20230702 第23節アウェイ熊本戦

アウェイ熊本戦。ヴェルディは4-1-2-3で熊本は3-3-1-3でスタート。

ヴェルディの保持時は相手のプレス隊プラスワンでビルドアップをするプレー原則の下、中盤3センターもアンカー・センターハーフインサイドアタッカーのタスクを分け合いながら流動的にやれてますね。シンプルに背後を狙いながら熊本の陣形を引き伸ばしてポゼッションの妨害をしながらCFの山田がサイドに流れて起点を作って後ろから出てきたりオーバーロードから細かく繋ぎながら前進してクロスやミドルカウンターでチャンスメイクする事が多いです。非保持は相手陣では4-2-3-1で自陣では4-4-2。最終ラインにまで寄せにもいきますけど、敵陣ではアンカーを捕まえながらCBにはある程度持たせて出した所に寄せていきます。熊本は誰かが動いてコンパクトな三角形を作って前進するので受け手を見張る比重が高めになるのは理にかなってるかなと。

熊本の保持時は最終ラインに対して中盤やWGが三角形の頂点に入るようにズレを作りながら細かく繋いで前進し、ボールの後ろから人が入ってきて数的優位を作ってチャンスメイクしていくいつもの形で流動的ではあるんですけど大木監督のプレー原則は基本これですからね。非保持は右WBの大本が最終ラインに降りて4-2-3-1。1トップがサイドに出させた所からプレスを開始しますがそこまで出足がいい訳ではないので高い位置で絡め取るのは少し難しそうな印象です。まあ守備がいまいちはっきりしないのはボールポゼッションが高いチームあるあるではあるんですが

ヴェルディがある程度押し込みながら2分に左サイドを突破した山田のクロスからの流れで右サイドから宮原のフワリとしたクロスを深澤が折り返して斉藤が押し込み先制します。左右のクロスで揺さぶりながら上手くスペースを突けたと思います。

ヴェルディは長いボールを使う意識が高めに見えますが、熊本は最終ラインを下げられてしまうとコンパクトな陣形を作れずポゼッションが不安定になる傾向があるので攻撃を兼ねた守備でやってるようにも見えます。

守備では受け手へのパスコースを消しながらポストプレーで起点を作らせない(なんならプロフェッショナルファウルでOKなくらい)意識が高めでインテンシティも維持されてますのでスムーズに運ばれててチャンスメイクされる事はそうそう無いですね。

稲見と山田がかなりフィットしてきたようで、チームの約束事をこなしながら自分の良さを出せるようになってきたように感じます。

リードしたのもあるんでしょうけど、熊本がボールを持つ時間が長くなって細かく繋いでレイオフで背後を狙ってきますが概ね対応できてるんですけど、中央を使われる事が目立つのは気になりました。

熊本は三角形の頂点を作りに降りたり流れたりを流動的にやれてますし、こういう時はこうサポートする原則もしっかりしてますね。まあ大木監督のチームはみんなこうですし甲府で指導を受けた藤枝の須藤監督もかなり影響を受けてるように見えます。

中央で起点を作られてしまい右サイドの島村と後ろから出てくる大本に手を焼いていて後手に回る事もありますけど特にジレてる様子が無いのはいいですね。

できればボールを保持して守備の時間を減らしたいんですけど現段階ではゆっくり回すと後々に響いてきそうなのでいつものスタイルでやった方が良さそうです。まだ体力がある前半だからっていうのもありますが

誰かが寄せて近くの味方がコースを切り、降りてくる選手を迎撃する所はしっかりしてますけど絞ってきた島村に起点を作られる事が増えてきて耐えるようなシーンが多くなってきました。

マテウスは後ろから繋いだり1つ飛ばすパスの精度が上がってきてかなり楽にビルドアップができるようになってきたのはいいですね。

展開が変わらないので書く事がなくなってきましたけど、ヴェルディはしっかり寄せて競る所やプレスバックとハイインテンシティは維持されてますしカウンターからシュートまでいけてるのはいいと思います。

35分過ぎからは1つ飛ばすパスをスペースで受けてたりしてボールが持てるようになってきましたので保持の時間を作って守備機会を減らしたい所。

最序盤は主導権を握って押し込み先制点を取れましたけど、受けに回っていた訳ではないと思いますけどその後はボールを持たれて中央に起点を作られて後手に回る事が増えました。ただしっかり寄せて競る所とプレスバックに身体を張る所はできてましたので非決定機はありましたけどシュートは2本に抑えられました。

まあ最後の方はヴェルディボールも持てるようになりましたけどこちらも中々シュートまでいけなかったんですけどね。

開始早々に得点した後は熊本に持たれ総シュート数は少なかったですけど、ある意味お互いの良さが色濃く出ていた前半。



後半頭から栗飯原→伊東へと交代。

後半もプレスを剥がしながらシンプルに背後を狙うのは継続してますね。前述しましたけど熊本の陣形を引き伸ばすのはコンパクトな陣形で前進しようとする熊本の攻撃方法を削ぐ事にもなる分守備の準備にもなりますので

後半はボールサイドのWGも前に出て4-3-3のようにしてパスコースに制限をかけサイドに出させるようにしてきましたので前半使われていた中央に蓋をしてきたんだと思います。なので熊本は平川が降りてきてビルドアップの出口を作ったり、右WBの大本がシンプルに背後を狙う回数が増えてきました。

中盤の攻防戦が激しく平川の個人能力で起点を作られる事はありますけど中央を使われる事自体は減ってきたかなと。

56分に山田と北島→河村と甲田へと交代。いつもより早めですけど暑さや連戦も考慮してバトンを繋いでるんだと思います。

甲田は頑張ってますけどポジショニングや寄せとプレーの連動性に関してはもう1つ上にもっていきたいですね。まあ最初に観た時はボールを持つと無敵!無いと消えるって感じで翔哉みたいだなと思ってた分良くなってるんですが

ヴェルディはボールを持たせてると言える程余裕がある訳ではありませんが、ボールホルダーにしっかり寄せてスペースと選択肢を奪いながらサボらずプレスバックもするのでシュートを打たれる所まではいかせてません。

62分に松岡と竹本→東山と田辺へと交代。左サイドももう少し使っていきたいんですかね?

ヴェルディは自陣でセットすると4-5-1になるので縦パスを防いで受け手を自由にさせない所は徹底されてる様子。

本来ならボールを保持する時間帯を増やして守備機会を減らしながら熊本からボールを取り上げて隙を突ければ一番いいんですが現時点では難しそうではあります。ただ68分くらいからプレスを剥がしながらある程度ボールが持てるようになってきましたので保持の時間を増やしてゲームを落ち着かせたいなと。もちろんシュートまでいければ全然いいんですけどね

69分の宮原が右サイドに流れた河村にスルーパスを出してからのクロスに逆サイドから深澤が飛び込んでくる必殺の形はモノにしたかったですね…

熊本もWGが斜めに走り込んでチャンスメイクするようになりましたけどここまでこういう形はあまり無かったですね。

76分にバスケスと斉藤→加藤蓮と佐川へと交代。加藤蓮は左WG佐川はCFに入り甲田が左IH河村が右WGへ移動。

77分に黒木→阿部へと交代。

78分に山越からの縦パスを佐川が収めてサイドに叩きましたけどこういうプレーを増やしていきたいですね。

熊本は右サイドでオーバーロードを作って前進してきますけど前線がコースを限定しながらしっかり寄せてプレスバックをしながら自由を奪う所はできてますので粘り強くなってきた印象が強いです。

84分に森田→綱島へと交代。クロージングって事なんでしょう。

86分に島村→大崎へと交代。コーナーキックの守備前に大きい選手を入れてくるって事はここが勝負所と踏んだんでしょう。CFに入り伊東が右WGへ移動。

ややオープンな展開になってきたんですが、リードしてるので避けたい所ではあるんですけどクロージングがあまり上手くいってませんからね。

熊本がシンプルに放り込むようになりましたけど正直こっちの方が対応しやすい分守りやすいかもしれません。

最後のコーナーキックでGKの田代にあわやのシーンを作られましたが守りきって終了。



最後に、開始早々に先制してから熊本に持たれる時間帯が長かったのでもう少し保持の時間を増やしたかったのと、クロージングの部分をもう少し詰めたかったなと思いますが、前線からコースを限定した上でボールホルダーにしっかり寄せて自由と選択肢を奪いながら献身的にプレスバックして後ろがラインを上げて答えると守備は本当にしっかりしてたと思います。

熊本は相変わらずコンパクトな陣形で三角形を作り、ボールを内外から追い越してオーバーロードから崩しにくる形は健在でしたけど、守備がいまいちはっきりしない所もそうだったかなと。なので保持の時間を増やしてボールを取り上げたかったんですけどね。


城福監督のコメント

先ほど話していたセーフティにポジションを取ってしまったという部分をより詳しく聞かせてください。

具体的にはサイドハーフのポジションです。縦にパスを入れられたくないポジションを取るか、前にプレッシャーをかけにいくポジションを取るのか。そこはおそらく2メートルぐらいのポジションですが、1点取ったという部分もあって、縦にクサビを入れられたくないという思いが少し強かったです。本来であれば、もう少し出し手のほうに行くのですが、ちょっとそこのポジションが後ろになったかなと思います。

リードしたのも大いにあると思いますが、熊本は受け手がズレて三角形を作った後に出し手もボールを追い越して数的優位を作って前進してくるので出し手より受け手に意識がいきがちになるのはある程度やむを得ない部分はあると思いますし、受け手にしっかり寄せてスペースと時間を奪う事はできていていい対応はできてたかなと。