20230325 第6節ホーム熊本戦

ホーム熊本戦。ヴェルディは4-1-2-3で熊本は3-3-1-3でスタート。

ヴェルディの保持時は、後ろで繋いで熊本のプレスを引き出し前線が背後を狙うor収めてチャンスメイクするのがメインのようで、熊本のライン設定が高くあまり高さが無いのでそこを狙っていこうって事なのかなと。中盤で奪えると繋いで前進しますが、密集からの突破はそこまでは上手くいってないようですけどプレスを剥がして落ち着けると幅を使って前進してレイオフで揺さぶってからクロスやサイドチェンジで効果的なチャンスメイクができてます。奪ったらすぐ幅をとる感じではないのでネガトラ対策を優先してるように見えますね。

非保持は、最終ラインには持たせる傾向が強いミドルプレスで、阪野は最終ライン北島は3列目の横パスを切る位置に立って密集してるサイドに誘導して後ろが人を掴みにいく形。熊本にテンポよくパス廻しをさせない事でストレスを与えていこうって事なのかなと。セットするといつも通りの4-4-2。

熊本の保持時は、最終ラインが持つと同サイドのIHやWGが降りてアンカーの上村やトップ下の平川が寄って密集を作って細かく繋ぎながら前進するいつもの形と前線が背後を狙って深さを作る形を使い分けてきますが、今までより背後を狙う意識が高めに見えます。

非保持は、アンカーの林にトップ下の平川がついて前線が最終ラインに寄せていき、SBに入るとWBが掴みにくる前傾姿勢なハイプレスで、奪いきれない時はアンカーの上村が最終ラインに降りて4-3-3のような形になりますが、積極的に後ろから迎撃に出てきながら人を掴む意識を強める事でセットする機会を減らす所は変わってないですね。

最序盤にCFの石川が抜け出した所を宮原と河村がプレスバックして奪いました。ネガトラ時の守備意識は引き続きしっかりしてますが、ポジトラ時はちと急ぎ過ぎて合わない部分がありますね。

上記しましたが、ヴェルディの守備は2トップが横パスを切るように構えるので熊本は横パスやバックパスがやりにくそうなのでいつも通りのポゼッションを阻害できてますし、押し込んだ時のレイオフやバックパスから逆サイドポケットへのクロスや中央への縦パスで揺さぶれてるのもいいと思います。

解説の佐藤勇人さんも指摘してますが、8分に宮原が中盤に絞る事で左WBの竹本を引っ張って降りてきた河村がフリーで受けられるようにしたのは良かったですね。ここは深澤もやってるんですが、自分がマークを引き受けル事で周りをフリーにする所ができていたのはこれからに繋がっていくと思います。

ビルドアップからはまだ難しそうではありますが、相手を揺さぶる緩めの横パスと前進する為の速い縦パスを使い分けられるようになってきましたし、中盤で引っ掛けてた所からはかなりスムーズにチャンスメイクができるようになってきたと思います。


スローインから繋いで前を向いた北島のクロスのこぼれを深澤がボレーで押し込みました。自分達の時間帯に得点できたのは大きいですね。

直後にハイプレスをひっくり返されクロスから松岡がフリーで合わせられそうなシーンがありましたけど、得点直後は特に締めてほしいなと。

失点後熊本は最終ラインで保持を落ち着かせてからWGに背後を狙わせる形が出てきました。それで深さを作って前進するのと、ヴェルディが最終ラインまで寄せにこないのを利用してサイドCBが運んでだりするようになってプレスラインが少し下がるようになってきました。熊本は本来これがやりたかったのではないかなと。

まあヴェルディも持たれる事は想定内って感じではありますが、フリーで背後に蹴られてしまう事への対応でプレスラインが少し下がってきてるので、前からハメにいくかスペースを埋めるかをはっきりさせた方が良さげな感じですね。

熊本は横パスを封じられたらプレスが来ない事を利用して背後を狙いながらポゼッションでサイドに起点を作って前進し、押し込んだら後ろから選手が出てきてマークをズラしてニアの狙う本来の形が出てきました。ヴェルディは人を掴む傾向が強い事もありプレスが後手に廻ってしまう事もあります。

本の時間帯が続きますがヴェルディは落ち着いて対応できてますし、前節同様ボールを持てない事にストレスを感じてる印象はないですね。ただここから反転攻勢出る所までは難しそうで、今の所阪野の頑張りに頼る以外は難しそうな感じですね。

このままではいけないと最終ラインまで寄せに行く事もありますが、数的劣位でも行ってしまうので逆効果になってしまってるシーンもあります…

奪ってから縦に急ぎ過ぎてタイミングが合わずにロストしてるシーンが目立ちますが、前を向ける時はもう少し幅を使えるとプレスを剥がせそうではあります。リードしてますし、前を向いて前進できた時はポゼッションで息を整えながらテンポを落とす時間をもう少し作ってもいいかなとは思うんですが、レイオフからの縦パスが効いてるので落とし所が難しい部分はあるのかなと。ただセットプレーはファーで北島や深澤を余らせてクロスのこぼれを拾わせるデザインされた形があります。

43分に北島が横に運んで平に渡してチャンスメイクしましたが、開幕戦で斎藤がやってたみたいに相手を引きつけながらレーンを横断すると目線を集められる分陣形を乱しやすいので上手く活用していきたいですね。

ビルドアップからのポゼッションや押し込まれた所からどう反転攻勢に出るか?にはまだまだ課題が多いですが、横を切るプレスで相手を誘導して奪ってからの攻撃が上手くいってる時間帯に得点できた事。セットプレーはデザインされた形がありかつ機能してる事。ボールを持てずかつ主導権も握れない展開でも相手にほとんどエリア内からシュートを打たせなかった事が大きな収穫だった前半。



ロアッソくんくまモンにチームマスコットの座を奪われてしまったらしい後半頭からヴェルディは北島→バスケス、熊本は島村→栗飯原へと交代。北島や島村がどうこうというより、お互い右サイドから前進できていたのでもう少しここからチャンスメイをしていきたいのかなと。バスケスは右WGに入り河村が左WG梶川が左IH晃樹が右IHへ移動。

後半のヴェルディは阪野が横パスを切るのは同じですが、同サイドはマンツー逆サイドはゾーンのような形にしてきました。フリーで背後に蹴られていた所のケアなんでしょう。この修正で最終ラインから背後を狙われる事が減ったので前半よりも後ろ向きで守備をする機会が減りました。ほんと相手にやりたい事をやらせない所は徹底してますね。

守備は安定しましたけど狙い通りの形で奪えてる感じでは無い事がちと多い分、阪野のキープに頼ったりWGが背後を狙う所は選手への依存度が高く、チームとしてカウンターの起点をどう作るか?の部分は現時点ではまだ難しそうですな印象です。そういう意味では自分達の時間帯で得点できたのが大きかったかなと。ただ迎撃守備で奪えてた時は意図した形で奪えてますのでこちらではスムーズに前進できてますけど、熊本は前線に人数をかける分ネガトラの反応が少し遅いのでもっと幅を使ってもいいかなとは思います。

ただまずは深さを作ってスペースを攻撃する今のスタイルをしっかり確立させる事を優先した方がいいかなとも思いますので何とも言えない部分はありますが、安定してボールを保持できる時はパスを廻して息を整える時間を作りながら熊本からボールを取り上げてストレスを与えた方が効果的に見えます。

ヴェルディの守備が前線も横より縦を切る形に変えてしました。リードしてますし後ろで持たれる分には構わないって事なのかなと。熊本は背後にボールが出てくる事が減っても前線の位置が高く距離感がちと遠いのでパスがズレるシーンが結構ありますね。

ポケットから崩されそうなシーンがあるんですがヴェルディは粘り強く対応できてます。ですが熊本の選手がちと前に行き過ぎてる分助かってる部分もありますね。

61分に梶川と阪野→綱島と加藤蓮へと交代。後ろがセットする分2トップが追いかけ回すのでかなり負荷がかかってましたからね。綱島は左IH加藤蓮が左WGに入り河村がCFへと移動。今度は2トップを河村と晃樹に代えて強度を維持する事と、右サイドからチャンスを作られていたので本職DFの加藤蓮を左に持ってきたんでしょう。ほんと隙を作らない所は徹底されてますね。

今節はボールが持てずかつ主導権も握れてない状況なので前節よりはストレスを感じてるようではありますが、強固な守備は維持できてますので決定機を作られる事はほとんど無いですね。

64分に松岡→東山へと交代。

70分くらいから熊本はクロスが増えてきたんですけど高さがあまり無いのでそこまで効果的ではないように見えるんですが、中々決定機を作れない焦りもあるんでしょうか?

72分にクロスを跳ね返してた所から河村が左サイド奥で時間を作ってテンポを落としましたけど、前線の人数が足りませんでしたしここで一息つける時間を作ったのはチームを助けるいいプレーだったと思います。前述しましたがこういうプレーを随所に入れられればもっと楽になると思うんですけどコンセプトを落とし込む所との折り合いもありますしバランスをとるのが難しい部分ではありますね。

73分セットプレーの流れから晃樹の落とし→バスケスの逆サイドポケットへのクロスを平が合わせて追加点を取りました。前半からセットプレーはデザインされた形がありましたけどシンドい時間帯に取れたのは大きいですね。

74分に石川と相澤→大崎と阿部へと交代。阿部は右CBに入り黒木が左CBへ移動。

熊本がちと縦に急ぎ過ぎて前向きのサポートができないシーンが出てきました。主導権を握ってても中々決定機を作れず逆に失点してしまった影響が出てしまっている印象です。

逆にヴェルディは落ち着いてボールを保持できる時間が増えましたので今までより主導権を握れるようになってきました。追加点を取れて精神的に余裕が出てきたのも大いにあるとは思いますが

てな訳でちとオープンな展開になってきましたが本来熊本がやりたい形ではないと思いますのでヴェルディの方に分がありそうです。

82分にセットプレーの跳ね返しを拾った平のシュートを山越がコースを変えて追加点を取りました。これもデザインされた形なんですけどセットプレーで得点できると楽になりますね。それと3得点全て最終ラインの選手って珍しいんじゃないかなと。

83分にヴェルディは河村→マリオ、熊本は三島→藤田へと交代。

熊本はプレスに行くしかないので陣形が乱れるようになってきましたけどここはやむを得ないですね。

86分に晃樹→山田へと交代してJデビュー。

守備はマリオを頭にした5-4-1へ変えてクロージングへ移行してきました。繰り返しになりますが隙を作らない所は徹底してますね。

マリオは持ち前のスピードを活かして背後を狙ったり収めたりしてますので少しずつフィットしてきてるみたいですね。守備に関してはセットディフェンスに移行してるのでプレスはよくわかりませんがコースを切る所は問題なくこなしてるように見えます。

当然ある程度後ろ重心にはなりますが決定機を作られる事がないまま終了。



最後に、今節は熊本にボールを持たれ、主導権を握れてる訳でもなかったですけどxGを0.72で抑えられてますので決定機はほとんど作らせてなかった守備は安定してると思いますが、前節よりは危ないシーンはありました。

自分達の時間帯に先制して粘り強く耐えセットプレーで追加点と精神的に楽になる展開できたのが大きかったですね。

大木監督が率いるチームはヴェルディからボールを取り上げてくる分ほぼほぼ苦戦するので耐えて勝てたのはこれからに繋がっていくと思います。2019年岐阜との最終戦は状況が状況だったのでノーカウントとしてもそれ以前に勝ったのは同じくボールを持てない事を苦にしないロティーナ監督の時ですからね。

熊本は失点した後は概ねやりたい事はできていたと思いますし、密集を作ってボールを保持して押し上げながら守備機会を減らすやり方は選手が大きく入れ替わった中でも変わってませんし徹底できてると感じました。


ちなみに副審の坊薗真琴さんが女性の方で八木あかねさんは男性です。