20220828 第33節アウェイ熊本戦


アウェイ熊本戦。ヴェルディは4-4-2で熊本は3-3-1-3でスタート。

ヴェルディの保持時は、SB片上げの3バックはいつも通りなんですが、今節は右SBの山越上げる頻度が高く2CFや河村に当てたり右SHの河村に背後を狙わせるフィードが多めで、河村が運んでGK-CB間への平行クロスやマイナスクロスと(大木監督が言うカットバックも同じ意味です)右SBの山越に戻してアーリークロスや斜めに差し込むパスでシンプルに攻めていきます。2CFに長身選手を起用してるのもそういう意図なのかなと。繋ぐ時は熊本の寄せが速いのでレイオフで前向きの選手を作ってSHに背後を狙わせる事が多いです。

熊本の保持時は、ヴェルディがハイプレスなのでサイドに流れた高橋目掛けて蹴ったりもしますけど、基本的にはプレスのギャップを突いて前進していきます。トップ下の竹本が左右に動いて三角形を作ってサポートをしながらかなり速めに運んでいくので幅をとる意識はそうでもなさそうな印象。当然ヴェルディは竹本が受けた所を迎撃しにいくんですけど、WGが近い位置でサポートしてWBが斜め後ろをとって三角形を作って保持しようとしますし仕組みがしっかりしてますね。小さい三角形を作りながら前向きで受けられる状態を作って前進と崩しの両方をしてきます。

ヴェルディの非保持は、人を掴むハイプレスで、3バック+WBには2CFとボールサイドのSHが掴みにいきアンカーは晃樹が迎撃に出ていきます。熊本の両WBが高い位置をとるとSHが見張る分最終ラインで作った数的優位を活かしてトップ下の竹本に差し込まれるので奪い所の設定がちと難しそうな印象ですが、WBのマークをSBに受け渡してサイドCBへ寄せにいきハメ込む形も用意してます。

熊本の非保持は、基本的に人を掴むハイプレスで、セットするとWBが最終ラインに降りてボールサイドのWGが前に出る5-3-2になります。ただこちらもセットというより人を掴みにくるので形は結構流動的ですね。

お互い攻撃的なハイプレスなのでハイテンポで行ったり来たりの立ち上がり

しばらくすると落ち着いてきましたが、熊本は距離感を近く保って三角形を作ってダイレクトに繋ぎ、前向きで受けられる状態ができたら縦パスを差し込んでいきます。距離感が近い分ボール周辺に人数をかけられているのでカウンタープレスが効きやすい分サイドより中央を選択する事が多いです。

ヴェルディは熊本が寄せてくるので2CFや河村へのフィードやレイオフでサイドのスペースを狙って前進し、CFが深さを作った所からのマイナスクロスやSBとCFが絡んでポケットを狙って崩しにいきます。

熊本のプレスは非常に速いんですが、2列目の横が空きやすいのでGKを使ったりして相手を引き出してからDHへ通せると前方にスペースがある状態で前を向けるのでチャンスメイクのバリエーションを多く作れそうです。なので晃樹を少し後ろ目に残してるのかもしれません。

熊本のWBのマークをSBに渡してSHと2CFが同数で最終ラインに寄せに行くようになってから引っ掛けて奪えるシーンが出てきました。ここはしっかり準備してきたようです。

ある程度押し込めると少しテンポを落としますが、自分達のペースにするにはいい判断だと思います。ハイテンポが悪い訳ではありませんが熊本の方が慣れてますからね。

プレスをひっくり返すのに1つ飛ばしたりフィードするのは効果的なんですけど、受け手にプレスのきた時のサポートがちと遠いので中々上手くいかない部分がありそうです。ここのサポートをしっかりやれると迎撃に出てきた背後のスペースを使えそうなんですけどね。

少しずつプレスが遅れてきて剥がされる事が増えてきました。連戦の影響もあるんでしょうけど寄せきれないのであれば陣形が乱れて空いた所を使われやすくなりますし、同じ理由でポジトラも不安定になるのでセットしてしまうのも1つの手ではあるんですが

押し込まれる時間帯が長くなってきましたが、相手に動かさせれる分ヴェルディの方が消耗が大きそうです。なので高い位置で奪い返せてる時にパスがズレたりしてチャンスをフイにしてしまう事もありますし、全体的に間延び気味になってきたのでカウンタープレスを受けやすくなってきました。

43分の失点は、右WGの杉山落としのパスを左WGの伊東に落として逆サイドにいた左WBの上村に展開され少しマイナスに持ち出して山越と距離をとった所からミドルシュートを決められてしまいました。ンドカが抗議してますけど、プレーに関与しようとした高橋がオフサイドだったんじゃないか?って事なんだと思いますが、角度があるので映像ではよくわからないので副審の判断を尊重するしかないかなと

相手に動かさせて体力を消耗し、プレスがハマらずポジトラで奪い返されるキツい展開の中何とか逃げ切りたい中での失点はメンタル面にもダメージが大きいですね…

序盤は高い位置で奪えたり河村の所で起点を作れたりして悪くない展開でしたけど、動かさせれて体力を消耗してプレスがハマらずポジトラで奪い返らせていた苦しい展開での最終盤での失点とメンタル面にもダメージが大きい前半。



後半頭から山越→梶川へと交代。右DHに入り稲見が右SBへ移動。

前半の中盤以降プレスが遅れて剥がされて気味だった所は修正してきたようですね。

ただ熊本のカウンタープレスに捕まって奪っても奪い返されてしまう所は変わってません。相手が寄せてくる分背後が空くのでそこを狙おうとしてるのかちと間延び気味なんですよね。なので降りて受けにきたりレイオフやフリックでプレスを剥がそうとしてもサポートが遠い分中々上手くいかない様子。

プレスにはいけてるんですけどレイオフで前向きの選手を作って縦パスを入れられ背走させられる事が目立ちます。ここは組織としての練度も大きいんですが

梶川が2列目横のスペースで受けて時間を作れるようになってきたのである程度押し返せるようになってきました。現状では属人的ですが、配置を幾何学的に捉えて共有できるようにしていきたいですね。

密集には密集で対抗して熊本のプレスを剥がし、広いスペースに展開できるようになってきたのでようやく自分達のテンポで試合運びができる時間を作れてきました。押し込んだ後どう崩すか?って所はバックパスで熊本を引き出して空いた所を使おうとするチームとしての意図はあるようです。

59分に竜士→佐藤凌我へと交代。左CFに入り西谷が左SHへ移動。

イーブン位まで押し返せてはいるんですが、前半動かされ疲弊しているからなのかフィニッシュの手前位でのミスが多いですね。

65分に高橋→土信田へと交代。高橋はマテウスと交錯して立てませんでしたが大丈夫でしょうか…

67分に稲見と西谷→加藤蓮と大雅へと交代。加藤蓮は左SBに入り深澤が右SBへ移動。

ビルドアップのミスであわやというシーンがありましたが、前にいくのがちと早い分また距離感が遠くなってきたのでパスミスになりやすくなってきた感じです。ここの意思統一はもう少し時間がかかりそうですね。

73分に上村と竹本→藤田と平川へと交代。

一進一退の攻防ではあるんですけど、熊本のゲームモデルが強固な分判断に時間がかからずプレーがスムーズなのでチームとしての組織力と、ここまで動かされてきたスタミナの差が出てきている印象です。

78分に河村→加藤弘堅へと交代。右DHに入り梶川が左DH晃樹が右SHへ移動。

オープンな展開になってきたので前進しやすくなり、押し込んでコンパクトな陣形を作れるようになってきたのでチャンスを作れそうな感じになってきました。

さすがに熊本のプレスも弱まってきたので押し込める時間帯が増えてきましたが、最後の1つ手前位が合わないですね。

88分に伊東と杉山→阿部と東山へと交代。この時間帯でも前の選手を代えてくるので退く気はサラサラないって事なんでしょう。

また前に急ぎ過ぎて距離感が遠くなってきたのでにんともかんとも…

ボールをどう前進させるか?がいまいち定まらないまま終了。



最後に、熊本はゲームモデルが強固なので判断に時間がかからずスムーズにプレーできていた分ゲームを支配できてましたし、組織としての練度に差を感じました。

ヴェルディは短い時間で守備を修正してきましたけど、どうやって組織としてボールを前進させるのか?のチグハグ感が否めなかったのは正直な所です。梶川が入って押し返せてたんですけど属人的な要素が大き過ぎるとその選手がいない時どうする?になってしまいますので

小林監督の北九州もそうでしたけど、規律によって判断を助ける事で迷いなくプレーさせる所を熊本はしっかり作り込んでたと思います。


城福監督のコメント

相手が前から来る中でもボールを下げずに前で収める。そこから陣形を上げていく場面が少なかったので、少し押され気味になってしまったなと。あそこで恐れずにボールをワンタッチで前につけていく、そこで収めていくということが必要でした。

どうやってボールを前進させていくか?の意思統一ができてなかったので、ズレやノッキングがおきて時間がかかった分ハメられてた印象が強かったです。ここがはっきりしないとチャンスメイクが難しくなってしまいますからね。

連戦に次ぐ連戦で修正をする時間が中々取れないと思いますけど、少しずつでも爪痕みたいなものは見せてもらいたい所です。