20220504 第14節ホーム仙台戦


ホーム仙台戦。ヴェルディは4-1-2- 3で仙台は4-4-2でスタート。

ヴェルディの保持時は、加藤蓮片上げの3バックで仙台の2トップに対して数的優位を作って間にいるIHを経由したり、サイドに展開した所からサイドチェンジで横に揺さぶって前進する形が多く、そこからクロスやポケットに侵入して横とマイナス方向へのグラウンダークロスでチャンスメイクしていきます。今節は相手のプレスに応じて中盤や背後のどこにスペースができるのかを見て前進できているように見えます。

仙台の保持時は、皆川に当てカルドーゾが拾うかカルドーゾが運んで前進してからのクロスの形が多く、前進すると両SHが絞るので、SBが上がってくれば通常、SHの場合はアーリー気味のクロスが目立ちます。ビルドアップ時は恭平が最後ラインに降りてSBを押し出して幅をとり前線は中に絞ります。中央を厚くして攻める分縦志向なので上手く前進できなかった時は戻してプレスを呼び込む所からやり直します。

ヴェルディの非保持時は、仙台は恭平が降りてSBを押し出すので晃樹がフォギーニョを見張り佐藤凌我が最終ラインに寄せていく形で、晃樹が最終ラインに寄せていく時はDHを背中で消す事をかなり意識している様子。そこからサイドに出た所でWGが寄せていきます。仙台が中央を厚くしてくるからなのか今節はいつもよりミドルゾーンで待ち構える傾向が高いですがセット時は人を掴みにいく傾向が高いのはいつも通り

仙台の非保持時は、2トップがハイプレスで制限をかけようとするんですが、仙台のDHがヴェルディの3センターをどう見張るのかがはっきりしてませんし、寄せの強度もいまいちなので前進を阻めていない印象です。セットもカチッとする感じではないので横に振られるとズレる事がありますね。

まず左サイドの密集から加藤弘堅が逆サイドへ展開したり縦パス差し込んだりとらしさがありました。


3分の得点は、晃樹が左サイドにいる加藤蓮に展開してCB-SB間にいる梶川がフリックして竜士が仕掛けてからのクロスを後ろから入ってきた晃樹が合わせた形。相手選手間を使って上手く前進して崩せました。

今節は比較的押し込められるので左サイドは加藤蓮が幅をとり竜士が絞る形が多く、右サイドは新井がいつも通り新井が幅をとりSBの深澤が絞ります。

仙台の守備強度がいまいちなのもかなりあるんですが、プレスを剥がして前進し、相手が寄せてくるかセットするかで中盤と背後のどこにスペースができるか?の判断が良くできてますね。3センターを使って中央から前進できてるのがかなり大きいんですが

皆川を起点にしてくる所もしっかり競れていてセカンドを拾う所へプレスをかけてその次位で奪えてますのでかなりいい立ち上がり

14分に新井がフォギーニョとの球際での競り合いで警告されましたが、アフターでいってるのでこれは仕方ないですね。

トランジション時の反応は良くなってきてるんですけど、今節は押し込んでる事が多く配置が整ってるので尚更カウンタープレスが効いてます。

ヴェルディはSBが高い位置をとるのでネガトラ時にサイドのスペースを使われる事がありますが、仙台のSHは中に絞るのであまり弱味になってないのはありがたい所です。

23分の失点は、皆川の落としを恭平がSBの背後にスルーパスを出してカルドーゾの走らせ、晴也を剥がしてマイナスクロスからのこぼれを押し込まれました。ウィークであるSBの背後を使われた形なんですが、内側を切りながら寄せてカルドーゾを外に追い出すように守った方が良かったかなと。まあヴェルディは人を掴みにいく傾向が強いんですけどね。

失点直後に氣田に中央から運ばれるシーンがありましたが、この形になると仙台の強みが出るのでできるだけ作らせたくないですね。

ヴェルディのはプレスを剥がして前進し、サイドチェンジからWGが仕掛けたりSBのインナーラップでポケットからのクロスと狙い通りの形が出せてますので選手達は気持ち良くプレーできてるような印象。

仙台は皆川の落としからSHが絞る得意の形で前進してきましたが、中央を厚くしてるのでクリアする時はサイドに出した方が良さそうな感じ。

両チームともやりたい形での攻撃が出るようになってきましたし、決定機も作れてるようになってきました。ただネガトラで仙台は中央で厚みを作る割にはトランジションがいまいちなので奪い返せてない分守備には差があるように見えます。

仙台のプレス強度がいまいちなのはありますが、プレスを剥がして前進してWGが仕掛けたりポケットをとってクロスとやりたい形ができてましたし押し込められる分カウンタープレスが効いてました。

仙台は序盤こそハイプレスで来ましたけど連動性や強度がいまいちでしたので、ミドルプレスで奪ったらSHが絞り中央を厚くしてからのカウンターや後ろで廻してSBが高い位置をとりCFに当てたりサイドを使って前進してきました。

ヴェルディの方が優勢でしたけどお互いやりたい形ができていて決定機の数も同じ位でしたので一進一退と言っていい展開だった前半。



後半頭から竜士→バスケスへと交代。連戦を考慮してって事なんでしょうね。右WGに入り新井が左WGへ移動。

仙台はミドルプレスに切り替えてきました。ハイプレスがいまいち機能してないので変えてきたのかもしれません。それと2CFに当てた時にSHのサポートが速くなったのでセカンドを拾えるようになってきました。

仙台がやるべき事を整理してきた分仙台がボールを保持する時間帯が長くなってきましたが、守備の強度や連動性がいまいちなのは変わらずといった所。

ヴェルディはクロス時にファーのポケットを狙う事は徹底してる様子。ここならSBと競り合うのでチャンスになりやすいですからね。

55分に恭平→中島へと交代。攻撃のリズムを変える所を求められてるのではないかと

仙台が押し込む時間が続いたからなのかハイプレスで出てくるようになりましたけど、ここまで指摘してきた理由で剥がせるのでヴェルディがボールを持てるようになってきました。相手のロングフィードへの反応とスペースを使いながら幅を使って前進できてる所は変わってませんね。

今節のヴェルディはサイドチェンジやミドルパスが多く、変にボールを大事にしようとしない分WGが前を向いて受けられる事が多いのでボールを持たれる展開でもそう苦になってなさそうな印象です。まあ危ないシーンはあるんですが

63分の得点は、ここまで再三あった中央から左サイドに展開し、新井が受けた所から加藤蓮がインナーラップから外に流れ受け平岡を引き出したスペースに新井が入ってからの形。サイドの2人のポジションを回して(梶川も関わって三角形を作る事が多いですが)上手く崩せました。佐藤凌我も合わせるのは簡単ではないんですけどしっかり合わせられましたね。

新井はボールを受けると基本的に仕掛けるんですが、そこにプラスしてシンプルに人を使えるようになると相手からすると的を絞りにくくなる分より仕掛けが効くようになるのでいい判断だったと思います。

63分に加藤とカルドーゾ→真瀬も富樫へと交代。もう一度推進力をプラスして前線での受けをさせたいのかなと

ボールを持たれれば奪ってから空いてる所を使ってWGへ展開し、リードされてる分仙台は出て来ざるを得ない分持てれば中盤のスペースを使って前進できてます。

仙台のハイプレスがいまいちなのでプレスを呼び込むのは間違ってはいないんですが、リードしてれば相手の方から勝手に出てきてくれますからGKの所であまりリスクをとらなくてもいいんじゃないかなと。

中盤での攻防が激しいですけど展開としては変わってませんね。

76分にヴェルディは梶川→阿野へと交代して仙台はフォギーニョと皆川→鎌田と遠藤へと交代。

ヴェルディのハイプレスはいつもより連動性があるので良くなってますね。盤面をひっくり返される可能性はあるんですけど、リスク管理は必要ながらもそれならハイプレスをしない方がいいって事になってしまいますので

80分に加藤弘堅→ンドカへと交代。右CBに入り晴也がアンカーへ移動。

ハイプレスは受け手にプレスをかけられていて連動性が上がってますし、トランジションの反応は相変わらずいいので仙台の2列目が前向きで受けられる事が少ない分ペースを握れてます。

逆に言えばこの展開を作られると難しくなってきますね。

85分の得点は、新井が抜け出してからのファークロスが晃樹に当たってフリーのバスケスが拾いニアに押し込んだ形。晃樹に当たった分ラッキーだったのはありますけどサイドからのファークロスは再三狙っていた形でしたからね。

86分に佐藤凌我と新井→河村と陸斗へと交代。プレスの強度を入れ直しながらの守備固めの意味合いもありそうなんですけど2人共点をとりにいく気マンマンの様子

再三狙ってるファークロスですが、インナーラップしてきたSBがポケットを使う場合はいいんですけどWGが絞りきれておらずシュートチャンスを逃してる事が結構あるのは気になります。終盤は良くなってるんですが

守りを固めるという感じではなくリスク管理をしながらも追加点を取りにいくような流れのまま終了。



最後に、仙台のプレス強度がいまいちだったのはかなりあるんですけど、相手のプレスの形に応じて中盤や背後のどこにスペースがあるのか?を共有できていた印象です。無駄にボールを大事にしようとせず縦志向の形も作れていたのも大きかったと思います。

トランジションの反応は引き続きいいですし、今節は連動したハイプレスができていて仙台の2列目が前向きでボールを持てる事が少なかったのが主導権を握れた大きな要因の1つだったかなと。


加藤弘堅のコメント

ヴェルディの良さでもあるが、ボールを大事にし過ぎた感じがあった。良いときはチャンスでシュートができていたが、勝てていないときは、失うことを怖がってシュートができていなかった。それで奪われてから守備をするという労力、労働は苦手とは言わないけど、得意ではない。もっと打てばいいなというのがあったし、単純に展開が小さいと思っていた。隣の選手に出すパス、よく各駅停車というが、そうではなくて、1つ飛ばしや、裏に抜けるようなパスがというのが少なかった。それに前で裏に抜けていてもパスが出なかったり、単純にミスを怖がっていたと思う。

ほんとそうですね。無敗だった事を意識しすぎて「負けたくない」みたいな感じで中々調子が上がらないチームのように見えましたので。競技の性質上目的はゴールを奪う事でありボールを大事にする事はそれを達成する為の手段の1つに過ぎませんので

ボールを保持してパス廻しをしながら息を整える時間を作ったり、リードを守りきる為に時間を浪費したり、相手のリアクションを観察する目的でゴールから逆算されてない形ポゼッションをするケースはありますけど、これらは前記の原理原則ありきの上での応用になりますからね。


堀監督のコメント

中央にボールを入れていくことを恐れたり、もしくは入れた後にボールを失うケースが多くなったので、選手たちがそれをやめてしまう場面が増えてきた印象でした。そうではなく自分たちはチャレンジをして、ボールを奪われた後でもしっかりともう一回自分たちのボールにするために取り返すことが自分たちのスタイルだということ。サイドに関しては自分たちのサイドの使い方を相手もいろいろと見てきた中、苦戦することが増えているので、いつもやっていることにプラスして異なる何かを入れていかないと、うまく使えないのではないかということを話しました。

谷口のコメント

個人としては攻撃の部分で持ち上がりやクサビのパスなど、ここ数試合見られなかった積極性が出ていたと思いますが?

チームが調子が悪いときや自分の調子悪いときは、好調時に比べて消極的というか、縦に入れる回数が少なかったことは自覚していますし、そこは意識して取り組みました。もう少しチャレンジできると思いますし、精度を上げられると思います。

今日の試合ではリード後も最後まで自分たちでボールを握る形の試合ができましたね。

まずは(佐藤)凌我くんとか前線の選手がしっかりとボールを追ってくれたことで、ラインを上げることができましたし、コンパクトな陣形を保ってボールを奪い返すことができていました。また、マイボールになった後の1本目のパスが今日は良くつながっていたので、そこが良かったと思います。ボールを奪った後の1本目のパスに関して、悪いときは後ろに下げてしまうことが多かったですが、今日は前に付けるシーンが多く、マイボールの時間も長かったので、リズムを崩さずに試合を進められたと思います。

今節はポジトラ時の1本目のパスもそうですけど積極的にチャレンジする事や前線からの献身的なプレスと連動してラインを上げる守備が機能していたと思います。これは継続していきたいですね。