきました。今までここがはっきりしてませんでしたからね。

京都がある程度持てるようになった分背後が空くのでオープンな展開になってきました。お互い決定機が作れるのでどちらに転がるか?といった所

ヴェルディは前線で綱島も収められるのでダイレクト気味な攻撃でも形を作りやすくなってきたのでサイドからのクロスが増えてきました。京都は原が頑張ってキープしてますけどサポートがやや遅いので疲労もあるんでしょう。

89分に原と松田→山崎と三竿へと交代。三竿は左SBに入り佐藤が左IHへ移動。

京都のプレス強度が上がってくるとまた技術や判断のミスが出てくるので時間を削られた中でフィードを含めどう剥がしていくか?が課題のよう


90+3分に稲見のフィードに綱島が競り勝って斎藤がフリーでGK-CB間へのロークロスに染野が合わせて追いつきます。綱島の所に2人いってしまいましたけど、ここまで走らされてきた最終盤にいっぱいいっぱいになってたんだと思いますがこれはヴェルディも経験してますからね。

パワープレーのようになってきましたけどゴールを割れずに終了。



最後に、このクラブはシンプルに球際で勝負してくる相手に苦戦するのは伝統ではあるんですけど、今節は城福監督が言うようにプレッシャーに屈したのは間違いないですね。

ただ京都のプレスが落ち着いた前半の終盤からはボールを持って絶対のポジションを使いながら内側を使って前進できていたので、しっかりポゼッションの準備をしてきたのはわかりました。

ただ厳しいプレスで時間と選択肢を削られた中でも空いた所を見て(相手の寄せ方を見てどこが空くか把握できるのが理想)使えるようにしていかないと難しい試合が増えそうな印象が強かったですね。

横圧縮のプレスは準備してきた形だと思うんですけどほとんど使う事ができなかったのでデュエルはある程度やむを得ないとしてもセカンドを拾う意識はもう少し上げたい所です。

ただ、形を変えたのもありますけど稲見と斎藤を入れて収められるようになってから押し返せてましたので、稲見や綱島のような中盤のフィルター役がいればデュエルやセカンドの所はもう少し変わったかなとは感じました。

松橋や山見がやるべき事をしっかりやった上で自分の良さを想像以上に発揮できたのは収穫ですし、今季は実戦の中で成長しながら闘っていくスカッドなのでそうでなくては困るんですけどね。

京都は攻守に渡って球際と出足を大事にするキジェ監督らしい振る舞いでしたけど構えた時の意思統一が今ひとつって印象でした。ただお互いJ1で闘っていくにはどこか尖った所を持たないと難しい所があるのは確かなのでどこでバランスをとるかは難解なミッションなんですよね。