20210525 第18節ホーム金沢戦


ホーム金沢戦。ヴェルディは4-1-2-3で金沢は4-3-1-2でスタート。

ヴェルディの保持時は2CB+SBに理仁とSBが並ぶ3+2でのビルドアップ。噛み合わせ上SBが浮くのでここから運んで(宮本が多いです)縦パスや戻してサイドチェンジで前進していきます。金沢が人を掴みにくる傾向が強いので、列を降りて受け相手を敢えて引き出してからサイドを変えて前進する形も目立ちます。そこならサイドに展開して仕掛けたりクロスとコンビネーションで中央突破を使い分けます。

金沢の保持時は、ショートカウンターも狙ってますけど基本的ミドルゾーン~ディフェンスゾーンで引き込んでからのカウンターがメインの様子。CF(杉浦)が背後を狙いそこに入れるか、引き伸ばしたライン間で林が嶋田に落としてからもう一度背後や、上がってきたSBとIHや嶋田が絡んでサイドから崩すかクロスが狙いのようです。

ヴェルディの非保持時は、金沢はCFに背後を狙わせるのがメインなのでハイプレスはボールホルダーが前を向けない時に寄せ、そうでない時はセットとメリハリよく対応できでますし、トランジションの反応もいいので守備練習に時間を割いてきたんでしょうね。ただ両SBが上がった時のCBも1枚上がったりするので予防的マーキングの(カウンターの火種になりそうな選手をマークして奪う、最悪でよ前を向かせない)意識はもう少し上げていきたい所です。

金沢の非保持時は、ハイプレスは2トップがヴェルディの2CBへプレスにきてトップ下(嶋田)が理仁を見張る形。噛み合わせ上SBをフリーにしてしまうので積極的寄せてにいくって程ではないんですけどサイドに人がいない分ここのスペースを使われてます。本来は幅を使って前進させたくないと思うんですがあまり上手くいってない様子。セットは人を掴みにいく傾向が強いのは相変わらずですね。

3分に谷口からの縦パスを絞った竜士が引き出してスルーして理仁が受け、マイナスクロスを佐藤凌我がスルーして竜士の決定機を作れましたけど、人を掴みにくる金沢対策をしっかり仕込んできたようですね。

金沢は寄せの強度高い感じではないですけど人を掴みにくる分陣形が乱れがちになってますので、サイドチェンジで空けたスペースから前進して中央を使う事も比較的できてます。

今節はIHが降りて受けにくる事が多いんですが、金沢のプレスを引き出してスペースを使う意図のようなのでマンツー対策をしてきたんでしょうね。それと晃樹と理仁がポジションを入れ替える事が多いので晃樹が中央から運び理仁が展開する形を使っていきたいように見えます。

金沢はいいように薄いサイドを使われて前進されてるので強度を高めて連動して寄せるか、セットしてしまった方が良さげなんですけどここの所はまだあまり上手くいってない様子ですね。

10分過ぎから嶋田が右SHに入り通常の4-4-2にしてきました。プレスが機能してませんでしたので妥当な判断かなと。

金沢は後ろで繋いで疑似カウンターも狙いの1つのようですが、前を向ける時は寄せに行かず、そうでない時は寄せに行くとここの判断はしっかりしてますのでここでチャンスを作られそうな事はとりあえず無さそうです。

中央ではレイオフでプレスを引き出してから背後のスペース狙ったり、サイドに広げてからクロスやカットインとやりたい形は概ねできてますね。

20分くらいから嶋田がまたトップ下に戻りました。サイドでチャンスメイクするのがちと難しいという判断だったんでしょうか

金沢がセットすると最終ラインから持ち運んで陣形を歪ませる事ができてますし、ここまでの内容は文句のつけようがないんですけど、両SBが高い位置を取りCB1枚も高めなので予防的マーキングが薄く前向きで奪われた時のリスクヘッジは気になります。ヴェルディが中央突破を狙う時にはCBがファウルしてでも潰すようになってはいるんですけどね。

やりたい事が概ねできている分得点を取れれば一気に楽になると思うんですが中々モノにできません。

33分の失点は左サイドの空いたスペースを突かれた形ではあるんですが、松田のクロスが梶川に当たりタイミング的にもピンズドクロスになってしまいました。これはやむを得ない形ではあるんですがワンチャンスをモノにされてしまいました。

得点した事で金沢は余裕が出てきたのか、林が2度追いで2CBに制限をかけ、後ろが連動してプレスをかけにいくようになりヴェルディの前進を阻めるようになってきました。寄せにいく所と制限をかけにいく所のメリハリが良くなってきた印象ですし、4-4-2にして嶋田がはっきり宮本に寄せにいくように整理したのも大きいかなと。得点すればノっていける展開だったのはお互い様だったようですね(^^;)

その中でもスペースを作って運びサイドに展開してチャンスは作れてますので完全に流れを持っていかれてる訳ではないんですが

やりたい事は概ねできていて守備の行く行かないの所も整備してきたようですが、金沢にサイドで振り切られてからのクロスをモノにされてしまいました。

やりたい事は概ねできていて得点できていれば一気に流れを掴めそうではあったんですが、サイドを空ける癖を見事に突かれた形で失点してしまった前半。



後半、金沢は得点してからそうだったんですけど、金沢は4-4-2でセットしてミドルプレスとはっきりさせてきました。ただやはり人を掴みいく傾向が強いので背後を狙う動きについていきライン間が空く事がありますし、マイナスパスに対しての寄せがちと遅い印象があります。

ヴェルディが押し込む展開ですが、サイドや浅い位置からのクロスは徹底してファーポケット狙いなので相手の目線を振り回してズレを突こうとしながら披カウンター対策をしようって事なのかなと。(ファーへのクロスを拾われても前向きでクリーンに受けられる事は少ないので、その間にプレスをかけ攻撃を遅らせながらあわよくば奪い返す事もできます。ロティーナ監督が逆足サイドからのファークロスを多用してたのと同じですね)

金沢はマンツー志向の割りには寄せの強度がそうでもないので持たせてるという程安定してないので、ボールを持たれるのは仕方ないじゃん位で割りきってるように見えます。

ヴェルディはサイドに拡げてからポケットをとってシュートかマイナスパスからミドルで攻め込んでいきますが、金沢も最後の所は身体を張って耐えてます。

54分の失点は、深澤のマイナスクロスを前向きで奪われた所からのカウンターでしたけど、中盤でも止めきれずスムーズに前進させてしまいました。前線に人数をかけている時にやってはいけない奪われ方でしたね…まあその後ろでプロフェッショナルファウルで止めるのももちろんアリなんですけどカードと引き換えになるので何度もできませんし

宮本が利き足を切れば確率を下げられたかもしれませんが、縦に行かせてもやっぱり失点してた可能性が高いのでそもそもこういう形を作らせてはいけませんね。それ以前に予防的マーキングで出足を止めさせればいい訳ですし(^^;)

55分に林が無駄にボールを蹴ってカードを貰いましたけど、これは全くいらないやつですね。おそらくヤンツーさんに絞られた事でしょう。

失点してヴェルディは中央に無理目な縦パスを入れたりするようになりましたけど、それだと相手に前向きで奪われやすいので逆襲を受けますよね…固い中央にエイヤエイヤと縦パス入れてカウンターを受けるのはこのクラブの伝統ではあるんですが(^^;)

繰り返してになりますが、前向きで奪われると相手はクリーンに前進できますのでトランジションでも対応しきれない事も多くなるので、こういうシチュエーションを作らせたくないですね。

金沢はスペースがある時はシンプルに前進してきますが、そうでない時は急がないレイオフでサイドから崩しにきて、カウンターを受けそうになるとプロフェッショナルファウルで潰すとはっきりしてます。前節対戦した秋田もそうですけど、戦術的な約束事がシンプルな分やるべき事もはっきりしてるので意思統一をしやすそうな印象です。

63分に杉浦→丹羽へと交代。このままでやりながら隙があったら刺しにいくという事なんでしょう。

金沢は人を掴みにいく分スペースが空くのでつけ入る隙はありそうですし、得点できれば流れを変えられそうではあるんですが

66分に竜士と佐藤凌我→新井とバスケスへと交代。新井は左WGバスケスは右WGに入り小池がCFへ移動。押し込んでますから仕掛けができるフレッシュな選手を入れようって事なんでしょう。

空いた中央からサイドに拡げWGとSBやアンカーでサイドを崩してポケットへ侵入とやりたい形はできてるんですけどちと前がかりになってますね。まあこの点差ではやむを得ない部分はありますが

69分に嶋田と平松→大石と須藤へと交代。前線から制限をかけながら隙あらばというのは変わってない様子。

72分の失点は縦パスを前向きで奪われた所からのカウンターなんですけど、これだけスムーズに前進されてしまって戻りも遅かったら
どうにもなりませんね。高木和もよく二本止めたと思います。

74分に晃樹と宮本→端戸と阿野へと交代して3-4-2-1へと変更。金沢が人を掴みにきて中央のバイタルが空き気味なのでそこをもっと使っていきたいのかなと。

金沢は危ない場面は作られてるんですけど、しっかり戻って身体を張り耐えてます。ここの意思統一ははっきりしてますね。

79分に林→力安へと交代。交代策は終始一貫してますね。

81分にも前向きで奪われカウンターを受けましたけどこれなんですよねー。そもそも寄せがいまいちなのもあるんですが

83分に深澤→奈良輪へと交代。

ヴェルディが押し込み金沢が身体を張って耐える展開が続きますが、点差もあるので金沢は落ち着いてるように見えます。

90+1分の得点は、奈良輪のクロスを小池が中央に入ってきて上手くスラした形でした。人を掴みにくる分意図を外したって感じに見えます。

押し込むもこれ以上のゴールは割れずに終了。



最後に、最終ラインから中盤に持ち運んで列を降りて受け相手を敢えて引き出しスペースを作ってからサイドに拡げたりサイドチェンジで仕掛けやコンビネーションで崩すとやりたい事はできてましたし、得点できれば一気に流れを掴めたかもしれませんが、毎度お馴染みになりつつある空いたサイドのケアができてませんでしたね。

予防的マーキングで最低でも攻撃を遅らせる所だったり前向きで奪われない形を作る所ができてなかったのは痛かったんですけど、危ないシーンで全力で戻ったり身体を張るボールホルダーに寄せるという基本的な所で差を感じました。

ここはクラブの長年の課題ではあるんですけど、これはテクニック・フィジカル・タクティクス以前のサッカーのルールから導き出された原理原則を話しなのでここをクリアしないとどれだけ補強しようが全く意味がありませんからね。


堀監督のコメント

結果と内容というバランスのところで、次節以降により守備を意識した戦い方を選択するなどの変更は頭の中にありますか?

今日に関しても失点しないという取り組みをやってきました。1失点目はスローインに関する守備の切り替えが良くなかった。2失点目は攻め込んだ後のクロスが引っかかり、攻撃の最後の部分に加えて、リスク管理の両方でうまくいかなかったところがありました。3失点目は自分たちのパスミスから始まったものでしたが、その原因をまずは見つめ直したいです。失点を減らす取り組みは現在もやっていますが、それがうまくいかない状況が続いています。ただ、自分たちが失点を減らすところに関しては、自分たちの方法論の下で進んでいるところです。

堀監督は予防的マーキングでカウンターの火種になりそうな選手をマークし、最悪でも前を向かせない所を軽視してる訳ではなさそうですし、ビハインドで前がかりになり過ぎてしまったのはその通りなんですけど、そもそも相手に前向きで奪われない形を作って守備をしようって事なのかなと感じました。実際逆サイドポケットへのクロスは多用していたので披カウンター対策はしてましたけど、それでしたら角度のない縦パスや中央突破、アタックゾーンでの横パスは控えさせた方がいいのではないかなと。


柳下監督のコメント

やられても仕方ないプレーがたくさんあった。それを相手が外したり、(金沢は)なんとか体を張って防いだりしていた。それで、逆に金沢の選手は何度かのチャンスを決め切って、この結果になった。

金沢の選手はやるべきことをやったが、それをヴェルディの選手が上回り、危ない場面を作られた。難しい中でも、やるべきことはやっていた。逆に、ヴェルディの選手たちはやるべきことを何回かやっていなくて、やられたというところがあったと思う。

ヤンツーさんがこの試合の感想をほぼ言ってくれてますが、折角送っていただいた塩なのでこれを糧にしていくしかないですね。繰り返しになりますが、ここの部分はテクニック・フィジカル・タクティクス云々以前の話しになりますので

奈良輪もほぼ同じ事を言ってくれてるので何かしらのきっかけになってくれればいいんですが