20211030 第36節ホーム甲府戦

ホーム甲府戦。ヴェルディは4-1-2-3で甲府は3-4-2-1でスタート。

ヴェルディの保持時は、甲府が1トップなのでCB2枚がビルドアップ隊で福村が高い位置をとり深澤が中央に絞って理仁と並ぶ形。そこからバックパスで引き出してその背後を使って前進していきますを。セットすると甲府は5-4-1なので中々スペースが無く前線が背後を狙う事が多いです。

甲府の保持時は、ビルドアップ時は中央CBの新井が中盤に上がってDHの山田と並び野津田を押し出す珍しい形。丁寧に繋ぐというよりはシンプルに背後を狙いながらサイドチェンジも織り交ぜてきます。ダイレクトの場合はリラに当ててサイドに叩きますけど、そのまま突破を計りダメならサイドと順番がはっきりしている印象。

ヴェルディの非保持時は、敵陣ではマンツーで、人数が合わない時はCBまで寄せにいかきませんが、相手を背中で消せる時は寄せにいくので約束事を整備してきたようです。セットする時はいつも通り4-4-2。

甲府の非保持時は5-4-1でミドルゾーンで待ち構え、中盤で奪ってショートカウンターを狙うのが基本線のようです。ハイプレス時はリラがCB間に入ってコースを限定してシャドーが寄せていき、サイドに出るとWBが勢いよく出ていくとよく整備されてます。

キックオフと同時に敵陣に7人も入っていくのでまずはロングフィードでチャンスメイクをしようとの事のよう。ヴェルディは立ち上がりに不安があるのでそこを狙ってきたのかもしれません。

ヴェルディの非保持時は敵陣ではマンツーでカバーがいない時は寄せません。まだギクシャク感は拭えませんが形は整備してきたようです。敵陣ではオフサイドがとれない分ゾーンは不向きなのでこれでいいと思います。

甲府レイオフは2タッチが多く、相手を引き出してから背後を使うのがチームとして共有できてる様子ですが、ヴェルディのプレスが機能してるので蹴る事が多くなってます。

若狹が野津田の正面に運んで引き出したり、ンドカもバックパス前にリラを引き出したりとスペースを作って前線に時間と空間を届ける意識付けの所は良くなってきてますね。

コーナーキックの守備がゾーンなのでピンズドで合わせられると難しいんですが、ニアで簡単に合わせられていたのは気になりました。

10分にリラがCB間に入ってコースを限定してシャドーが連動して寄せると組織化されてるんですが、ヴェルディがそれによって空いたスペースを認知できてないのはありますね。相手の強度が高いのもありますが噛み合わせ上逆サイドが空くはずなのでボールを受ける前に見て判断してほしいなと。まあその余裕を得る為にはもう少し戦術的な整備が必要なのはありますが

右サイドで山下が張る時は深澤はインナーを、絞る時はアウトを回るのでここの連携はいいですね。SBはWGの位置が視野に入るので主従関係のようにやれれば機能させやすいですし、深澤がそこの所で気を使ってるように見えます。左サイドでも竜士と福村の縦関係で崩せてるシーンがありますので、3バック対策として仕込んできてるんだと思います。それと理仁からの展開でWGを使えるシーンもあってライン間で梶川からのチャンスメイクも効いてますね。

今節は小池が降りてくると代わりに晃樹がらCFに入るようにして、中央から背後を狙いながら降りる小池のサポートにもなるよう修正してきました。

これはチーム全体としてなんですが、崩しの場面でボールを受ける前に誰がどこにいてどこにスペースがあるかを把握してどうプレーすべきかの判断を上げていければもっと良くなるんじゃないかなと。

バックパスで引き出して相手の中間で受けながらプレスを剥がせてるのでビルドアップは良くなってきてるんですけど、フリーで前が向けるのに前を見ずにバックパスするシーンがまだまだ見受けられるのでここは要改善ですね。

スペースを空けながら間で受けられる分甲府のプレスのスイッチを入れさせないようにできてるので主導権を握れてます。

20分にマテウスへのバックパスで相手を引き出してからライン間の晃樹へフィードして理仁に戻してライン間の梶川のスルーパスに小池が反応して決定機とスペースを作って使い上手く前進できました。甲府は勝つしかないので引き出した背後を使うのを徹底してるのが効いてる様子。

背後を狙う時もWGやIHが跳ね返しを拾えるポジションをとってるのでここまではプラン通りの展開になっている様子。

押し込んだ時のカウンタープレスは元々できてますが、今節はそれ以外でもボールホルダーの時間と選択肢を奪う寄せができてる分、後ろが的を絞りやすくなってるので、パスコースを切ったりできてるのも守備の安定性に繋がってます。

甲府が保持するとロングフィードをリラに当てたりスペースを狙ったりする事が多いので、息を整える時間を作るのに後ろで回して展開を落ち着かせてる感じで、繋いで前進するシーンはここまでそう無いですね。

相手に寄せられてるんですけど、2人の間を抜かれてしまって決定機に繋がってしまったシーンが2つ程あったので、寄せるとサポートの役割分担をもう少し詰めていきたいかなと。

終盤甲府に押し込まれますが、こちらもバックパスで引き出してスペースを作り、敵陣ではマンツーでハメてペースを握られました。ヴェルディ甲府の強度ある寄せをプレッシャーに感じて無理目の縦パスや蹴ったボールを前向きで奪われてるのもあるんですけどね。

結果的にボールポゼッションで下回りましたし、シュートの倍以上打たれましたけど、ボールホルダーにしっかり寄せたり球際で厳しくいったりとポジティブな要素も多かった前半。



後半、ヴェルディはゆっくりボールを回し、甲府のWBを引き出してからだったり、小池が降りてきて起点を作った落としをIHが受けてWGが背後を狙っていきます。結構落ち着いたリズムなので、前半かなり運動量が多かった分セーブする意味合いもありそうな感じです。

甲府ヴェルディが中を締めてる事もありサイドから前進し、WBにシャドーが絡んで前進していきますが、ヴェルディの両WGがしっかり戻って蓋ができてます。噛み合わせ上理仁の脇を甲府ボランチに使わせないようにする意図はここまでで感じますね。

なので甲府がボールを保持してますけどそこからどうする?になってるのでよく対応できていると思います。まあヴェルディがこういうボール保持が大得意なのもあるでしょうけど(^^;)

今節は深澤や梶川が理仁の護衛のような役割をしていて中央を使わせないのも効いてますね。優平さんの時もこうしていきたいですね。

ボールホルダーにしっかり寄せて制限をかけコースを限定させたり、球際の競り合いプラスどこにこぼれるか?にも意識がいってる様子なのでボールは持たれてますけど問題はなさそうです。目指すスタイルや戦術云々以前にやるべき事をやるだけでもかなり変わってくるのでこれを最低限のベースにしていきたいですね。

甲府はこの順位にいるだけあって崩しのバリエーションが豊富ですけど、防戦一方で失点は時間の問題みたいなのは感じないので今節はやるべき事がやれてます。

一方甲府もWBが献身的に走って戻り守備をしてますし、CBが予防的なマークで小池を見張って起点を作らせない形ができていて守備もしっかりしてます。甲府は伝統的に固い守備ができるチームなので、「よい攻撃はよい守備から」ができているんですよね。これだけでもロティーナサッカーつまらないと言ってた事がどれだけ愚かなのかがよくわかると思います。

それと、甲府に寄せられて蹴るシーンが結構ありますが、苦し紛れに適当に蹴るではなく味方の位置を見てセカンドを回収できそうなら全然蹴ってもいいと思いますよ。もちろんヴェルディはボールを大事にするスタイルを信条としてますけど、目的はあくまでもゴールを奪う事なので

甲府はWBからのクロスが多くなってきました。リラに合わせて落としをシャドーが拾う形もあって多彩な攻撃ができるのが大きな強みになってます。

55:09のシーンで甲府ベンチのタブレットが映ってましたけど、どうやらDAZNの映像見ている様子。

55分過ぎから甲府が強度を上げてきてヴェルディが受けに回るような形になってきて、梶川の言うボールを受けるのも怖がってる感じ。敵や味方の位置とスペースの認識が上がってくるともう少し余裕が持てそうなんですけど現段階ではまだ難しそうな様子。短時間にそんなたくさんの情報量を得る事はできないので、ボールを奪われないように敵の位置だけでもいいと思います。

58:06からのシーン。マテウス→福村→梶川へと繋がった時にンドカはサポートのつもりだったんでしょうけど、結果的に梶川が使いたいスペースを消す形になってしまいました。ボールホルダーが前を向けるかどうか?でスペースを渡すかサポートするかの判断を上げていきたいですね。

ただ、その後の梶川が降りたスペースに理仁が入り込んでスルーパスまでの形はよかったと思います。マンツーでハメにきてるなら列を降りて相手がどこまでついていくか?を迷わせながら味方が空けたスペースを埋めて秩序を保つのはいい判断でした。

ちなみにベレーザは列を降りまくってマンツーを剥がしながら空いたポジションを埋める所がよく組織化されてます。

60分に晃樹→大雅へと交代。今節はIHの運動量が多いので早めに代えてきました。

63分に宮崎と山田→鳥海と野澤へと交代。伊藤監督は縦に速い攻撃を選択してきたようです。

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若狹からの縦パスを受けた理仁が中央へ流してプレスを剥がしました。ボールから遠い足で受ければスムーズにターンができますし、この後どうプレーするか?からの逆算ができていればボールを止める必要はないんですよね。このように次のプレーを想定してボールを置く事をコントロールオリエンタードと言います。

65分くらいから甲府は押し込んだ時にシンプルにクロスを入れてくる回数が更に増えてきました。ヴェルディはここまての疲労とその圧を受け奪った後のプレーに影響が出ている様子。

ヴェルディは保持した時はンドカの運ぶドリブルで陣地を回復しながらパスを回してWGが背後を狙って前進していきます。縦に速い展開は甲府の土俵で勝負をする形になってしまいますし、ヴェルディのCBはこういったボールを前進させながらゲームを落ち着かせるプレーでの貢献度が高いですね。

72分に福村と小池と竜士→安在と佐藤凌我と新井へと交代。前半からかなり体力を使ってましたけど、5人交代ができればそこまで影響は受けないのでこれくらいの強度をベースにしていってもらいたいなと。小池は降りてポストプレーや背後を狙うタイミングが良くなってきましたね。

前線がフレッシュになった事でプレス強度や背後を狙うエネルギーが回復した事で押し返せるようになってきました。

74分に野津田→中村へと交代。甲府のDHも運動量多いですからね。

ここまでのヴェルディの決定機は前半の小池とGKのパスを拾った大雅のくらいですが、甲府も決定機はそんなに多くないのでボールホルダーに寄せて制限をかける守備の構築が上手くいってます。まあ全部を一気に修正する事は難しいのですし、両方中途半端になるくらいならこちらの方が全然いいと思います。

理仁の脇を鳥海に使われてるのは噛み合わせ上もありますが、推進力があるのでどう対応するか?が定まってない様子。まあ伊藤監督もそれを狙っての投入なんでしょうけど

81分に長谷川とリラ→須貝と有田へと交代。鳥海でチャンスメイクできてるので前線をフレッシュな選手に代えてきました。リラを下げるって事はパワープレーは考えてないようです。

新井と山下の位置を入れ替えてきました。押し込めてる状況ではないので新井を順足サイドに置いて縦に仕掛けさせる為でしょうか?

甲府は追いすがる為には勝つしかないので、1-0で勝ってるくらいの振る舞いの方が効きそうではありますが中々そうもいきませんよね

88分に理仁→戸島へと交代。CFに入り佐藤凌我が左IH梶川がアンカーへと移動。

安在が警告を受けたファウルから甲府はメンデスを前線に上げてきました。

中盤が空いてオープンな展開になってきましたけどお互い疲れてますね。

新井は多分シュートだったと思うんですが、ギリギリで山下に合いませんでしたけど新井の縦の仕掛けはキレキレですね。順足サイドでも違いを作れればプレーの幅が広がりますからね。

甲府はひたすらメンデス目掛けて蹴るパワープレーで押し込んできます。攻撃が単調になる分ヴェルディのしてはこちらの方が対応しやすそうです。

お互いに走り球際を戦って終了。



最後に、お互いに走って球際で戦い死力を尽くした試合でした。ボールホルダーにしっかり寄せて制限をかけ時間と選択肢を奪う所や球際の強度やこぼれ球を想定したポジショニングが良かったです。

今節、小池の落としをIHが拾う(主に晃樹)シーンが目立ちましたが、こぼれ球を拾う意識がそのまま活きてる印象がありました。

攻撃と守備やトランジションを一気に修正しようとして中途半端になるくらいならこちらの方が全然いいですし、ボール保持が基本スタイルだったとしても90分持ち続ける事は難しいのでボールを持たずに主導権を握る事もリーグ戦を戦う上ではとても大事になりますからね。

戦う気持ちというか、ボールホルダーにしっかり寄せて制限をかけ時間と選択肢を奪い球際で競ってセカンドを拾うポジショニング等やるべき事をしっかり遂行するだけでもこれだけ変わりますので、これを最低限のベースにしていってもらいたいですね。

これはポゼッションだろうが深く守ってカウンターだろうがサッカーのルールから導かれた原理原則の部分になりますので

気づきや発見に遅すぎるなんて事はありませんが、このコメントを3月に聞けたらなとは正直思いますね…