20230521 第17節アウェイ山口戦

アウェイ山口戦。ヴェルディは4-2-3-1で山口は4-1-2-3でスタート。

ヴェルディの保持は、両SBが上がって晃樹と並ぶ2+3のビルドアップ。稲見が上がって北島の左サイドに流れて河村と役割が逆になる事もありますし、晃樹と入れ替わってる事もあるのでここは流動的にやってる様子。相手を引きつけて足を止めさせてからその背後にいる味方を使えてるのでスムーズにビルドアップができてます。そこからサイドに展開してSBが関わってクロスが基本線なんですけどこの形をいつもより意識的に増やしてるように感じるので山口がクロス対応にやや問題がある所を突いていきたいのかなと。非保持はいつも通り4-4-2のハイプレスですけどいつもより出足がいいように見えますので山口の選択肢を限定できてる分受け手の所で奪ったり最低でも前を向かせない対応ができてます。

山口はの保持時は、左SBの石川を上げた3+1のビルドアップから中盤に当ててサイドに展開するか左WGの梅木又は中央の皆川に当てる形が多く、アンカーの矢島からのフィードも含めヴェルディのプレスをひっくり返す意図が強めに感じます。繋ぐ時は中央に当てる又は直接サイドに入れてSBのオーバーラップを促しながらIHがスペースへアタックしてチャンスメイクしてきます。非保持は4-2-3-1でヴェルディの配置に噛み合わせてサイドに出た所をプレッシングトリガーにして寄せにいきますが、運ぶドリブルには構えて対応するんですけどここが少しはっきりしてない印象があります。

まずは行ったり来たりの忙しい展開ですが、ヴェルディは相手を引きつけてその背後にいる味方を使ったり、ポストプレーのサポートも速く比較的スムーズに前進できてます。

7分にオーバーラップしてきた宮原のフワッとしたクロスを河村が合わせて早々に先制します。ここまで両サイドからクロスを入れる意識が高めでしたのでそれが実る形になりました。

12分に矢島からのフィードを生駒が背後に抜け出して右足でトラップして左足でシュートと入ればスーパーゴラッソでしたがヒヤリとしたシーンでした。その後の大輔もそうでしたけど右サイドは中央へ入ってくる動きが多いみたいですね。

13分頃からIHのどちらかが皆川と並んで4-4-2でハイプレスにくるようになりましたが、ヴェルディの最終ラインに自由に持たせない方がいいと判断したのかなと。

ただ山口の寄せの強度がそこまででもないのもありますが、ここまでビルドアップやポストプレーは比較的スムーズにできてます。

逆に山口はヴェルディのプレスで前を向けないシーンが目立つので中央をビルドアップの出口にするのがやや難しそうですけど、矢島へのレイオフからなら一気に展開できるのでそこまで収支マイナスになってないように感じます。

17分にバスケスと宮原でボールを引き出しながら中央の北島を使ってポケットへ差し込むスルーパスの折り返しを逆サイドの深澤が詰めて追加点をとりましたが、この形はおそらく今季一番見る得点パターンですね。潰れた河村と前に出ていった2DHが効いてたのもありますがバスケスと宮原で時間を作れるのも大きかったと思います。

運ぶドリブルと背後へのフィードへ加え中盤も流動的に動くので山口の守備が後手に回りがちなのもあるかもしれませんが、ヴェルディとしてはここまでやりたい事は概ねできてます。

22分にGKの寺門がスリップして山田が奪った所からのバスケスのシュートを寺門がエリア外で手を使って止めてしまい退場となってしまいました。まあGKならとっさに手が出てしまうのはやむを得ないと思いますがエリアの外でしたからね…時間がかかったんですけどメインスタンド側の副審は自信ありげのようなので助言があったんだと思います。

28分に五十嵐→チェヒョンチャンへと交代。保持時4-3-2非保持時5-3-1へと変更。

山口は大輔か最終ラインに降りて梅木と皆川に当てたり背後を狙わせたりする形をはっきりさせてきて、ボールホルダーに制限をかけきれずボールを前進される事になるので後ろの人数を合わせてきたのかなと。

梅木だけでなく皆川も左サイドに流れてロングフィードを受けるようにして大輔のロングスローてチャンスメイクするようになりましたが、セットプレーは数的劣位は関係ないですし勝機を見い出すのは理に適ってると思います。

ヴェルディは今までより宮原と稲見が降り気味になる3+3や4+2のビルドアップになったので保持を安定させて隙を作らないようにしてきたようです。

ヴェルディはカウンターや縦に速い攻撃の時や、最終ラインを中心にパス回ししてる時はいいんですけど、ポゼッションになった時に攻めるのか時間を使うのかがいまいちはっきりしてない分中途半端になってるので怖い部分はあります。山口が奪いにこないのであれば無理をするよりカウンターになりそうな形で奪われるのを避けた方がいいですからね。

数的劣位になったチームあるあるなんですけど攻撃時にやるべき事がはっきりするので奪われ方のコントロールをしてほしいですね。後ろで回して時間を浪費してもいいんですけどテンポを落とし過ぎるといざって時に対応できなくなってしまう事があるので急ぎ過ぎない方が良さげに感じます。

山口の寄せがそうでもないのもありましたが、運んで相手を引きつけてから背後のスペースを使いスムーズなビルドアップができてましたし、スペースがある空ける所の共有もできていて切り替え時の反応やハイインテンシティも保たれていたので安定してました。ただ数的優位になった後は攻めるのか時間を使うのかがはっきりせず前向きで奪われて逆襲を受ける形もありましたので振る舞いをはっきりさせてほしいなと感じた前半。



後半頭からヴェルディは山田→阪野、山口は池上と生駒→神垣と高橋へと交代。ヴェルディは背後にスペースができにくくなったからなんでしょうし、山口は守備と機動力のケアなんだと思います。

山口はハイプレス志向を強めてきましたがヴェルディは4+2でビルドアップをする分捕まえきれないのでセットするようになりました。

ヴェルディはDHへ差し込みながら回して山口のプレスを呼び込んで背後を狙うようになりましたけど、疑似カウンターの方が攻守共に安定すると思います。

押し込んだ時はサイドで手数と時間をかけながら相手が前向きで奪いにくい分カウンターを受けにくいファーポケットへのクロスと攻め手を変えてきたようです。

山口は奪うと神垣の推進力で運ぶ形ができたので手札が増えましたし、数的劣位のチームは意思統一がはっきりしやすいのでできるだけカオスを排除した試合運びをしたいですね。上記しましたがパスを回してるだけだと奪われた時の急激なテンポアップに対応しにくいのでここの塩梅が難しい部分ではありますけど山口は点をとらなきゃいけないのでその内必ず出てきますからね。

ヴェルディがDHまでで回す事が増えてかつ縦パスでテンポアップもできてるので秩序を保ってゲーム運びができるようになってきました。リードしてますしこれでいいと思います。

山口は中々奪い所を設定できてないので、映ってないのではっきりはわからないんですけど最前線が最終ラインと駆け引きして深さを作ってるんでしょう。背後とライン間のスペースを同時に狙う形があるともっとスムーズに前進できそうな感じはあります。

64分に深澤→加藤弘堅へと交代。左DHに入り稲見が左SBへ移動。ボールを前進させる形があまり作れてなかったのでそのテコ入れなのかなと。それにカウンターケアの為にあまり前線に人数をかけたくないのでボールの分配を強化した方が良さげに見えます。押し込んだ時はファークロスやミドルシュート等カウンターを受けにくい形で終わらせたいなと

マテウスのフィードを河村がサイド落としてバスケスが抜け出したようにあまり人数をかけずに決定機を作っていければいいですね。

72分に北島と河村→加藤蓮と佐川へと交代。機能性は変わらないのでバトンの繋ぎのようです。

76分に皆川→野寄へと交代。

佐川がライン間でごく自然にトップ下やってるんですけどこういうタスクもしっかりこなせるんですね。

ヴェルディはあまり決定機を作れてないですけど、ジレずに秩序を保ってゲーム運びを継続できてるのは凄くいいと思います。

80分に石川→沼田へと交代。山口の選手はここまで走らされてますからね…

84分くらいから山口はリスクを負ってプレスに出てくるようになりCBの前が中盤に上がり枚数を増やしてきました。

綱島がハンドで警告されましたがこの展開でのカードはもったいないですね…

山口のリスクを負ったプレスで受けるようになるシーンが出てきましたけど、数的優位で主導権を渡すような形になってしまってるのはいただけない部分がありますね。身体を張る所はしっかりしてるんですがプレスをひっくり返す形はほしかったかなと。

90+3分に晃樹→西谷へと交代。

最終盤に押し込まれて決定機を作られた所はいただけませんでしたがそれ以外は安定した試合運びで終了。



最後に、山口の寄せがそうでもなかったのはありますが、攻撃ではスペースを作ったり認知してスムーズにビルドアップができてましたし幅を使って攻撃して2得点、守備はいつもより出足が良く前進させない最低でも相手に前を向かせない形ができてましたので完璧に近いゲーム運びができてましたが、相手が10人になってやるべき事や意思統一が整理されてからあまりチャンスを作れてなかったのと、攻めるか無理せず時間を浪費するかがはっきりしてなかった事に加えこの展開でカードを貰ってしまったのはもったいなかったかなと。

ただ後半は最終盤にリスクを負って攻めてきた時以外は秩序を保ってゲーム運びができてたのは良かったと思います。

山口はボールを保持して守備機会を減らす事が守備になってる部分もあるので、数的劣位になりボールを持たれると攻撃面は特に厳しい所があったと思いますが、クロス対応に少し問題があるように感じますのでここの修正を進めていってほしいですね。