20201107 第32節ホーム徳島戦

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ホーム徳島戦。ヴェルディ保持時3-2-5非保持時4-4-2。徳島保持時3-2-5非保持時4-4-2。

早速ですが、上福元からのパスを受けた石井がキープしたまましばらく待って端戸と佐藤を引きつけてから岩尾に出した事でフリーで受ける事ができました。繋ぐサッカーをやる上で中盤に運ぶドリブル(コンドゥクシオン)と少し待って相手を引きつけ受け手を自由にするプレー(パウサ)は必須になるんですけどこういう所はさすがですね。もちろん失敗したら即失点になるんですけどリスクとリターンの関係で言ったらリターンの方が大きいですし、繋ぐスタイルをやるなら絶対に装備しておかなければならないスキルですね。)ちなみにパウサはポジショニングを整える時間を作る事に使われます。

徳島の前線は垣田(清武と役割分担してますが)なのでアーリークロスも効果的に使えてます。徳島は前線にキープさせて時間を作るというよりはハイプレスをひっくり返すプレス回避のターゲットと背後を突くのがタスクの様子。今のヴェルディの編成ではこういう選択は難しいかなと。

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ヴェルディは垣田の脇から平が運んでる時に井出か流れてしてしまい平のスペースを潰してしまってるんですよね…1人でできる所に2人使ってしまっては当然前線の人数が減るのでビルドアップ時に詰まりやすくなってしまいます。このケースでは審判の後ろのセンターサークルの辺あたりにいてもらえると助かるんですが岩尾の前で受けプレスを受ける形になってしまったので戻すしかなくなりました。

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このケースは平に杉森が寄せてる分WG-DH間にスペースがあるのでここで受けるのは味方を助けるプレーになりますね。実際端戸が収めてからのリターンを受けて逆サイドの小池への展開までいけました。

上福元の技術からすればビルドアップの起点になる事なんて造作もないんですが岩尾が受けにきました。井出にマークにつかれてたのもあるんでしょうけど、ここから運んで端戸と佐藤を引きつけてから鈴木に出す事で受け手が時間と空間を得る事ができましたのでここから西谷→杉森とスムーズなビルドアップでした。

ここまで書いてまだ2分しか経ってない(^^;)

ヴェルディは縦に早い攻撃は整備されてきてるんですが、ビルドアップから始めると徳島との差が見えますね。どこにスペースがある(できる)かを見つけ共有できる状況判断。こうなればここにスペースができるよね?って所を徳島は共有できている印象です。こういう時はABC3つの選択肢があるけどどれを選ぶかは自分で判断しなさいみたいな感じ。もちろんロドリゲス体制4年目のチームと比較するのはフェアではないんですけど、繋ぎ倒して圧倒するには絶対必要なスキルなんですし、これは永井監督の言う相手と相談するという部分ですよね。

徳島は福村片上げの3バックに3トップを合わせてきて譲瑠が浮く形になったので井出に当てて譲瑠に落とし端戸に当てて潮音とレイオフ(落としのパス)を使って前進していきます。2歩進んで1歩下がる事で前向きで受けられる選手を作るのはいつもやってる形ですね。

このファウル後に福村からのスルーパスを端戸が受けて折り返す形はスムーズでした。

徳島の守備は最後ラインまでプレスに行かずに3-4-3で構えてから高い位置をとり福村に引っ張られるように藤田杉森が降りて4-4-2になります。ここは整備されてますね。

ヴェルディの守備はセットすれば4-4-2なのはいつも通りですが、徳島の最終ラインが持った後待ってヴェルディの選手を引きつけてから(パウサ)パスを出す分1列目と2列目の距離が空きがちです。

今節のコーナーキックはニア狙いではなく中央やファー。徳島はビルドアップ能力と引き替えに高さに問題があるのでその対策なんでしょう。デカくて強くて足元上手いDFなんてJ2では獲れませんので優先順位を決める必要性に迫られるますしここはやむを得ない所です。

ゴールキック時にまた岩尾が降りるんですが、それならCBに当ててリターンを受けるかCBどちらかに蹴らせて上福元が中央で受ければいいんじゃないかなとは思いました。

今節のコーナーキック時の守備はマンツーにしてきました。徳島は4人が一直線になってから左右に散る形で前節の金沢よりシンプルな形。

先ほども触れましたが徳島はビルドアップ時に譲瑠に特定のマークをつけてませんので誰かに当てて譲瑠に叩くのがあってもいいんじゃないかなと。レイオフの前進の時はスムーズにやれてましたので。

4-1-2-3と3-4-2-1の噛み合わせの関係上中央で数的不利になる分降りてきたDHやWGに運ばれてしまうシーンが目立ちます。ヴェルディは非保持時4-4-2なのでセットしてしまえば大丈夫なんですが前からいくなら人を掴んでしまった方が良さげな感じですね。ここから押し込まれるシーンが増えてきました。

ロドリゲス監督がボールを失った時に「切り替え!」って叫んでましたが、予防的なポジショニングの方かなって気はします。

17分のマテウスから端戸へのライナー制のフィードは受け手が時間と空間を得られるので良かったですね。もちろん相手の配置をしっかり見れてたのも含めですが

18分、クリアミスを藤田に拾われてクロスが入り垣田に2CBがついて清武にフリーで打たれて失点。若狭も西谷を見張る必要があったので清武のポジショニングを誉めるべきかなと。

徳島にスムーズに運ばれて押し込まれ、ヴェルディのビルドアップで詰まって奪われるか蹴る事が多いです。徳島は最終ラインがボール持った時に一旦待ってヴェルディの選手を引きつける分2列目との距離が空くのでそこを使われてしまってます。何度も言いますがヴェルディにもこういうプレーをしてほしいんですよね。

潮音と井出がポジションを入れ替えたりしてますがここは流動的にやってるようです。

空いた所を使われ守備で振り回されているのではっきり人を掴んでしまった方が状況整理ができるように感じます。

徳島はボールが前に出てこないシチュエーションでは自分のポジションを捨ててプレスに加勢してきますし原理原則がしっかりしてますね。

30分過ぎからヴェルディはマンツーでついていくようになった分個々の役割が整理されプレスが機能するようになってきましたし、ビルドアップでもワンタッチで3トップの背後にいる譲瑠を使って前進する形が出てきてようやくボールが持てるようになりました。押し込んでしまえば自分達の形が出せるんですがそこまでが課題なんですよね。

コーナーキック時に徳島の選手が全員が戻ってるのはわかるんですが、譲瑠はセンターサークルにいるんですね。全員が引いてるならもう少し前でもいいかなと。中継では見えない部分を解説してもらえるのはありがたいです。

38分の徳島のフリーキックから始まったシーンなんですが、佐藤が数的不利にも関わらずプレスにいって剥がされ背後のスペースを使われて前進されてしまいました。プレスは最低でも数的同数でないと背後のスペースを与えるだけになってしまいますのでここは修正ですね。気が立ってたのかもしれませんが

マンツー以外のハイプレスは間延びした所を簡単には使われてますね。こういう時はここが空くの認知判断だけでなく予測の所も磨かれてるんでしょう。

劣勢な中での43分、垣田の落としを譲瑠が奪って前線の端戸に渡して仕掛け2人に引きつけてから走りこんできた譲瑠に出してゴール左隅に流し込み同点!緩くなったパスを見逃さずに奪ってから一気に縦に出てきてどこのジェラートですか?って感じでした。

新潟戦では、「ん?入った?」って感じでしたけど今回は正真正銘文句無しですね。

この後は人を掴みに連動して寄せにいけるようになって奪えるシーンが出てきました。ここまで散々走らされてましたから追いついた事で元気が出たって感じでしょうか。

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スタッツ上では五分五分ですが、ほとんど徳島のペースで進んでた中でワンチャンスをモノにしたって感じでした。

ヴェルディは潮音が降りたり井出のポジションチェンジしたりしますし、小池は非保持時に2列目に下がるので端戸が1番前でベタ引きではないですが全体的に押し込まれてます。アタッキングサイドはいつも通り。

徳島は一定の距離感を持ってポジショナルな配置で垣田と清武が役割を入れ替えたりカバーしたりしてました。岩尾や杉森が起点になる回数が多かった分右サイドからが多め。

相手を引きつけて受け手に時間と空間を渡したりするビルドアップの質や空いた所を使える状況判断と与えられた選択肢の中から何を選ぶのかって感じで判断速度も早かったですし、ポゼッションスタイルをやる中で必要なスキルをディテールにこだわって作られてるかどうかの差が目立った前半。



後半頭から福村→奈良輪、徳島は清武→渡井へと交代。

ヴェルディはかなり早く縦に入れてくるようになったのでテンポが上がり忙しい展開になってきました。押し込んだらテンポを落とすので徳島の秩序を破壊する為なんだと思います。

徳島も呼応して縦に入れる事が増えたので中盤にスペースができてきました。カオスになってきた事で人を掴むハイプレスで奪ってショートカウンターに移行できたシーンが続きましたしプログレッションに振り切ってきた様子徳島もハイプレスでハメられテンポを上げられると付き合ってしまうんですね。

後半も浮いた譲瑠を使って前進していくのは同じです。ヴェルディの方が前半走らされてたのでシンドイんですけどカオスの殴り合いにした方がペースを握れてますね。土台の違いがある分✌️と✌️だと分か悪いので✊で殴ってしまえ!って感じ。こっちの方が三角形を作って前進できてるので現状ビルドアップがボトルネックになってるんでしょうね。

62分、藤田と垣田→岸本と河田へと交代。

63分、潮音→山下へと交代。この展開ならこうなりますよね。ここからは当然小池と山下に背後を突かせる事が多くなってきました。

コーナーキックを上福元に直接キャッチされた時に譲瑠が前を塞いでカウンターを阻止したのはいいプレーでしたよ。パントキックの妨害だったので主審の飯田さんに注意されてましたけど

山下はプレスバックもサボりませんしプレスが効いてるので徳島も簡単には前進できない場面を作れてました。

時間と空間を得られるスペースがあるとテクニックを存分に活かせるので五分五分の内容になってきましたが、永井監督はこれを狙ってたんだと思います。

70分、内田→田向へと交代。左HVに入り福岡が右HVに移動。

繰り返しになりますが徳島はスペースがある時は最終ラインからしっかり中盤に運びます(コンドゥクシオン)。ポゼッションをやるにはこれをやってくれると中盤より前がより多くの時間と空間を得られて崩しまでが楽になるんですよね。

徳島は押し込んでも前線にターゲットになる選手がいなくなったので簡単にクロスを入れられなくなったので保持する時間が増えました。ヴェルディも後ろ重心になってるので押し返すのが難しくなってます。

さすがに疲れてきたのか75分過ぎくらいからあまり寄せられなくなってきました。散々走らされてきたのが効いてるんでしょうけど真ん中にパスを通されてしまうシーンが増えてきたのは気になります。

80分、小池と井出→理仁と松橋へと交代。松橋は左WGに入り山下が右WGへ移動。

82分、鈴木→小西へと交代。

85分、小西からのロングフィードを西谷が受け祥平と若狭の間を通して渡井に出そうとした浮き球のパスが祥平の腕に当たってしまいPK。不用意に腕を広げていたので仕方ないですね。後ろで組めとまでは言いませんがあの位置では腕は身体にくっつけておかないといけません。岩尾にPKを決められ失点。

90分、若狭→近藤へと交代。

このフリーキックは福岡に当たってゴールに入ったんですが、オフサイドポジションにいた端戸と競り合っている(つまりプレーに関与している)のでオフサイド判定になります。

落ち着かない展開のまま終了。



最後に、徳島は相手を引きつけてからパス出ししたり最終ラインから中盤に運んで前の選手達に多くの時間と空間を渡してスムーズにビルドアップができてましたし、ボールを保持するサッカーをやるには必須のスキルを備えてました。

中盤も相手のプレッシャーラインの背後でフリーになってパスコースを作る立ち位置をとれてましたし、こういう時はどうする?の選択肢をあらかじめ提示しておいてその中から何を選ぶのかは自分で判断しなさいという印象で、ポジショニングが決まってるので認知判断が早く崩しのイメージも共有されてました。

細かい部分なんですけどこういったディテールにこだわってチーム作りができてる分細かい差の積み重ねが大きな差になっていた印象です。それがこの勝ち点差になってるのかなと。

後半このまま真っ向勝負では分が悪いので縦に早い攻撃にシフトしてカオスな状況を作りそれによって生じたスペースを使っていくプランに変更したのは「押してダメなら引いてみな」って感じで良かったと思います。

もちろんボールを保持して相手を圧倒するスタイルとは矛盾するんですけどこの試合に勝つ為のプランですね。

改善はされてますしやれる事も増えてきてるんですけど過密日程である事を考慮しても進捗度の遅さは気になります。