20220730 第29節アウェイ大分戦


竜士と呉屋がずっと喋りながら入場してきたアウェイ大分戦。ヴェルディは4-1-2-3で大分は3-1-4-2でスタート。

ヴェルディの保持時は、加藤蓮片上げのビルドアップと西谷が降りてきて深澤を上げる形を使い分けてますが、相手の1列目の枚数プラス1を作る所は共有させてる様子。大分が5-3-2なのでIHが3の間にいる分SBが時間とスペースを得られますのでここを起点にしながらIHに前を向いてボールを持たせる状況を作っていきながらシンプルにWGも使っていくみたいな感じです。

大分の保持時は、ビルドアップはWBが運ぶ時に2列目の選手が絡んで数的優位を作ってアタックゾーンに侵入していく形が多いです。そこから場合によっては2列目2枚とトップの片割れに端のCBまで絡んできますね。それとシンプルサイドに流れたCFへ蹴る事もありますし、ヴェルディが人を掴んでくる分レイオフで縦に速く前進する形もあります。

ヴェルディの非保持時は、いつも通り4-4-2のハイプレスなんですが、大分は3バックとアンカーの形なので2トップがアンカーへの門を締めたり背中で消したりしながらサイドCBがしっかり前を向いて受けられなさそうな所をトリガーにしてWGが寄せにいき、後ろが人を掴んで連動していきます。バックパスには追っていくんですけどそこまで深追いはしませんし、佐藤凌我はCB間とCB- GK間へのパスコースを消せる所にいるのでGK経由でサイドチェンジしたり、相手を引き出して盤面のひっくり返すカタノサッカー対策をしてきた様子。プレスに行くまではゾーン気味で行くとマンツー気味になるので大分の配置的優位性を上手く消せてると思います。なので大分が苦し紛れに蹴ってラインを割るシーンもありますね。

大分の非保持時は、5-3-2のミドルプレスなんですが、ヴェルディの3センターを見張らなきゃいけない分サイドに出ていくのが遅れるのでSBをどう見張るのか?の判断がちと難しそうな印象。ただバックパスには連動して追っていきます。

大分は羽田がアンカーで2列目左下田で右町田、2トップ左呉屋右渡邉の3-1-4-2。ヴェルディの非保持時が4-4-2なので噛み合わせを考慮したのではないかなと。

アンカーの西谷が2トップ間で受けて前を向き起点を作れるシーンがいくつかありますが、ポジショニングや入ってくるタイミングがいいですね。もちろん最終ラインが相手を引きつけ陣形を歪ませてくれてるのも大きいんですが

加藤蓮がいつも通り中盤で絞ってるんですが、今節はIHが大分の2列目をピン止めしているので外に開いた方が良さそうな印象です。

ヴェルディは守備の連動性が上がってきてるんですけど、前進を阻むプラスバックパスコースに制限をかける事ができてきてるのがいいですね。大分対策もあるんでしょうけどいい傾向だと思うんです。ただ高い位置で奪えたらショートカウンターが第1の選択になりますのでここでもう少しパワーを出していきたいなと。

非保持時にヴェルディの連動性が高いのはあるんですけど、前を向いて受けられそうもない時に大分のサポートがちと少なく、降りて来ない分選択肢を狭めてしまっている印象はあります。

ヴェルディはビルドアップから先、大分はビルドアップがそこまで上手くいってませんけど、お互いデュエルや身体を張る所がしっかりしてるので守り合いのような感じではあります。

18分の得点はコーナーキックからなんですけど、佐藤凌我ンドカ加藤蓮晴也が1列に並んでマンツー対策をした所から佐藤凌我がニアに走って羽田を連れていき、ンドカが増山坂雄斗3人にスクリーンをかけフリーになった加藤蓮が合わせた形。

加藤蓮の質疑応答

中央での密集から散開してフリーになってのヘディングでしたが、あらかじめデザインされたプレーでしたか?

そこは狙い通りというか、自分のところでマークを外して決めるという部分を意識して飛び込みました。ただ、ボールが良すぎたので、自分はジャンプしてしっかりと当てるだけでした。本当に梶川さんに感謝しています。

まさに「してやったり」だったようですね。

19分の失点は藤本に間を抜かれた所からポケットに侵入され打ち込まれてしまいました。ボールホルダーに誰が寄せにいくのか?がはっきりしてなかったのもありますが、安心して気が抜けたのかどうかまではわかりませんけど明らかにインテンシティが不足してましたね…

得点から1分後の失点は三ツ沢でも見た事があるんですけど、失点した後は前への圧力を強めてくるのが一般的なので、強いチームになっていくにはこういう所でしっかりパワーを出していきたいですね。

西谷が起点になる事がいくつかあったせいか警戒されるようになりましたけど、ここでボールを受けたいと動き過ぎるとビルドアップやリスク管理が難しくなってしまいますので敢えて動かず自分が死ぬ事によってSBをフリーにしてる印象があるのはいいですね。

ヴェルディが今までよりハイプレス志向になった事でGKの高木をビルドアップに組み込めるようになってきたので剥がされるシーンがあるんですが、今節はここを警戒してる様子なのでしっかり対応したい所。

お互いシュート1本ずつで1-1と非常にコスパのいい内容。

大分の寄せがそうでもない時は3センターに楔を打ち込めてますし、フリーになりやすいSBも使えてますのでビルドアップは概ね狙い通りにできてるようです。ただそこから先は大分もしっかり対応してきますね。

ここまで大分のビルドアップがこそんなに上手くいってませんが、モビリティが少なく深さを取れずに足元で受ける事が多いのもあるかなと。まあこれで詰まるのは凄く見覚えあるんですけどね(^^;)
ただレイオフで縦に速く前進する形はしっかりしてます。

ヴェルディは河村が常に背後を狙ってる分深さを作れてます。映る回数がそんなに多くないのでよくわからない所はありますけど、竜士や佐藤凌我やIHも背後を狙う意識が高そうな印象。

34分のコーナーキックでも晴也がフリーでシュートを打てましたが、このスクリーンプレーはいつくかのパターンを仕込んでる様子。

ここまでプレスを剥がされて前進されているのがGKの高木をビルドアップに組み込んだ時なのでここの行く行かないの所はもう少しはっきりさせたいなと。

40分の得点はンドカのロングフィードを背後を狙った佐藤凌我がピタリと収めてた分相手が寄せられなくなった所からのスルーパスを晃樹が流し込んだ形でした。ンドカのフィードや佐藤凌我のファーストタッチの質はもちろんですが、前線が献身的に背後を狙ってたのが実を結びましたね。

43分の失点は呉屋のファーストタッチでズラされたのもありましたけどここもボールホルダーに寄せられてないんですよね…得点後にパワーを出せないのはにんともかんとも…

主導権を握れて得点できてる中で似たような形で失点してしまったのは本当にもったいないですね…

この後少しプレッシャーラインを下げたんですが、ここまで背後を狙う所が上手くいってるからなんですかね?

チーム全体でハードワークした上で概ねやりたい事をやり得点できた中で攻守に渡ってパワーが落ちて得点チャンスをフイにしたり失点しまったシーンが本当にもったいないなと感じた前半。



後半頭から竜士→小池へと交代。おそらくプラン通りなんでしょう。

大分は後半3-4-2-1に変えてきて非保持時は5-2-3~5-4-1になりました。前半は守備がいまいちハマってなかったので1トップがアンカー、シャドーがSBをケアするように修正してきました。

大分が2DHにした事で中盤でボールを持てる事が増えてきて、そこにWBが絡んで前進できるようになってきました。

ヴェルディはシンプルにWGを狙う事が増えてきましたが、ビルドアップが前半より上手くいかなくなったからと言うよりもっと左サイドも使っていこうって感じに見えます。

54分位からヴェルディは大分の5-2-3の脇にIHが立つようになり、そこから降りてサポートして楔を打ち込んでいくようになりましたし、ドライブ(運ぶドリブル)でシャドーを引きつけてからアンカーやSBを使ったりもしていますので、大分は3-4-2-1をメインにしてる分想定して準備してきたようですね。(個人的にはコンドゥクシオンの方がしっくりくるんですけど選手達はドライブを使っているようなのでこちらにします)

バックパスを奪われるシーンが2つ程ありましたが、バックパスの成功率は100%である必要があるのでこういうミスは無くしていきたいなと。もちろん暑さもあるんだと思いますが

59分に西谷→加藤弘堅への交代。西谷はポジショニングやボールを引き出して起点を作れてましたので良かったと思いますよ。

ヴェルディ疲労が見えてきて寄せにいくスピードが落ちてきたので、大分が2DHとWBのコンビネーションやWBの突破やライン間でシャドーが受けたりして前進してくる回数が増えてきました。

なのでヴェルディはゴールに向かわないって訳ではありませんが、テンポを落としたパス回しで休みをとるようになりました。交代で入った加藤弘堅にベンチから指示があったんでしょうか?

65分位から押し込まれてるようになってきました。身体を張って守れてるのは素晴らしいんですけど、ハイプレスのスタイルではどこかで必ず行けなくなる時間帯がきますのでボールを保持して休む所は機能的に取り入れていきたいなと。

75分に大分は羽田と町田と雄斗→エドゥアルドネットと小林とペレイラへと交代。大分は初めて交代をしてきました。ペレイラは右CBに入り上夷が左CBへ移動。

同じヴェルディは梶川と佐藤凌我→染野とバスケスへと交代して4-4-2へ変更。今は染野が入ると陣形を変えるみたいですね。

79分に増山→高畑へと交代。左WBに入り藤本が右WBへ移動。

ヴェルディはポゼッションで休むって訳ではないんですがモビリティがかなり少なくなってきました。前半リードで折り返せてたらまた違った展開だったと思うんですけどこれはタラレバですからね。

大分に押し込まれて耐える展開が続きますが、疲労で動けなくなった相手にパワーで殴るのは王道ではあります。

85分に呉屋→サムエルへと交代。クロスまでいけてるのでターゲットをって事なんでしょう。

オープンな展開になってきましたけど大分の方が分がありそうですね。

ここまで観てる限り、小池に単騎突破を求めるのであれば右サイドの方がよさげに見えますね。

染野に関してはとにかく時間が無かったのである程度やむを得ないと思いますので少しずつフィットしていってもらえたらなと。

90+6分に加藤蓮→稲見へと交代。

大分の猛攻を何とか耐えきって終了。



最後に、終盤の守備の粘りは素晴らしかったですし、アウェイで勝ち点を獲得できたのは良かったと思います。

攻撃も意図した通りのビルドアップができてましたので内容的には悲観する必要はないですし、前半飛ばし過ぎだったというよりリードしてハーフタイムを迎えられてれば違う展開になっていたでしょうからここも悪くはなかったと思います。

今節はとにかく得点後にパワーが落ちて即失点してしまったユルさが出てしまったのが本当にもったいなかったなと。ここはチャンス時にパワーを出さなきゃいけない時に出せないって所にも繋がってるんですが。得点した後5分位はパワーを出して対応し、その後のポゼッションで休むようにするようになれば変わってくるかなと。

上記したように内容は決して悪くないんですけど強いチームになる為にはまだやらなきゃいけない事が多そうな印象でした。