20230312 第4節アウェイ徳島戦

アウェイ徳島戦。ヴェルディは4-3-3で徳島は4-1-2-3で直接GKまで戻す珍しい形のキックオフからスタート。

ヴェルディの保持時は徳島のプレッシャーで繋ぐより蹴る事が多いんですが、相手の背中に隠れてしまってしまっていたりパスコースを作る動きがほとんど無いので前進がままなりません事が多いです。そして蹴ってもほとんど徳島の中盤に回収されてしまい二次攻撃を受けてしまってますし、CFのマリオが収めて時間を作ると周りがサポートするより前に行ってしまうのでダイレクトもちとチグハグな印象が強めです。右サイドは右WGのバスケスが張って右SBの宮原がアンダーラップでサポートして右IHの斎藤も絡んだコンビネーションを使い、左サイドは左SBの深澤が張って左WGの河村が絞ってクロスと速い攻撃が多いようです。

非保持はCFのマリオはプレスのスイッチを入れるというよりコースを切る感じで後ろのハイプレス陣形と噛み合ってない分後手に回ってる印象です。前節のラスト10分で押し込まれた時もそうでしたのでここの擦り合せは早急に進めていってほしいですね。とはいえハイプレス時に二度追いができない場合はGKまで寄せにいかない所の意思統一はできてる様子。

徳島の保持時は両SBを上げてCBとアンカー白井に左IHの杉本が並ぶ2+2のビルドアップなんですけどヴェルディのプレッシャーがある時はどちらかが上がってもう一方が降りる所の意思統一はしっかりしてますね。左サイドはSBの外山に出すとそのまま前進してクロスを上げたりCFの西谷が流れてきてサポートし中盤に叩いて前進します。右サイドは中盤から(右IHの柿谷が多め)から右SBの浜下へ叩いて柿谷とトップ下の坪井が絡んでのコンビネーションでポケットを狙ってきます。2トップ目掛けて蹴る時は競る人セカンドを拾う人と役割分担をします。

非保持は基本的にハイラインハイプレス志向なので4-2-3-1で配置を噛み合わせて寄せてきます。ヴェルディゴールキック時は左SBの外山の残した3-3-3-1でセットして最終ラインで数的同数を受け入れてるんですけど風下で到達までに時間がかかるからOKって判断なんでしょうか

ヴェルディのプレスが噛み合わず後手後手になって押し込まれてますし、保持時もパスコースを作れておらずビルドアップがままならず蹴ってもマリオが孤立とにんともかんともいかない状況で徳島のターンが続きます。

6分にマリオのキープからようやくボールを保持できるようになりましたがパスコースを作る動きが無くボールホルダーを追い詰めるような感じになってしまってますね…

10分のコーナーキックでキッカーの斎藤がニアの宮原へグラウンダーで合わせてフリックしたのはおもしろい形でした。

相変わらずヴェルディのプレスがハマらないんですけど、徳島の選手がレーンを跨ぎながら斜めのパスでビルドアップの出口を作る巧さも大いにある感じですね。

ヴェルディは最終ラインから晃樹や斎藤が受けられた時はスムーズに前進できてますのでアンカーの林がパスコースを作ってシンプルに捌いたりする所がもっとできるようになってくれればいいなと。

15分位から行く行かないが整理されてきてヴェルディのプレスが改善したんですけど徳島は風上なので蹴るだけでも背後を狙ってチャンスメイクができそうです。

セットする時はセットする意思統一もされてきましたが、徳島が中に人数をかける分中を締めて守る所はしっかりしてますし、意思統一が揃えば守備は問題なさそうです。

18分くらいから林が最終ラインに降りてビルドアップするようになり晃樹がアンカーの位置に入るようになりある程度前進が巧くいくようになり安定して保持できるようになってきました。

柿谷は比較的自由に降りてきたりするのである程度の自由が許容されているように見えます。

お互い攻撃があまり巧くいってないのでショートカウンターやセットプレー以外では失点しなさそうな展開。ヴェルディは相手のプレスを正面から受けるような縦パスが多いんですけど背後を狙うフィードが強風で使いにくいのもありそうですし、徳島は前進はいいんですけど収める所とコンビネーションが今ひとつって印象。

押し込まれて耐える展開が続きますが、徳島があまり幅を使わない事もあり中央を締めて守れてるので事故以外では失点しなさそうな感じです。

ヴェルディは強風の風下で背後を狙うフィードを難しかったのはありますが、ビルドアップがままならないのは引き続きの課題ですね。ただクロス時に逆サイドWGが入ってきたり球際や中央を締める守備はしっかりしてました。

徳島は前進はスムーズでしたけどポゼッションであまり幅を使ってなかった分守りやすかったので決定機を作れてなかった印象がありました。

ビルドアップの問題はあり押し込まれても耐えられていた今季の強み弱みがわかりやすかった前半。



後半頭からマリオ→梶川へと交代。左WGに入り河村がCFへ移動。マリオはパフォーマンスというよりもフィットするにもう少し時間がかかりそうですね。

ヴェルディは風上を活かして縦に速い攻撃が増えてきましたし、CFが河村になった事でプレスの強度が上がりました。おそらく当初のプランなんだと思います。それと幅を使ってプレスを回避しアタッキングサードまで侵入できるようになってきました。

逆に徳島はロングフィードが増えてきたんですが強風で押し戻され落下地点に入るのが難しそうな感じですし、背後を狙われる可能性が減った分ヴェルディはラインを上げて回収できてます。

51分に高い位置で林が奪ってからバスケスに渡してからのクロスがオウンゴールになりまました。奪い方やクロスの質が素晴らしかったので対応が難しかった部分はあると思います。

先制して元気になったのもあるんでしょうけどプレス強度が上がってきて徳島が蹴る事がより増えてきたんですが、ロングフィードというよりも苦し紛れの意味合いの方が強そうです。

ヴェルディのハイプレスで徳島が詰まって蹴ったセカンドを回収して再攻撃と前半とは一転して押し込む展開になってきました。ビルドアップは巧くいってはいませんが背後を狙って深さを取る所は引き続きできてます。

徳島に押し込まれても前進を阻みながら寄せにいく所やプレスバックはしっかりしてますし、トランジションも速いので危ないシーンは作らせてないですね。それと数的同数ならプレスに行き劣位なら構える判断が良くなってきたように感じます。

63分に細かく繋いでからのレイオフで河村が抜け出しGKをかわす所までは上手くいったと思いますのでゴール前での落ち着きが出てきたのかなと。もちろん得点できてれば一番良かったのは間違いないですが

63分に杉本と外山→杉森と内田へと交代。杉森は右CF内田は右CBに入り西谷が左IHカカが左CB安部が左SBへ移動。

ヴェルディの楔が入るようになり前進がスムーズになったんですが、後半ヴェルディの振る舞いが変わった事と風の影響で今度は徳島の対応が後手に回る形が多いので徳島からしてもこの風への対応は難しい様子。

67分に坪井→児玉へと交代。

徳島がハイプレスに人数を割くようになり、後ろが局所的に数的同数になるようになったんですがビハインドを考慮しても風下ではちとリスキーな印象です。

林は飛び出してきてボールの出処を抑えたり競り合い等の守備面では効いてますので、後はビルドアップ時にパスコースを作ったりサポート等の攻撃時の課題をクリアしていってもらいたいですね。

お互い縦に速い攻撃が多いので少しオープンな展開になってきました。



梶川のコメント


--自身の得点場面について。FKの1本目にもう少し遠い場所から蹴った感触として風上の優位性を感じ、もう少し近いところであれば狙えそうだと感じていました。そのほかにもCKを蹴っていた中でキックの感触は持っていて、一発狙ってみようと思いました。でも、単純に狙うだけだと、GKもニアを警戒してくると思ったので、いつもどおり手を挙げて合図を出すことと、中にいる選手には「入ってくれよ」みたいなジェスチャーを出しながら狙いました。

--徳島のGKがJデビュー戦だったことも情報として入れた上での選択でしたか?そうですね。(田中)颯は東京Vユースなので、練習参加に来ていたときから知っていて、トップ昇格ができずに悔しい思いをしていただろうとも思っていました。今日のプレーを見ていて、安定していると思いました。ただ、駆け引きみたいなところはおそらく「まだかな」というふうには想像していたので、その駆け引きは上回れたかなと思います。

颯君がクロス対応でファーに動いた分少し反応が遅れましたからね。ちとほろ苦いプロデビュー戦になってしまいましたけどここまでの対応は良かったですしこれからも頑張ってほしいなと。

ヴェルディのハードワークが効いてるのももちろんあるんですけど徳島のパスが繋がらなくなってきて焦りがあるのかなと。

81分に斎藤とバスケス→西谷と楠へと交代。

83分に浜下と渡→西野と森へと交代。

楠が長い距離を運んで陣地回復をしながら時間を作ってくれましたが、この時間帯では特にチームを助けるプレーだったと思います。

2点リードした事である程度余裕が出てきたのもあると思いますが、ヴェルディは守備や球際をサボらず切る所はセーフティに切ると判断も良くなってる印象です。

89分に晃樹→綱島へと交代。

徳島は人数をかけて攻撃してきますがヴェルディは中央を締めて対応できてる所は一貫してますね。

90+3分に河村→佐川へと交代。

特に危ないシーンを作られる事がないまま終了。



最後に、前半マリオが背後を狙うプランは上手くいってたとは言いにくいですし、ビルドアップの整備はまだこれからって印象が強いですけど後半の縦に速い攻撃は引き続き整理されていますし、クロス時に逆サイドWGが入ってきたりポケットからの崩しの約束事は形はしっかりしてると思います。守備面は前半はプレスがハマらず後退する事が結構ありましたけど、相手の前進を阻みながら中を締めて守る所はしっかりしてましたし、後半はハイプレスでハメられていて今季一番守備が強固でした。これならそう簡単に失点はしなさそうですし勝ち点を拾いながらチームビルディングをしていけると思います。

徳島のビルドアップは整備されてましたけど中央に人数をかけあまり幅を取らないので中央を締めて守るヴェルディのブロックを崩しきれずあまり決定機を作れてなかった印象が強いです。守備は後手に回って前進を許す事はありましたけどトランジションの反応は良かったと思います。

ヴェルディとしてはルーキーや若手を出場させられたのも今後の財産になっていきますので2点差にできたのが大きかったかなと。

まあお互い風に苦労してましたしそれが2年連続ヴェルディに味方したみたいな感じでした。


城福監督のコメント

前半にエンドを入れ替えた意図はマリオ エンゲルス選手を背後に走らせる狙いもありましたか?

そうですね。それもありますし、思ったような展開にはなりませんでしたが、彼のスピードを生かすという意味では、もう少し彼に近いところからフィードを出してあげたかったという感じです。エンドは意図的に変えました。

マリオがどういったタイミングで出力を出すべきかという点で順応している段階なので、トータルとしては悪くなかったですが、前半には課題が残りました。後半はよかったと思っています。

どちらというか、このスタジアムは全体的に風が巻いている感じなので、必ずしも風下を取ったわけではないですが、マリオのスピードを生かす上ではボールが流れるよりも少し止まったほうがいいという判断でした。

マリオはポストプレーがメインタスクのようになってましたけど、本来は背後を狙って深さをとってもらいたかったので収めた時に周りがサポートではなく前に行ってしまっていたようですね。風上で強くプレスに行って蹴らせればほぼほぼ回収できるので後半勝負のゲームプランだったのかもしれませんが