20231007 第38節ホーム大分戦

ホーム大分戦。ヴェルディは4-4-2で大分は4-2-3-1でスタート。

ヴェルディの保持時は、左SBの加藤蓮を上げた3+1でのビルドアップ。森田が大分の2CFの背後に立って中央を閉じさせたり降りて宮原を上げる形を使い分けるのはいつもの形ですね。寄せがそうでもなければ持ち上がって陣形を歪ませて降りてきた染野やサイドを使って前進します。非保持はいつも通り4-4-2のハイプレス。2CBと噛み合うので寄せにいく迷いはないんですけど、左DHの弓場が降りてサポートするので寄せにいかない方のCFが見張ってSBはSHがつくようにハメ込みにいく形なんですけど大分が間に立ったり持ち運んだりして回避してくるのでそこまでうまくいってない印象です。

大分の保持時は、両SBを上げ(左SBの香川の方が高め)2DHとの2+2でのビルドアップ。左DHの弓場が低めの位置でサポートしながらヴェルディの2CFの間に立ちビルドアップの出口作り兼プレスの牽制役になります。SBは左DHの弓場が降りると上がり、逆サイドSBは事前に高い位置をとるのが約束事のよう。ビルドアップにGKを組み込みますけど、今までのように積極的にサイドチェンジを担う事は少ない様子。奪ったらSBが上がるのを待つ感じではなく(とはいってもSBが高い位置をとるタイミングが早いので既にいる事も多いですが)そこまで幅をとらずにクロスの他に中央をコンビネーションで崩しにいくような形もあり、サイド攻撃が主体だった今までの下平監督のやり方とは少し違うみたいです。非保持は4-4-2のハイプレスなんですが、SHも積極的にSBに寄せてくるのでハメ込み方は両チームよく似てますね。

ヴェルディのプレスが中々ハマらない中、大分は後ろの選手が積極的に出てくる分ヴェルディが押され気味の序盤戦。フィジカルを押し出しながら中央を見せる事でサイド攻撃を活かそうって印象です。(もちろん中央突破ができれば一番いいでしょうけど)それとSBが上がるタイミングが早いので今までより縦志向が強くなりあまり手数をかけずに攻め切る意識が高くなってきた印象です。

大分がハイプレス志向なのも大いにありますが、ヴェルディは河村と染野が背後を狙う意識が高い分いつもよりロングフィードが多い印象で、とれればそれでいいし相手を間延びさせられればライン間を使ってチャンスメイクしていく意識が高そうです。今節は4-4-2に近い形なんですけど、中央を割る所と前線に人数をかける意識づけを高めてきたようですね。ただ4-1-2-3に慣れてるせいかビルドアップのギクシャク感は否めない印象で大分としてはプレスに捕まって蹴らさせる事が多いです。4-4-2は事前に三角形(相手にラインコントロールとスライドを同時に迫る斜め前へのパスコース)を作れないので動いてパスコースを作らないと前進できないのでそこのズレみたいなのは感じます。

大分は中盤が降りてパスコースを作ったり、ヴェルディのハイプレスを牽制して空いた所から前進する判断がいいですし、ヴェルディはマークをはっきりさせられれば盤面をひっくり返せそうな展開。


中原が右サイドでキープして中に持ち出しながら斎藤に渡して稲見に落としミドルシュートを右隅に決めて先制します。多分ヴェルディはファーストシュートだと思うんですけど逆足で難しいコースを突けたと思います。

再開のキックオフ直後にバックパスをインターセプトした染野をペレイラが倒してしまいDOGSOで退場になりました。ゴールまでの距離に方向とボール支配の有無にカバーの可能性と要件を全て満たしているのでやむを得ないですね…

大分は右DHの羽田が右CBに移動して4-1-3-1になり香川が降りてビルドアップを安定させるようにして守備は4-4-1になりました。ここまで概ねやりたい事をできていた中で一気に厳しい状況になってしまいましたが崩れたり混乱してる様子はないのでコンセントがしっかりしてる証拠なんでしょう。退場者を出してしまうと前線を削る事が多いんですが、大分は中盤を削ってできるだけ構造を変えないのも大きい気もします。

ヴェルディは数的同数でプレスに行くようになりましたけど、これでもプラスワンを確保してリスク管理ができますのでこれでいいと思います。ただ大分の選手がプレッシャーラインの背後でかつヴェルディの中盤の横でフリーになってパスコースを作る動きが上手いのでプレスを剥がされる事が結構あるので、寄せるかスペースを埋めるかの判断をしっかりさせたい所です。

ヴェルディは後ろで回してゲームを落ち着かせるようになりましたが、リードしてて数的優位なのでこれでもいいと思います。ゴールから逆算されてないパス回しはこのクラブで1兆回くらい観てるんですけど時間の浪費には効果的ですし、背後を狙ったりするモビリティがあるのでスペースができたらそこに使っていけばいいですからね。

守備も最終ラインには持たせて出し手に寄せるミドルプレスに切り替えてきたのでかなり安定してきました。これなら蹴って前線に収めてもらうかシンプルに背後を狙う事が多くなるので守りやすくなりますし、今やるべき事にアジャストできてるのはいいですね。

ヴェルディアタッキングサードまでは進めますけど無理にコンビネーション等で狭い所を突破しようとすると前向きで奪われてスムーズなカウンターを受けやすくなるのでクロスやミドルシュートが多いですけどこれでいいと思います。

45+1分に背後に抜け出した河村を香川が倒す形になりましたけど、これは羽田がカバーできる位置にいたのでSPAになります。大分としてはリスクを侵さないと得点が難しいのでヴェルディとしてはこういうのを見せていくのは大事になりますね。

序盤は大分の方がやりたい事ができてましたが、得点と退場者で一気に流れが変わる展開になりましたが、大分はできるだけ構造を変えずにやろうとするのは好感が持てます。

ヴェルディは序盤は4-4-2のギクシャク感や大分のプレス回避が良かった事もあり押し込まれましたけど(途中からは事前に4-1-2-3のような配置になってましたが)、得点と数的優位になってからは無理せず時間を使いながら相手を動かしてスペースができたらそこを使えばいいって位のゆとりを持ててるのは良かったと思います。

退場者が出てしまうと一方的になる事が大半な中、展開としてはそこまで変わらなかったのが良かったなと感じた前半。



後半、大分はロングフィードをCFの伊佐がサイドに流れて収める事が増えてきました。ヴェルディのハイプレスの影響もあるのもしれませんけど、守備の対応しやすくなりますのでこちらの方が良さげに見えますし、むしろハイプレスで蹴らせる事を目的にしてる印象もあります。

大分はそこまで積極的ではないにせよ最終ラインにまで寄せてくるので、そういう時はセーフティに蹴るので不用意なリスクを追わずにゲームを落ち着かせたい様子です。変に色気を出して高い位置でセットプレーを与えたりスペースを空けてしまったりするよりこちらの方がずっといいと思います。

ヴェルディとしてはもちろん追加点を取ってゲームを終わらせたいでしょうけど、是が非でも勝ち点3が欲しいですし、攻撃も相手が前向きでボールを持つ事が難しい中央〜ファーへのクロスが目立つのでそれよりも失点しない事に重点を置いてるように見えます。

50分の河村の決定機は谷口の持ち上がりでプレスを引き出してリリースした所からニアゾーンをとった形でしたが、繋いで前進するには必須のスキルなのでリスクはありますけどCBはこういうプレーはしっかり身につけておきたいですね。

しっかり押し込んでれば秩序を保った配置をとりやすいのでカウンタープレスも効いてますし、リカバリーパワーの意識も高そうです。

大分は繋ぐ時はサイドで密集を作ってできるだけ数的劣位を隠しながら細かく繋いでレイオフで前進しようとするようになりました。密集してる分カウンタープレスもやりやすいですし、判断としてはいいと思いますけどあまり慣れてないような印象を受けます。

ヴェルディは最終ラインには持たせるミドルプレスになりましたが、伊佐のケアはできてるので受け手について前進を阻めばいいと判断したのかなと。もちろん当初のゲームプランだったかもしれませんが、ハイプレスだと受け手をケアしきれおらず間を使われてしまうからなのかな?とも感じます。

ここまでの展開を観る限りゴールから逆算されてないポゼッションでボールを保持するカテナチオをしながら時間を進め、大分がジレてスペースができるのを待つ方が安定しそうですね。もちろん河村の献身的なプレスはチームを助けてくれてますけど総合的に観るとそちらの方がいいかなって感じです。

70分に伊佐と梅崎と町田→長沢と藤本と松尾へと交代。前線の選手はどうしても運動量が多くなるので当然ではあるんですけど、数的劣位の中でかなり引っ張った方だと思いますので、ここまで上手くいってると判断してたのかもしれません。

72分に加藤蓮→平へと交代。ロティーナ監督の時はSBをよくやってましたけどそれ以来位ですかね?

大分が前に人数をかければヴェルディは1つ飛ばすパスでスペースを使いながら手数をかけずに前進するので落ち着いてますね。群馬同樣中央が固いので本来ならもう少し中央を割る縦パスを入れたりミドルシュートを打ちたいんですけど、リードしてますから相手ボールにしない方がトータルではプラスになるのでこれでいいと思います。

ヴェルディはときより中央に縦パスを入れますけど、基本的にはサイドから前進してニアゾーンを狙いながらもUの字のパスからクロスを入れるのでかなり落ち着ついた展開でゲームが進みますが、ジレてる様子がないのでチームとして意図的にやってる様子です。勝ち点3を得るには堅実な方法ですし実際必要なので、意思統一をしてネガトラ対応ができてればこれで時間を浪費するのが一番得策だと思います。

81分に坂→高畑へと交代。左SBに入り香川が右SBへ移動。

ヴェルディはここまで平しか交代がないですけど、ボールホルダーに制限をかけたりネガトラ対応は安定してるので、動くとすれば守備固めか大分がもう少しリスクを追って前がかりになってきたら山田を入れるくらいかなと。

86分に斎藤と河村→綱島と山田へと交代。

大分が前線に人数をかけてくるようになりましたけど、ヴェルディは守備固めをする感じではないんですけどあまりやってませんし、やはりボールを保持して守るやり方の方が安定しそうですからね。

90+2分に香川→保田へと交代。

90+4分に中原と染野→山越と奈良輪へと交代。まあそういう事なんでしょう。

大分の放り込みを耐えきって終了。



最後に、4-4-2にまだ慣れてない事もあると思いますが、序盤はマークが噛み合うような形でビルドアップが中々上手くいかずに蹴らされるような形でしたし、ヴェルディのプレスをズラすようなポジショニングで中々プレスがハマらず押し込まれてましたが、得点と退場者が出た所からガラリと展開が変わりましたので数的同数のままならどうなったか?とは思いました。

先制後のヴェルディはプレスに行く構えるの判断にメリハリが出てきてボールを保持しながら無理をせず時間を使いながらスペースができたら刺すような形で安定してゲーム運びができてましたので、守備を固める形ではありませんでしたがリーグ最少失点チームらしかったなって印象です。今は何より結果が大事になりますので無駄にリスクを負わずに危険なシーンを作らせなかったのは良かったと思います。

もちろん追加点をとれればゲームを終わらせられたと思いますが、数的優位でリードした状況を長引かせれば大分はリスクを承知で前がかりにならざるを得ないのでそこでできたスペースを突けばいいゲーム運びならヴェルディとしては一番勝利に近づけますし、勝負強さに繋がるんじゃないかなと。

大分はプレス回避や配置を合わせる(合ってたのかもしれませんが)プレスが効いていて主導権を握れてましたし、数的劣位になっても引きこもるのではなく前線ではなく中盤を削ってプレス回避しながら前進したりシンプルにスペースを突いたりして構造を維持しながらゲーム運びをしてたのは素晴らしかったと思いますし、何で2巡目に入ってからあまり調子が上がってこないのがが不思議でしょうがないです。下平監督を言ってましたが、数的劣位でこれだけやれる経験は必ず今後に活きてくるでしょうね。