20230412 第9節ホーム秋田戦

ホーム秋田戦。ヴェルディは4-1-2-3で秋田は4-4-2でスタート。

ヴェルディの保持時は、左SBの加藤蓮が高めの位置をとり右SBの宮原は最終ラインかアンカーの横にいる形でのビルドアップで、右サイドはバスケス綱島宮原が旋回して秋田の守備の基準点をズラしながらのレイオフで中盤で前を向いて持てたらサイドチェンジで前進していきます。秋田がソリッドなゾーンなのでできるだけ幅を使って前進していきたいようですね。左サイドはサイド奥をとったマリオから平行やマイナスパスと、手前から中央への斜めのパスでスペースを突いたり作ったりしてチャンスメイクしていきたいようです。右サイドはバスケスが仕掛けてシンプルにクロスの形が多いので右サイドはビルドアップの種類が豊富でチャンスメイクはシンプル、左サイドはビルドアップがシンプルでチャンスメイクの種類が豊富って印象です。秋田は基本ゾーンなんですけど、ヴェルディが少しでも受け手を探したり迷ったりすると躊躇なく寄せて奪いにきますね。

非保持は、クリーンにロングフィードを蹴らせないように前線の選手が寄せていき、後ろは受け手に起点を作られないように対応しながら秋田の選手が降りて行く所についていくので最終ラインは人基準で守るようなので、ロングフィードが来る時は林を降ろして数的優位を確保するのが約束事のよう。セットする機会はほとんどないのでよくわかりませんが、ボール近くではマンツーそれ以外はゾーンで守っているように見えます。

秋田の保持時は、フリーでボールを持った時はシンプルに背後を狙ったりCFに当ててSHがサポートしながらゴールに向かい、スローインも含め縦に縦に出しながらオーバーラップしたSBかサイドからクロス、ダメそうなら戻して逆サイドに展開してクロスがメインで、敵陣奥ではロングスローを放り込んでくるとやり方が徹底されてる分迷いなくプレーしてますね。

非保持は、ゴールキックでは前から追って後ろが連動して押し上げるソリッドな形で二度追いはしますが人よりゾーンを守る意識が強いように見えます。セットするといつも通りソリッドな4-4-2でスペースを消しながら寄せてきて前進を阻み、サイド奥をとられた時はボールホルダーに寄せながら中央に人数を割いてプロテクトしてきます。非カウンター時に中央に2枚残って戻りながら中央へのコースを切ってるので見た目程危ないシーンは作られてませんね。

秋田が蹴りヴェルディが蹴り返す中盤での攻防戦が激しい序盤。ヴェルディはフリーで蹴らせないように寄せにいきながら最終ラインを押し上げる事でリスクヘッジをしていきますが、少しでも迷ったりしたら決定機を作られそうではあります。

予想通りヴェルディが保持する時間が多いんですが、秋田は中央を切ってサイドに出させた受け手に前を向かせずあわよくば奪うって感じの対応なので最終ラインで持つ時間が多いです。

今節はファウルをとってもらえますし、激しいですけどクリーンなデュエルですね。今季はJもWEも激しいと荒いの区別がついてないように見える試合が目立つ気がするので、激しいコンタクトプレーを容認しながらも選手を守る判定をしてもらいたいなと。

秋田は自陣からのフリーキックを蹴るのがGKの圍でCBを上げてきますしほんとやるべき事が徹底されてます。シンプルですけど選手達にやりきらせるのはほんと難しいと思うので吉田監督のマネジメントが素晴らしいんでしょうね。それとヴェルディは秋田のセットプレーやゴールキック等ほぼほぼロングフィードが来る局面では林が最終ラインに降りて5バックになりリスクマネジメントをします。

左サイドで出し入れして右サイドがスペースになると、大外のバスケスが降り宮原がアンダーラップと釣瓶の動きをしますし、バスケスが持つと宮原がオーバーラップでサポートしますので受け手のアクションに応じてサポートする形がデザインされているようです。

秋田はロングフィードを収めた所にサポートをするとサイドに叩くより縦に入れてきますし攻撃には時間をかけませんね。シュートで終われれば一番いいけどロングフィードゴールラインを割ればカウンターを受けるリスクを回避できるのでオッケーって印象です。

ヴェルディはリスクマネジメントを考慮した分ビルドアップが少し難しい状態であまり前進が上手くいかないんですけど相手の土俵でプレーしてる訳ではないですし剥がせれば一気にチャンスにできそうではあります。

固い展開ではあるんですけどモビリティと激しさがあるので見応えのある展開。失点が少ないチーム同士の対戦は大人しいというか塩展開になりやすいのでそういう意味ではありがたいですね。

29分にバスケスが飯尾に倒された時にボールにはいってるよって声が聞こえましたが、ボールにさえいってれば何をやってもいい訳ではありませんし、選手が危険に晒されてるかどうかで判断してほしいなと。

ヴェルディは後ろで廻す時間が長いんですけど、相手を寄せてダイレクトに戻す事も多いので攻めあぐねてるというよりは相手を動かして疲れさせるorスライドのズレを狙うって印象なのでどちらのペースなのかの判断は難しい所ですね。解説の幸谷さんは攻めあぐねてると判断してるようですけど、長くヴェルディを観てる方程そう見えるのはこのクラブの歴史上やむを得ないと思います。

秋田はボールホルダーに寄せながらゾーンの原則に沿ってスライドするので、ハーフスペースの外側か大外に振って折り返す方が決定機を作れそうな印象です。

秋田はボールが前進すると連動して押し上げるので、セカンドを拾ったり引っ掛けて奪った時に前線に人数をかけられるのと同時に奪われた時の準備もできる構造になってますが、後方中央をプロテクトする意識が高く盾で殴るって感じで、言い方は悪いですが愚直に続ける事でいつか事故を起こせる!って印象があります。

そりゃあお互い得点できれば一番いいですけどまずは失点しない事を重視してるようなので、ヴェルディがボールを保持する時間が長い分広めの陣形なのでポストプレーやセカンドの争いで劣勢になる事が多く秋田の方がやりたい事はできてますけど、前半はスコアレスでオッケーって印象があります。

ヴェルディが保持する時間帯が長く、ポゼッションの為に陣形が広がる分セカンドボール争いで劣勢になったので秋田の方がやりたい事はできていたように見えますがどっちのペースかは難しい所ですね。両チーム共まずは失点をしない事を重視するプランだった割にはモビリティと激しさがありそこまで固い展開にならなかったので観客からすればそこはありがたかった前半。



後半頭から山田→河村へと交代。後半から河村をCFにするのはお馴染みになってますね。山田は背後を狙って陣形を押し下げたり間延びさせるタスクはこなせていたと思いますので引き続き頑張ってほしい所です。

前半同様蹴り合いからスタート。前線が河村になった事で秋田にフリーで蹴らせるシーンは減ってきました。

47分に水谷が一瞬タメてからのスルーパスで決定機を作られましたが、秋田ではあまり見ない形の崩しでしたがマテウスが防いでくれました。

水谷がうずくまってたのでGKの圍が蹴り出したボールを返すんですが、中途半端に返してプレスをかける小賢しいやり方をする位なら岡山みたいに正々堂々と返さない方がずっといいと思いますね。自分達の選手が傷んで出したんだから返さなくてもいいよね?は筋は通ってる訳ですし

秋田はGKまで下げる時は追ってくるんですけど、そうでない時はセットするのでボールを出し入れしながら秋田のプレスを揺さぶるようになった事でスペースができてビルドアップの出口を作りやすくなってきました。平が加藤蓮の方を向きながら内側へ運ぶ事でプレスを剥がしたプレーも良かったですね。


高い位置にいるマリオからのバックパスを受けた加藤蓮からの逆サイドポケットへのクロスを河村が競ったこぼれを綱島が押し込み先制しました。バックパスで縦、ファークロスで横に揺さぶって相手をズラしてスペースを上手く活用できたと思います。

54分に畑と丹羽→才藤と吉田へと交代。疲労でやるべき事が少し遅れてきた選手を代えているように感じます。

55分にも宮原のフィードを奥から戻してファークロスと前後で揺さぶる形がありましたのでこれはチームとしての狙いなんでしょう。

ビハインドになっても秋田はやり方を変えませんが、後方のリスクケアをしながらも前に人数をかけるタイミングが速くなったように感じます。

ヴェルディは河村が収めて時間を作りながら人数をかけて前進しますので前半より安定して敵陣に入れるようになったのでここは山田にも頑張ってほしい所。当然秋田は守備をサボらず自陣に戻るので奪った後の攻撃に時間がかかります分非カウンター対策にもなりますからね。

秋田が疲労で運動量が少し落ちてきたのも大いにあるんですが、ヴェルディはGKまで戻して秋田のプレスを呼び込んで剥がしたり河村が収めて前進する形を併用しながら敵陣で持てるようになってきました。


コーナーキックでニアにいた千田がスラしたこぼれを林がニアに決めて追加点をとりました。受けてからシュートまでが速かったですね。

65分に青木と水谷→梶谷と小暮へと交代。小暮は右SHに入り才藤が左SHへ移動。

ヴェルディゴールキックで繋がなくなりましたが、リードしてますしリスクを負う必要はないと判断したようです。IHの綱島が大外に降りてビルドアップに絡む形は初めて見たと思うんですが流れの中でのプレーだったんでしょうか

秋田の疲労が濃くなってきてスペースができたのでヴェルディがスムーズに前進し押し込めるようになりました。もちろん追加点がとれれば一番いいですけど、秋田の攻撃に時間をかけさせられる分守備としても効いているように見えます。もちろん秋田が出てこなければ後ろで廻して時間を浪費すればいいですからね。

急がすゆっくり廻して時間を使いながら秋田が出てきたらスペースを突いていくクローズドな展開ですがヴェルディはこれでいいと思います。

75分に斎藤とバスケス→北島と佐川へと交代。佐川はCFに入り河村が右WGへ移動。

佐川は前線から果敢に追い回してプレスバックもしっかりやりますし、かなりフィットしてきたようですね。

78分にマテウスがエリア端までボールを運んでから拾ったのは柴崎から習ってたんですかね?

ヴェルディは落ち着いて廻してスペースがあれば前進して時間を使いながら秋田の速い攻撃をしにくくしてるのでペースを握れてますし安定してます。

82分にマリオ→楠へと交代。マリオはスピードがありますし少しずつフィットしてきてるようなのでこれからが楽しみです。

秋田は諸岡→井上へと交代。

秋田がパワープレーへと移行してきましたがこちらもヴェルディの陣形を動かしながら迷いなくバカスカ放り込んできますし、上記したような事故の起こし方をよく知ってるなと。現地では秋田にボールを渡したように見えたんですけどそうでもないですね。

86分にブロックに入った千田とマテウス、秋田は井上の吉田が交錯したんですが、マテウスは大丈夫そうなんですけど吉田はプレー続行が難しいようで10人での闘いを強いられるようになってしまいました。

89分にコーナーキックをニアでスラしてファーで後ろから入ってきた飯尾に蹴り込まれ1点返されます。ここまであまりいい形は無かったですけどセットプレーのデザインはさすがだなと。

90分に加藤蓮→山越へと交代。後ろを5枚にしてクロージング。

また忙しい展開になりましたけど秋田はそこまでプレスで時間を削ってきてる訳ではないので付き合う必要はないと思うんですがちと難しそうな印象。ATが8分あるので追加点を狙いにいきたいのもわかるんですけどボールが行ったり来たりする展開は秋田の土俵なんですよね。

セットプレーではGKも上がりますが数的劣位ですしリスクは許容するしかないでしょう。

楠が抜け出したシーンは先に身体を入れていた井上を倒したと判断されたんでしょう。惜しかったですね。

秋田のパワープレーを耐えきって終了。



最後に、前半はお互い失点しない事を最優先にしてるような感じで、ヴェルディがボールを持つ分陣形が広がるので秋田にセカンドを拾われてましたが、相手を動かしてた分後半は秋田のプレスをズレを活かして前進し主導権を握れてた時間帯に先制点をとれたのが大きかったと思います。サイドで押し込んでからのマイナスパスで引き出してからもう一度逆サイドポケットへのクロスで揺さぶって先制点をとれたのが大きかったですね。前に出ながらならパワーを持って行けますけど、下がりながらでは難しいのでそれが河村が競り勝てた要因の1つになったんじゃないかなと。

もちろん連戦の影響も大いにあったでしょうけど、前半パスを廻して秋田のディフェンスを動かし続けた結果スペースを活かして主導権を握れたのでここはおそらくプラン通りだったんじゃないかなと。

終盤割り切ったパワープレーで押し込まれて失点してしまいましたが、こういう難しい試合を勝ち切れたのは大きいですしこれからに繋がっていくと思います。

秋田はソリッドな守備からのロングフィードや縦縦のパスで前進し、そのまま中央突破ダメならサイドからクロスで攻め、激しいですけどクリーンなデュエルで闘うと相変わらずやるべき事が徹底されてる分迷いなくプレーしているので、強固な組織を構築できているからこそこの順位にいるんでしょうね。ある程度成績が安定するとやりたい事の色気が出てくるモノだと思うんですが、できる事やるべき事をここまで徹底できてるのは吉田監督のマネジメント術なんでしょうね。