20230902 第33節アウェイ金沢戦

アウェイ金沢戦。ヴェルディは4-1-2-3で金沢は4-4-2でスタート。

ヴェルディの保持時は左SBの加藤蓮を少し上げアンカーと3+1でのビルドアップ。金沢は最終ラインまでは寄せにこないので、アンカーの森田が2CF間に立ってピン止めしてCBに運ばせてSHが出てきたらフィードや空いたSBを使って前進していきます。ファーストディフェンダーにCBSBどちらに寄せるか?の選択肢を突きつけてる分金沢がプレスのスイッチを入れられないのでかなり効いてるように見えます。GKのマテウスを組み込む時は両SBが上がるのでプレス隊プラスワンの原則はしっかりしてる様子。フィードする時は染野が右サイドに流れて的になり右WGの中原や入れ替わるように前線に入ってくる斉藤が受けて突破や速いクロスを入れてくるので谷口が運ぼうとすると左SHの加藤大が出てきて左SBの長峰も連動して前に出てくるのでそのスペースを狙っているように見えます。非保持はいつも通り4-4-2なんですけど、金沢の両SBが上がるタイミングが速く同数で寄せられる分プレー方向に制限をかけるのは比較的やりやすそうではありますが、金沢は背後を狙う木村を使う事が多いのでプレスをおびき寄せる意図もありそうです。

金沢の保持時はSBが上がってサイド攻撃より木村が一発で背後を狙う事が多く、SBの上がるタイミングがいつもより早いのでアーリー気味に入れて木村を活かそうって事なのかなと。それと木村がポストプレーして2列目が飛び出してくる形もあります。非保持は4-4-2なんですけどヴェルディのCB(主に谷口)が2CFの脇から運んでこようとするとSHが出てきて連動してSBが上がってくるのでいつもよりゾーン気味なんですけど上記した理由でプレスのスイッチを入れられてないのもありそうです。マンツーのチームがゾーン気味になってたりプレスのスイッチを入れられてない問題もあり中々守備が定まらないような印象ですが、エリア近くではタイトに人についてきます。ただしマークの噛み合わせもしやすくなりますのでバックパスには積極的に追ってきます。

キックオフは大抵後ろからサイドに向けて蹴って競り勝ったりセカンドを拾って手早く攻めるのが立ち上がりの定番ですけど、最近は平から右サイドへフィードする事が多い気がします。金沢は右SBの方がサイズがないんですけど精度を優先させてるのかなと。

3分に谷口が持ち上がって斉藤が受けようとした所に迎撃にきた右CBの山本が倒れ込む斉藤に乗るような形で足首を捻ってしまったようです。金沢はマンツーなので球際に激しくいくのが決まり事なのでありがちではあるんですけどね。

金沢はクロスを跳ね返した後のラインアップが少し遅いので比較的自由に保持しながらクロスを入れる事ができてますけど、エリア内ではさすがにタイトに人につくので後1つってシーンが結構ありますね。

金沢の守備があまりはっきりしないんてすけど、マークの噛み合わせがしやすい分バックパスには積極的に追ってくるので安易なバックパスは避けたい所です。

CFの奥田が森田について4-5-1のようになるとその脇から谷口が運んで角度のある縦パスを入れるので空いた所を使う判断がいいですし、コンパクトな陣形を作れる分ネガトラにも活かされてるようです。3センターがマークを引き連れて降りてきた背後のスペースも使えてますし、ポジションチェンジや逆サイドに振る所含めチームとして空いた所の共有がされてる様子なので主導権を握れるようになってきました。

平はもちろん千田もそうなんですけど、空いた所に縦パスを差し込む事がかなり増えてきた印象なのでいい傾向かなと。

球際の攻防が激しいですけどマンツー志向が強ければ当然ですね。

20分に山本と孫へと交代。山本は接触以降やや動きが鈍かったので難しいかったみたいですね。

金沢は上記したようにSBが上がるのが早い分SHの絞りも早いのでしっかり制限をかけないと中央で受けられてしまうのでここはしっかりやっていきたい所です。

今節はファークロスが目立ちますが、前向きで奪われないようにしてカウンターを受けにくくするリスク管理をしながら死角から飛び込んでいくのを目的にしてる様子なんですが、GKを超える所までいかないシーンが多いですね。奪われた時に受け手のケアしているので前者の割合の方が高そうな印象ですし、特に木村には神経を使ってる様子。

クロスを跳ね返した後におそらくヤンツーさんだと思うんですけど上げろ!寄せろ!って言ってるんですけどそこまで反応がよくないですね…

29分に中原が縦に仕掛けてグラウンダークロスを入れてきましたが、縦を見せる事でよりカットインが活きてくるので積極的に狙ってほしいなと。

金沢に持たれてもクロスを上げさせないタイトな守備ができてますのでチャンスらしいチャンスは作らせてないですけど、ヴェルディのCBが背走して追う事もまあまあありますので木村にホームランを浴びそうな気配はあります。

ヴェルディは相手を寄せる為の緩い横パスと通す為の速い縦パスのメリハリが効いてるのも大きい印象です。
 
37分に斉藤が倒されましたが、加藤蓮がゆっくり横に運んでズレを作りながら相手を目線を引きつけて出した縦パスが良かったですね。

38分にそのフリーキックが相手の足に当たって先制します。押し込みながらも得点が取れないと前がかりになって逆襲を受けたりしますのでいい流れの中で得点できたのは大きかったと思います。

先制して元気になったのかヴェルディが積極的にボールホルダーに寄せに行くようになり、後ろも連動してついていきます。本来金沢がこういう守備をやりたいんだと思いますが

ヴェルディはやる事は変わらないんですが精神的に余裕が出てきたように見えます。まあ中々得点できてなかった中で先制できればそりゃあ違いますよね。

金沢はビルドアップしようにも両SBが上がってヴェルディのプレス隊と数的同数で簡単にプレーの方向を制限されてるのでSBかDHをはっきり降ろした方が良さげに見えます。それと木村が抜け出してもサポートが遅く孤立気味になってるのがもったいなと。


45+3分、稲見がサイド奥をとったとこからの戻しを斉藤が斜めの縦パスを入れ受け手の染野と中原が入れ替わってのミドルで追加点をとります。かなり難易度が高いシュートでしたけど1-0で折り返せればOKな流れの中で追加点をとれたのは大きいですね。

ヴェルディは緩い横パスと速い縦パスを使い分けながら空いたスペースを使って組織として前進できてしたのでネガトラも効いてましたし、木村に背後を狙われるシーンはありましたけどほぼ隙のないゲーム運びができていたと思います。その中で先制して更に追加点をとり精神的に優位になった印象です。

金沢にプレスのスイッチを入れさせなかったのが大きいのは間違いないんですが、主導権を握りながら先制した事で明らかにヴェルディの選手達の動きが変わりましたので、若いチームなので特にメンタル面の影響が大きいなと感じた前半。



後半頭から長峰と嶋田→レオバイーアと加藤潤也へと交代。

後半の金沢は横圧縮して木村へのフィードを拾ってサイドに展開するように修正してきたので必然的に人にしっかり寄せられるようになってきたのと、レオバイーアがしっかり降りてDHの藤村がアンカーのような位置で3+1の形に代えてきたのでヴェルディの2CFに藤村を警戒させながらレオバイーアの所で起点を作って前進できるようになりました。どちらもサイドに展開したら横や斜めのグラウンダークロスでチャンスメイクしてきます。

守備も数的優位のビルドアップに対して金沢の2CFが二度追いで対応するようになったので後ろがマークを掴みやすくなり今までよりもスムーズな前進が難しくなってきました。ヤンツーさんここはしっかり手を入れてきますね。

そして保持が安定したのでSBの上がりが活きるようになってきて五分まで押し返しました。

ヴェルディは基本的に変わらないんですけど金沢がタイトにマークにつけるようになったので前半以上に相手を動かすのを意識してほしいんですけど時間と空間を削られてるので少し難しそうな印象です。

ただ金沢はロングフィード時もポゼッションのように拡がった陣形をとる事があるのでセカンドを拾えないシーンがありますね。

押し込んでも今までより時間と空間がない中でもポケットをとる所まではいけてますし、本来はこれくらいのスペースでやらなきゃいけない事なので悪くはないと思います。

レオバイーアは中に入ったりターンしてプレスを剥がしたり独特の間があるので中原も対応に少し苦労してる様子。まともにデータがないのも大きいにあると思いますが 

58分に奥田→石原へと交代。流れがいいので動きやすいのもあると思いますが積極的に代えてきますね。

59分に長谷川と中原→新井と河村へと交代。両WGは攻守に渡って運動量が必要になりますからね。

WGの所でタメが作れるようになったのでコンパクトな陣形を作りやすくネガトラが効くようになり、レオバイーアにプレスがかかるようになったので両WGの疲労もあったんでしょうね。当然チームとしてしっかりバトンを渡せてるって事にもなりますが 

この修正でまた流れを引き寄せられるようになりました。

前半からレーン交換でスムーズに前進したり、空いた所を使ったりできてますが、染野がサイドに流れた時には河村がCFの位置で起点を作るようにしてようですね。

金沢はDHの藤村が最終ラインに降りるようになりSBを押し出し加藤潤也が絞る事で河村のを引きつけレオバイーアにスペースを渡して前進する形が出るようになりました。

新井の仕掛けや初速もそうなんですけど一番怖いのは急減速なんですよね。止まってスペースを作るのはクリスティアーノロナウド(三笘もそうですね)の必殺技でもあるんですが

リスク管理はしてるんですけど後半も引き続き木村にホームラン打たれそうではあります。

77分に金沢木村→杉浦へと交代。正直ありがたいなと。
ヴェルディは斉藤→綱島へと交代。右IHに入り稲見がアンカーへ移動。

金沢が前線に当てながらシンプルに前進するようになりましたがヴェルディマテウスを使いながらいなせてるので2点のリードは大きいなと実感する所です。

金沢が寄せられなくなってきて押し込む事増えたのである程度スタミナを温存させながら崩しにいけるのはこの時期にはありがたいでしょうね。

85分に森田が河村にポケットへ侵入するようジェスチャーで厳しく指摘してましたけどこういう積極性を表に出すようになったのはいい傾向だと思います。その直後に河村もポケットへランニングしてましたし、梶川が離脱してこの役割を負ってくれる選手がいないんですよね。

87分に加藤蓮→山田へと交代。右IHに入り森田がアンカー稲見が左SBへ移動。そして稲見に右SBの小島につけって事のようですね。

88分に山田が右SBの小島を引きつけてから稲見に渡して小島の背中からポケットへ侵入してのグラウンダークロスを染野が押し込んで3点目をとります。終盤に追加点はメンタルに効いてきますので大きな得点だったと思います。

金沢は特攻気味になってきましたけどこのままヘッドダウンするより遥かにいいと思いますよ。

奪われ方が悪くライン間にいる杉浦がフリーで前を向いてスルーパスに加藤潤也が反応するこの試合一番の非決定機がありますけどしっかり締めてほしいですね。

オープンな展開になってきましたが↑以外は隙を見せずに終了。



最後に、先制点がメンタル面をかなり楽にしてくれたのは間違いないんですが、金沢のファーストディフェンスを惑わせてプレスのスイッチを入れされなかったのは見事でしたし、相手陣でサッカーをしてバトンを繋ぐ所はしっかりできていたと思いますので理想的な展開だったのではないかなと。

スペースを作って誰かが入ったり空いた所を使って前進する所もできていてトランジションの反応も良く相手を寄せる緩い横パスと通す為の速い縦パスを使い分けられてるのも良かったですね。

ただ城福監督も言ってましたが不必要なバックパスが目立ったのは確かですし、レオバイーアにもう少し早く対応したかったのと奪われ方が悪いシーンがあったのは修正していってもらいたいですね。

柳下監督のコメント

正直、ヴェルディのほうが上。ボールを奪いにいく守備をずっとやっているけれども、近い距離でマークしなさいということもずっと言っている。ヴェルディの選手へのあのマーキングの距離では全部やられるということを分かってほしい、気づいてほしい。何回かボールを奪っているときは近い距離でいっている。ボール保持者に対してある程度プレッシャーを掛けて。それをやれるようにしないといけない。

攻撃に関しては前半低い位置から行っていたのでノーチャンス。後半立ち上がりはあったけど、ああいうのが入っていれば少しは変わるんだろうけど。いまのチーム状況を考えると、4回、5回チャンスがないと点は取れないのかなと。ボールを奪いにいく守備をずっとやっているので、もっともっとそこでやれるようにする。

攻撃に関しては後ろがあれなんだけれども、うまく前にボールを運べれば十分チャンスを作れる。選手が戻ってきたり、新しく来た選手を見ているとだいぶやれそうかなというのも感じた。あと10試合、勝点を取れるようにやっていく。


木村 勇大選手は1人でもチャンスを作っていたが、周りがあまり使えていなかった?

狙っていないというわけではない。ボールが出たあとの押し上げとか。立ち上がりに加藤 大樹がゴールキックから飛び出したけど、周りが遅い。近くの人がいってあげないと。大樹はサイドハーフなので、近くというとSBになる。あるいはトップ。それが非常に遅い。

勇大のところに出たら、相棒は少なくとも1人は近くにいかないと、1人ではやっぱり難しい。前半見ていて、(藤村)慶太が勇大の特徴を見抜いて、そういうボールを入れているけど、周りがそういう反応がない。あと10試合で周りがどう気づいて良さを引き出してやれるか。でも何年もやっていても、その選手の特徴を引き出すプレーが少ないチームなので、どうだろう。

今節両SBを早めに上げSHを絞らせるのは木村をサポートさせる為なのかなと思ったんですけどそこまで上手くいってなかった印象ですし、もちろん監督としてサポートはするけど(そもそもヤンツーさんは特別な事はやってないので)もう少し選手に気づきが欲しいようですね。ただ今節は左SHの加藤大が「俺、谷口と宮原どっち見るの?」ってなってたシーンが目立ったのでボールを奪いにいく守備ならDHを森田につかせもう一方のDHがつけないIHはCBが潰す!くらい割り切ってもよかったかなとは感じました。ただ後半のレオバイーアの所で起点を作って押し返した修正は見事だったと思います。以前ヤンツーさんには忌憚のない意見を頂戴したのでいつもより多めに書きました。あれは嫌味でもなんでもなく本当に感謝してますし、敵に塩を送るのは誰にでもできる事ではないので頑張ってほしいですね。