20220417 第10節アウェイ山口戦


アウェイ山口戦。ヴェルディ山口共に4-1-2-3でスタート。

ヴェルディの保持時は、バックパスでGKまで戻してからのフィードで盤面をひっくり返す形が多く、佐藤凌我がIHに落としてWGに展開していきます。ビルドアップはCB+山越から理仁を経由して加藤蓮につけてからWGに出して仕掛け、ダメなら戻して逆サイドを使っていきます。こちらはバスケスは仕掛けるよりフリックで晃樹に出したり内側への斜めのパスで突破を計る事が多めです。

山口の保持時は、ビルドアップではCBが大きく開いてアンカーの佐藤謙介と三角形を作り、SBがアンカーと同じ位の高さでWを作る2+3の形。WGが降りて受けてフリックでIHに出しSBが上がって(WGとSBが逆になる事も多い)前進する形が多いです。ヴェルディと同じように盤面をひっくり返すフィードもありますがこちらはWGに向けてが多めです。

ヴェルディの非保持時は、ハイプレスは山口が2+3のW型でビルドアップするので、佐藤凌我がCBに寄せて晃樹がアンカーを見張る形。晃樹がCBに寄せる時はアンカーへのコースを消しながらCBに寄せにいきSBに出させたらWGが寄せていきます。ただ連動しきれずにスペースを使われてるシーンが結構あるんですよね。

山口の非保持時は、ヴェルディと同じように4-4-2になんですけど左WGの大輔を前に出す形。スライドをする分中央が空いてしまう事があり3センターの守備力(フィジカルやタクティクス)が求められますが、WGを前に出してる分カウンターはやりやすくなります。ちなみにベレーザもこの形ですね。そして理仁は佐藤謙介が出てきて見張るのでヘナンがその背後を埋める形。

今節の加藤蓮は中盤に絞らずにサイドに張る形。おそらく右WGの吉岡の背後で加藤蓮や梶川に受けさせてビルドアップの出口にしたいのかなと。

バスケスは右サイドで利き足でボールコントロールしながら仕掛けと中央への斜めのパスを出せるのでチャンスメイクの部分で効いてますね。

山口のハイプレス時は構造上ライン間が空き気味になるので(オフサイドの関係上最終ラインがセンターラインを越えられない為)ここで上手く収められるとチャンスになりそうではあります。ヘナンが出る分佐藤凌我へのフィードが多いんですけどIHをもっと使っていきたいなと。

保持時にサイドで起点を作れた時にSBがインナーラップしてくる形は本当にスムーズになったので完全に板についてきたようです。

ヴェルディはかなり強めの縦パスをCFに入れるんですけど、角度が無いので相手に前向きで奪われカウンターを受けるシーンがいくつかあるので、落としを受けられる状況以外では避けてほしいなと。

16分に右SBの石川に新井が寄せていった時に佐藤凌我がバックパスのコースを切りにいきましたけど、大分のようにGKからやり直す事が多いチームならGKへのコースを切りながら後ろからCBに寄せるのをプレスのスイッチにするっていう手はありますね。

理仁から加藤蓮がフリックで受けた時に相手のプレッシャーラインの奥で梶川と新井がいるんですけどここをあまり使えてないんですよね。

ビルドアップで中々進めず蹴って回収され再攻撃を受けるシーンが続きますが、相手を引き出して盤面をひっくり返すのがゲームプランであるのならWGの人選が違いそうな気はします(^^;)

22分に佐藤凌我についてきたヘナンのいたスペースにバスケスからのスルーパスで決定機になったシーンがありましたが、こちらの狙いがメインなんでしょうけど。

25分くらいからヴェルディのハイプレスがどこに制限をかけて誘導したいのか?がいまいちはっきりしないのと、トランジションを含め寄せの強度の問題で簡単に剥がされるようになってきました。前と後ろで行くのかセットするのかの意思統一が合ってない印象。なのでミドルゾーンの奥くらいからの方がはっきりセットできる分守りやすそうですね。

ここまでボールポゼッションで上回っているのはわかるんですが、山口はシュート1本しか打ててなかったんですね。それだけ最終ラインのカバーリングが効いてるって事なんですが

どちらが主導権を握るって展開ではないですが、中盤の選手を効果的に使えているのは山口の方なのでどちらかと言えば山口のペースなのかなと。

ヴェルディは背後に蹴る事が多いですが、出し手と受け手の意図がいまいち合ってないので、シンプルな形よりレイオフの落としを合図に落とし手が背後を狙う方が良さげな感じです。

41分の失点は、シュート自体は田中誉めるべきなんですか、谷口が迎撃に出た所でボールホルダーが前向きで持てる状況だったので、谷口が戻る時間を作る為にもボールホルダーをオープンにすべきではなかったですね。

45+1分に新井→梶川→理仁へと下げて山口のラインを押し上げさせてから晴也へのフィードで決定機を作れましたが、ラインのギャップを上手く突けたと思います。

膠着状態ではありましたけど、ハイプレスの連動性にちと差があったので山口の方が中盤の選手を上手く使えてた分優勢だったかなと。シュート自体は田中を誉めるしかないんですけど、ここもボールホルダーをオープンにしてしまった所からでしたからね。

終盤の晴也のヘディングが入ってれば展開が変わったかもしれないんですけど、ハイプレスの連動性や強度の部分で物足りなさを感じた前半。



後半、ビルドアップ時に佐藤凌我がサイドに降りてきてバスケスとの壁パスで突破しようとしましたが、ヘナンが出てきた所を狙う意図は前半からありましたからね。

前半から背後を狙う所で出し手と受け手の意図が合わない所がありましたが、プレス時に後ろの押し上げが弱いのでちと間延び気味になって間を使われてきてます。

51分に新井を仕掛けからインナーラップしてきた加藤蓮を使ってクロスのシーンがありましたが、人を使えるようになるとより仕掛けが活きるようになりますしいい判断だったと思います。

CBが持ち運んで理仁が平行でサポートしてからの縦パスは前半には無かった形ですが、相手の陣形を歪ませるには効果的だと思います。

ここまでゴールキックをCBが蹴ってGKに渡す形があるんですが、これは中央を起点にビルドアップをする為にセティエンがやってました。本来は中央(IH)を経由したいんでしょうし、使えれば決定機までいけそうなんですけど中々そういう形を作れませんね。

62分の得点は、高木和の縦パスを加藤蓮→梶川→新井のスルーパスに晃樹が抜け出し逆サイドポケットへのアーリークロスバスケスが受け中央への斜めのパスを佐藤凌我が押し込む綺麗なカウンターでした。

山口は少し前からちと強度が落ちてきてるのでひっくり返しやすくなってきてますし、追いついて元気が出てきたのかヴェルディのプレスの強度が上がってきました。

67分の失点は、ゴール自体は石川を誉めるべきなんですけど、その前に山口の2人に対して5人行ってましたからね…その前の微妙な判定の影響があったのかもしれませんが

押し込んだ時はサイド(主に新井)を使い仕掛けるかインナーラップをしてきた加藤蓮からのファーやグラウンダークロスで決定機を作っていきますが、新井が仕掛けるか人を使うかの判断はやはり良くなってますね。

72分にバスケスと梶川→小池と大雅へと交代。大雅は右IHに入り晃樹が左IHへ移動。

74分の失点はPKなんですが、橋本からパスを受けた大輔が仕掛けた所へのトリッピングでした。

追加点を取って山口が元気になった分プレス強度が上がってきました。迷いがあったりするとかっさわられそうです。

ヴェルディはIHがアンカー脇に降りてきてからサイドに叩いて前進するようになりました。ここまで中央を起点にできてなかったのでその修正なんだと思います。

77分に山越→井出へと交代して3-1-3-3へと変更。理仁が左CBで晃樹がアンカーで大雅の脇に加藤蓮と山越が上がる形。背後を狙う小池に合わせる事が多いです。

81分に佐藤謙介と大輔→神垣と沼田へと交代。

ヴェルディは中央が厚くなったので中央突破も含め押し込んでいきます。山口が2点差がある分幾ばくか気持ちに余裕があるように見えます。「失点したとしてもまだリードしてるし」みたいな感じ

85分に加藤蓮と佐藤凌我→深澤と竜士へと交代。深澤は左CBに入り理仁がアンカー晃樹が左IHへ移動。

88分に池上と田中と岸田→眞鍋と佐藤健太郎と兒玉へと交代。

山口はまたハイプレスにくるようになりました。セットするよりこちらの方がやり慣れてるようですからね。

2点を追いかけなければいけないので縦志向になってますがリスクを負う必要があるのでここはやむ無し。ブロックの内側を使えてはいるんですけど最後の1歩がっていう展開。

山口のブロックを崩せないまま終了。



最後に、大分戦で何度もGKに戻してやり直されていたのでミドルプレスに変えたら上手くいった成功体験の影響もあるのかもしれませんが、前節同様ハイプレスの連動性の問題がトランジションにも影響していた印象です。

それでしたら、例えばCBがボールを持ってる時にGKへのコースを切りながら後ろから寄せて受け手にはマーカーをつけるのも1つの手かなと。そうなるとどうしてもプレスに行く人数が足らなくなるので最も影響が少ない(CBは後ろから寄せられるのに慣れてませんし、逆サイドへのフィードは難易度が高くかつ到達するのに時間がかかるので)逆サイドWGは捨ててしまってもいいかもしれません。

2失点目以降は難しい判定の影響があったのかもしれませんが、若い選手が多かったので一度締められる選手がいたら違ったかもしれませんね。(思いつく限りでは加藤弘堅かなと)まあこれは後付け論なんですが。

プレスの修正はもちろんなんですけどメンタル面への影響がありそうな感じなんですが、前節と今節と次節は全く違う試合なのでまた1から取り組んでいってほしいなと思ってます。