20231028 第40節アウェイ磐田戦

アウェイ磐田戦。ヴェルディは4-4-2で磐田は4-2-3-1でスタート。

ヴェルディの保持時は、降りてきた染野へのフィードをスラして深さを作る河村に落とすシンプルな形が多く、いつもより繋ぐ意識はそう高くなさそうです。ボールの握り合いで優位性を作るのは少し難しそうな感じなのでリスクとリターンを天秤にかけたらこちらの方がいいと思います。非保持は最終ラインまで寄せるハイプレスで蹴らせて回収を狙いながらも10分くらい経つとミドルプレスでサイドに誘導して後ろで奪ってショートカウンターを狙う形にシフトしてきましたが、攻守に渡ってこちらの方が安定しそうな印象です。磐田が手数をかけずに前進する時はシンプルにタッチに出す事が多いので、セーフティファーストで鋭いカウンターをさせない意識がかなり高そうです。それと起点になろうとするジャーメインにはかなり厳しく寄せるのでここは前節から修正されている様子。

磐田の保持時は、右サイドへのフィードが多く、ジャーメインが収めたりスローイン等のリスタートから大外で起点を作って大外内を経由してポケットを攻略するか、クロスが主な攻め手で、ボールを持とうとすれば持てると思いますけどダイレクト志向がかなり強いのであまり手数をかけずに攻撃を終わらせる事を重視してるようです。繋ぐ時は左SBの松原が高い位置をとる3+2なんですけど、2DHの位置が低くどちらかが最終ラインに降りた時はトップ下の山田が空いた所に降りてくるので繋ぐ事よりヴェルディのプレスを引き出してひっくり返す意図の方が強そうな印象です。非保持はバックパスには追ってきますが、最終ラインに制限をかける位のミドルプレスで後ろは人を掴んできて奪ったら前線に入れてきますが、前線が後藤になってからは積極的に最終ラインまで寄せてくるようになりました。

ここの所キックオフは最終ラインから右サイドに展開する事が多いんですけど、今節はボランチからでしたので虚を突く為だったのかもしれませんが、お互いシンプルに蹴ってくるので立ち上がりは慎重にいきたいようですね。

磐田の出足が速い事や、蹴った後全体を押し上げて人数をかける分カウンタープレスが鋭く押され気味の序盤戦。両チーム共ボールホルダーにしっかり寄せて時間と選択肢を奪ったり競る闘う身体を張るの所はしっかりしてますね。

5分経ちましたがお互い蹴り合うセーフティな展開が続きます。お互いこの試合の重要性を認識してるからこそ固い立ち上がりになってるんじゃないかなと。

7分にジャーメインがハムストリングス?を痛めてプレーが難しくなってしまいましたが、ここで起点を作るのが磐田のキモになってきたので負傷は痛いですね…

9分にジャーメイン→後藤へと交代。磐田にとって痛いのは間違いないんですけど、長い目で見ればこういう大事なゲームを経験するのは後藤にとっていい事だと思います。

行ったり来たりの忙しい展開ですがお互いセーフティにタッチに出すので少し間ができますけど緩む感じはないですね。

ジャーメインがいなくなった影響が大きそうですが、10分過ぎから磐田は繋ぐようになりましたけど2DHがかなり低いのでポゼッションを安定させながらプレスを引き出してひっくり返す意図が強そうです。

ヴェルディはミドルプレスでサイドに誘導するようにもなりましたので、慎重に入りながら出力を出していこうって事だったのかなと。

お互いセーフティファーストの影響もあるんでしょうけどチャンスらしいチャンス(ピンチらしいピンチ)はありませんが、中盤の攻防が激しく見応えのある展開。

磐田の前線が後藤になったのでドゥドゥや山田が早めに寄ってサポートするようにしてきましたが、タメを作るのが少し難しそうなので間に合わないシーンがまあまあありますね。

15分のセットプレーがヴェルディの初シュートでしたが、前回対戦時にも感じましたが、磐田はセットプレーの守備でマークが曖昧になる事があるんですよね。

デュエルが非常に激しいですけど蹴り合う事が多くどちらかと言うと守り合いのような展開なんですけど、低い位置で繋いで奪われショートカウンターを受けるリスクを避けようとする意味合いがかなり強そうです。

磐田はボールが前線に入った時に後ろから選手が出てくるのが速いですけどヴェルディもかなり速くなってきましたし、デュエルも五分五分ですね。出足は磐田の方がよくトランジションの反応はヴェルディの方がいいのが違いかなと。

磐田がヴェルディのプレスを引き出すと降りてきた後藤が山田に叩いて展開するので本来はこれがやりたかったんでしょう。

お互い縦志向でカウンターの応酬になっていてリスク管理を優先させながら主導権の奪い合いが続く展開なのでやや停滞気味ではありますが、ここまで行ったり来たりが続くとスタミナの消耗が激しそうです。

ヴェルディが両SBを少し上げて2DHが少し下がる2+4でビルドアップするようになりました。SBが大外で張る分SHが絞ってビルドアップの出口を作りながら運ぶか逆サイドに展開して前進していきます。

お互い低い位置でのミスを避ける事と隙を見せない事を何より重視してる様子でカップ戦決勝のような固い展開が続いてますが、この試合は正にその通りなのでやむを得ない部分は間違いなくありますね。

43分に鹿沼に剥がされた所からマークがズレてドゥドゥのシュートまでいかれた所をマテウスがセーブしてくれましたが、やはり隙を見せると命取りになりそうですね。

終盤に押し込んで左右に揺さぶりながらポケットを突こうとしますが、磐田は中央を固く締めて守りますのでカウンタープレスからの方がチャンスを作れそうではあります。

低い位置でのミスを避けるのと隙を見せない事を優先して攻撃もあまり手数をかけないので普段やってる事をある程度犠牲にしてでもリスクをかけない展開が続いてましたが、お互い勝ち点3が必要なのでスコアが動くか残り時間が20分くらいになってこないと変わってこなそうな印象です。

蹴り合いながらカウンターの応酬でしたのでお互い平均ポジションが真ん中に寄ってますし、これだけ見ても展開はわからないでしょうね。

お互いの良さを消し合う固い展開ではありますが中盤での攻防やデュエルが激しく非常に見応えのあった前半。



後半、磐田のキックオフはGKの三浦まで戻して少しタメてからフィードしましたので前半同樣プレスを引き出してひっくり返す意図を感じます。ただ両SBが高い位置をとり2+2のビルドアップからCBがサイドに運んでヴェルディの陣形を拡げて絞ったSHに入れて前進するようになり立ち上がりから出力を上げてきました。

それと前半はお互いポケットを攻略してクロスが主でしたけど、後半の磐田は中央から縦に差し込むパスを入れてくるようになりました。もちろん通れば決定機になりますけどヴェルディに前向きで奪われるリスクが上がりますけど、ヴェルディはそこまでカウンターが上手くないのを織り込んでるのかもしれません。

前半から終始行ったり来たりの展開でしたので流石に疲れてきたのか中盤が空くシーンが出てきましたのでカウンターが効きそうではありますが、磐田は繋いでコンパクトな陣形を保つようになりましたので主導権を握りつつあります。


コーナーキックから落としのパスをドゥドゥが空振りしたボールを中原が拾って中央から運び、相手を引きつけてから左サイドの斎藤に出してGK-CB間への速いクロスを中原が合わせたこぼれに林が反応して押し込み先制します。中原が運んで出した後もスプリントを止めなかった事とよく林があそこまで上がってきましたね。正直ヴェルディはあまりカウンターが上手くないんですけど久しぶりに観た観た綺麗な形でした。

磐田からすれば主導権を握れそうな展開でリスクをとった所をやられてしまった格好になってしまいました。

前半終始固い展開でしたのでスコアが動いてからかなと思っていたのである意味ここからが始まりでもあります。磐田は当然前への圧力を強めてきました。

ヴェルディはGKの三浦が時間を作っても寄せに行かなくなりましたのでここの切り替えはできてますね。ただ最終ラインには寄せていきますので基本的なやり方は変えないようですがこの時間帯ならこちらの方がいいと思います。

またお互い縦に速い展開になりましたがデュエルやトランジションでの攻防がより激しくなってきました。もちろんクリア等セーフティなプレーでは蹴りますけど繋ぐ意識が高くなってきた印象です。

ヴェルディとしてはゲームを落ち着かせたいんでしょうけど磐田が時間を削ってくるので難しそうです。基本的にゲームのテンポは非保持側が決めるのでやむを得ないんですけどね。

磐田は幅をとる両SHに入れながらヴェルディのプレスやスライドのズレを突いていきたいようですが、お互い中央が固いのでもう1つ何かが無いと難しそうな感じです。ヴェルディとしてはテンポを落としゲームを落ち着かせるにはセットディフェンスしかなさそうなので悪くはないんですけど、ボールを渡して主導権を握るスタイルはロティーナさん以降やってないんですよね。

57分に河村と斎藤→山田と平へと交代。平は左SBに入り加藤蓮が左SHへ移動。磐田は繋ぐシーンが結構増えてきましたけどヴェルディはダイレクトが多いのでより消耗が大きいと思います。

60分に山田と松本→藤川と古川へと交代。前線の選手は運動量が多くなるのでヴェルディと同じ理由なんでしょう。磐田は繋ぐよりスペースを突いていきたい交代のように見えますが、ヴェルディの寄せが速い分遅らされてしまうって感じなのでドゥドゥや古川が仕掛けたり個の強さを押し出すようになってきましたが。

62分の山田が倒れたシーンは古川が足を蹴ってるのが何でファウルじゃないの?って事なんだと思います。

古川が左サイドから突破を見せる事で左右両方から攻められるようになった分中央に楔を打たれるシーンが出てきたのでヴェルディとしてはまずい展開になってきました。

65分に加藤蓮→綱島へと交代。左DHに入り森田が左SHへ移動。

前から行って中盤で奪えるシーンや中央にパスを入れてサイドから前進できる事も結構あるので行くか引くかの判断は確かに難しい所ですね。もちろん失点したくはないですけど追加点をとれればゲームを終わらせる事ができるので

よく守備を固めて逃げ切るor勝ち点1でも御の字!って相手にわざと隙を見せて奪えそうな雰囲気を出してプレスにきた背後のスペースを使って崩す事がありますけどそんな感じになってます。磐田がそれを意図的に狙ってる様子はないですけど結果的にそうなってます。

ただ磐田が両サイドで優位性を作れるようになった分中央を狙えますのでヴェルディの対応が後手に回ってますし、意図した奪い方ができてる訳ではないのでポジドラも安定しなくなってきたので構えて守った方が良さげな展開になってきました。ロティーナ監督時はそうでしたけど、耐えるより相手に持たせてあげてる位の余裕があればいいんですけどそんな感じはないのではっきりさせたい所なんですけど、一刺しできそうでもあるので城福監督も判断が難しい部分があるのはよく理解できます。

69分にポケットを崩されてカットインしてきた上原にファーに決められてしまいました。上記したように行くか引くかはっきりしたかったですけど所詮結果論ですからね。

ヴェルディがボールを持てるようになりましたけど、ヴェルディは得点して受けに回るような形でしたし、磐田も今までのようなリスクをとらなくなったので展開も振り出しに戻りました。

中盤だけでなく全体的にスペースができてオープンな展開になってきましたのでどっちに転ぶか?の展開。カオスなオープンな展開は個人的には好きではないんですけど、ここまで散々走り回ってきたのでお互いやむを得ない部分は間違いなくありますね。守備に隙がある分今度はボールを保持した方がチャンスになりそうなですが、磐田が持つ事が多いので主導権を奪われている展開。

磐田は個々の質が高く右サイドのポケットを崩される事が増えたので何かしらの手当をしたい所です。カウンターで決定機は作れてますので守備的になれというより意図的に奪える形にしたいんですよね。

78分の山田と染野でカウンターをしたシーンでのオフサイドの笛はおそらく歓声で聞こえてなかったでしょうけどアフタープレーではありますからね。

ヴェルディは中央でレイオフからチャンスメイクしてできるようになりましたのでノーガードの殴り合い状態ですけどこうなると質の差が出やすくなるんですよね。ただ勝ち点3をとる為に今できる事は精一杯やってますので例え結果がどうなろうとこれでいいかなとは思います。

この時間帯でもデュエルが激しいですけどもう気力だけでやってる感じなので文字通り死闘になってます。

87分に鹿沼とドゥドゥ→藤原とファビアンゴンザレスへと交代。ファビアンゴンザレスはCFに入り後藤がトップ下へ移動。

88分に森田と林→梶川と山越へと交代。正直梶川はこんなに早く戻ってこられるとは思ってませんでしたので本人の努力や周りのサポートが大きかったんでしょう。

オープンな殴り合いが続きます。選手達が清水の結果を知っていたかどうかはわかりませんが、お互い引き分けは実質負けなので現状では勝つ為にはこれしかないんでしょう。いい悪いではなくここまで行ったり来たりで消耗しきってますからね。

お互い無意識下でプレーしてる印象なので戦術云々って感じではなく今までチームでやってきた事や経験則を頼りにしてる印象です。

行ったり来たりの展開なので当然審判団も疲弊しますし、選手と違って途中交代もできないのでやむを得ない部分もあるのはよくわかるんですけど、判定基準がはっきりしない事が増えてきました。ただ両チームの選手達もヒートアップしてますのでここのマネジメントもしながらだと難しいのは理解できます。選手や指導陣サイドも谷口のは警告なのかとかファビアンゴンザレスもアフターでプレーしてたじゃないかっていうのもよくわかります。そもそも自動昇格をかけた大一番の最終盤に冷静になれっていうのは流石に無理ですからね。

オープンな殴り合いが続きますがお互い得点を奪えずに終了。両チームの監督が抗議してますけどAT内のATを考えると少し短いからとは思います。



最後に、お互いリスク管理を重視していたので低い位置で奪われたり隙を見せない事を優先させていたのと、終盤のオープンな展開で終始行ったり来たりの展開な上に、デュエルが激しくトランジションの反応もよかったので消耗が大きかっただろうなっていうのが一番の印象でした。もちろんそれだけこの試合の重要性をわかっていたからでもあるんですけどね。

磐田の方が繋いでポケットから崩したりやりたい事をできていましたけど、ゲーム中盤以降はトランジションと強度で上回れてましたし、鋭いカウンターを繰り出す事もできていて今できる事はほぼほぼ出せていたので勝ちたかったですけど内容面は満足してます。後はセットディフェンスをもう少し整備して意図した所で奪えるようになればもっとよくなると思いますし、持たれる事が苦にならないんじゃないかなと。もちろんチームとしての方針はありますけど今日ではできない事や苦手な事を突かれるので最終的には全部できなきゃいけないんですよね。

磐田は前線で起点を作ってサイドに展開したり、最終ラインが開いて両翼や中央への縦パスからチャンスメイクしたりしながらカウンターも強力でデュエルも強くトランジションの反応もよかったですし個の能力の高さは流石でした。