20230507 第14節アウェイ長崎戦

かなりの雨でセンターサークル付近ではボールの止まるアウェイ長崎戦。ヴェルディは4-1-2-3で長崎は4-2-3-1でスタート。

ヴェルディの保持時は、シンプルに山田目掛けて蹴る事が多く、収められればそれでいいし、跳ね返されても押し上げてセカンドを拾うor相手が拾ったら積極的に迎撃に出て奪って前進する形がメインのよう。山田は左右に動きながら収められてますし、前を向けそうなら向くのでかなり効いてますな。押し込んだらサイドで三角形を作りながらクロスやポケットをとる所も機能してると思います。

非保持は、CFの山田と右IHの北島が頭の4-4-2はいつも通りですけど山田を頭にした4-1-4-1になる事も多く、降りてきて起点を作ろうとするファンマをケアする為なのかなと。三角形を多く作れる4-1-2-3ではその機能性を維持できる4-1-4-1でセットするのはオーソドックスな形ではありますね。いつも通りのハイプレスでハメられてるんですが長崎が蹴る事も多いのでボールを持つCBがフリーなら構えると行く行かないの判断はいいと思います。

長崎の保持時は、左SBの米田を上げた3バックから左DHのカイオと左SHのグレイソンが絡んで繋ぎながら逆サイドに展開したり、降りて受けにきてプレスを引き込みレイオフで背後を使って前進するのと、左サイドに流れる事が多いファンマに当てる形を併用(トップ下の加藤に当てる事もありますがどちらにしても左サイド)しますが、ロングスローもよく使いますし一気に背後orポストプレーで攻めきりたいように見えます。おそらく盤面をひっくり返して前線の個の質を活かして勝ってきた試合が多かったんじゃないかなと。

非保持は、プレス時の強度やインテンシティはそうでもないように見えるので前進はされますけど、ゴール前では人数をかけて身体を張りボールホルダーにも寄せるのでそこまで危ないシーンは作らせてませんので基本的には相手を引き込んで一発でひっくり返すのとセットになってるようですね。

お互い蹴る事が多いんですがこのピッチコンディションではそうなりますよねって序盤戦。長崎はファンマやカイオが強いんですけど寄せがそこまででもないので結構プレスを剥がして前進できる事が今までより多いです。

今節のヴェルディは上記したように前線へフィードした跳ね返しを拾うor相手に寄せて奪ってから前進する事が多く、中盤が相手を引きつけてから前線に渡してチャンスメイクする長谷部監督のような形が目立ちます。

アタッキングサードまで入った時は三角形を作りながらレイオフで背後を狙ったりクロス時にエリア内に3人位入れてますのでやりたい事は概ねできてますけど長崎の寄せの強度がそうでもないというかセット志向なのもありそうです。

12分に林が少し運んでから前線へフィードしましたが、そうする事で背後を狙いやすくなる分相手の最終ラインが下がりライン間を拡げる事ができますので積極的に使っていきたいですね。

敵陣で保持する時間が長くいい展開なんですが、長崎はゴール前に人数をかけて身体を張りボールホルダーにもしっかり寄せますので耐えていれば一発で仕留められるのをわかってるような印象で町田と似てますね。

長崎はフィードとセカンド拾う為に2列目までは高めの位置なんですけどその分ライン間
が空くのでヴェルディが拾うとスムーズに前線できてます。その反面デュエルで劣勢になるとピンチになるので後ろの選手が積極的に迎撃に出るのが約束事になってる様子。

23分に鍬先→秋野へと交代。ハンドオフ時に山田の指が目に入ってしまったようです。大事に至らなければいいのですが…

山田は降りたり流れたりしてボールを収めて叩いたりサイドに展開したりしてかなり機能してますし、流れた時にWGが被らないようにサイドに張ってるのもいいサポートになってると思います。

サイドで三角形を作るのはやってますけどそこに山田がポケットに入ってきて受ける形が出てきました。こうなるとリズムが出てきますね。

長崎のポゼッション時は三角形作るにせよ降りて受けるにせよレイオフで背後を狙うのがメインのようでサイドからのクロスはそんなに使ってこないのであまり人数や時間をかけて攻撃する感じではないようです。

ヴェルディトランジションの反応もいいですし、ファンマには綱島が必ずついてるので出し手と受け手を抑えられてるのが主導権を握れてる大きな要因の1つになってますけど、得点獲れればもちろんいいですけどまずは前半を無失点でいくのがゲームプランの様子。 

長崎は43分に右SBの米田がクレイソンとのワンツーから潜ってブロックの内側に侵入し、笠柳のシュートまでいったのが最大のチャンスでした。本来繋ぐ事もできるんですけどこのコンディションではって事なんでしょう。まあパワーで殴っても十二分強いんですけどね。

長崎は最後の所は固いんですけどネガトラ時に前進を阻むよりセットする意識が高いのもヴェルディがスムーズに前進できてる要因になってるんですけど寄せにくる強度もそうでもないんですよね。

ヴェルディは多くの時間を敵陣で過ごせてましたしトランジションの反応も良くやりたい事は概ねできていたと思いますし、長崎は耐えながらもファンマに当てたり降りてくる選手のレイオフで前進してましたので狙いとする形は出せていたと思います。ただ、ゴール期待値がヴェルディ0.06長崎0.09とお互いチャンスらしいチャンスはほとんど作れてなかったですしシュートの数はあまり変わりませんでした。

ヴェルディの方がやりたい事をできてましたが、お互いゲームプランとしては想定内だったんじゃないかなと感じた前半。



後半、珍しく交代無しでスタート。お互いそうだと思うんですがやりたい事はある程度できてるって判断なんでしょう。

後半もまずはロングボールの蹴り合いからスタート。長崎に立て続けにコーナーキックをとられますがしっかり対応できていたと思います。

長崎はファンマに当ててセカンドを落として前進しようとする時に押し上げが少し遅くライン間にスペースができますので、ヴェルディがここからチャンスメイクしていくのは前半と同じなんですけど、ヴェルディはライン間から運んでいく回数が増え蹴る事が減ってきましたので、山田が左右に開いたり降りたりして収めるより仕掛けや背後を狙う事が多くなってきました。

ヴェルディは戻して逆サイドに展開したりして繋ぐ事も増えましたが、長崎を動かすと結構スペースができるのが影響してるのかもしれません。奪われた時も後ろが押し上げながらファンマを見張れてるので安定してますね。

57分に北島→佐川へと交代。

佐川が起点になって晃樹が運んだ所から右サイドに展開し、宮原のクロスが米田の上げた手に当たってPK獲得。これをバスケスが決めて先制します。バスケスの助走が短かったので波多野が弾いた所に反応できませんでしたけどこれはやむを得ない部分もあるかなと。

長崎は当然前への圧力を強めてきますがファンマに当てるよりサイドに展開して繋ぎながらの縦に速く前進してきます。

66分に加藤大と笠柳→都倉と澤田へと交代。都倉はファンマと並んで4-4-2へ変更。ビハインドなので高さと走力を補うって事なんでしょう。ファンマが収めて澤田が運んでチャンスメイクと早速形が出てます。

ロングスローを都倉がスラしたボールが佐川の手に当たってPK。ノープッシングのアピールだったんだと思いますが裏目に出てしまいました。これを都倉が決めて追いつかれます。


その後すぐバスケスが左SBの米田を引き出した背後に山田が流れてフリックを受け、仕掛けて潰れた後のこぼれをニアに決めてあっという間に勝ち越し点を奪います。山田がゴール裏に走ってる時に一番近くにいたのは加藤蓮だったんですけど宮原はどこから出てきたんですかね?

追いつかれて長崎に流れが傾きかけた中での勝ち越せた事で受けに回るというより耐える所は耐えると割り切れてるようでメンタル面にも大きく影響してるように見えます。

76分に岡野とクレイソン高橋と加藤聖へと交代。サイドを突破してからのクロスを増やしていきたいんでしょう。

長崎が前がかりになってきた分中盤が空いてきてチャンスメイクがしやすくなってきましたが、長崎には一発があるのである程度許容してる様子です。

79分に山田と加藤蓮→阪野と加藤弘堅へと交代。加藤弘堅はアンカーに入り晃樹が左WGへ移動。

ライン間を使えてるのでミドルシュートを織り交ぜて決定機を作れてますが、その分長崎もクロスでチャンスメイクしてるのでどちらが先に得点するか?のオープンな展開。ヴェルディはリードしてるので攻撃を急ぎ過ぎない所や、サイドからのクロスが多いので非カウンターを受けにくくするのは意識してやってる様子。

押し込んでサイドに展開してクロスの他に戻してリズムを落としながら時間を使う所もできてます。ヴェルディってこんな試合巧者でしたっけ?と思ったら綱島の不用意な横パスから非決定機なのでまだまだみたいですね。

長崎はサイドからのアーリー含めクロスやフィードが増えパワープレーを移行してきたのでヴェルディは保持した時に時間をかけたいんですけど精度の所がいま1つ。

90分に晃樹とバスケス→山越と奈良輪へと交代。山越は左SBに入り深澤は左WGへ移動。5バックにするのかな?と思いましたけど4枚のままですね。まあ平がサイドに迎撃に出た時に綱島が最終ラインに降りてカバーリングカバーリング(ペルムータ)をしていたのでいざとなったら綱島を降ろすのかなと。

ロングフィードにファンマが合わせたシュートを間一髪マテウスがセービングしてその後のシュートも防ぎ最後に大車輪の活躍でチームを救ってくれました。

長崎の迫力のあるパワープレーを耐えきって終了。



最後に、長崎の寄せがそうでもなく2列目以降がセット志向が高かったのもありますが、フィードやポゼッションでスムーズに前進し、ライン間を使ってチャンスメイクをして敵陣で過ごす時間帯が長く主導権を握れていたと思いますし、山田が降りたり左右に流れて収め起点を作る所や前を向けそうな時は前を向いて仕掛ける所がかなり機能していたのが収穫でした。

それと前線からの連動したプレスが機能していて時間と選択肢を削れていたのも大きかったですし、追いつかれた時にすぐ勝ち越せて流れを引き戻せた事や、最後マテウスのスーパーセーブも効いていたと思います。

長崎は一発がある分耐える所は割り切って耐える印象でしたがファンマにマークがついてそんなに起点を作らせず、繋ぐ時は左サイドから前進する事が多かったのでヴェルディのストロングと噛み合ったのも攻撃がそんなにスムーズにいかなかった要因の1つだったように感じました。