20230319 第5節アウェイ藤枝戦

アウェイ藤枝戦。ヴェルディは4-1-2-3で藤枝は3-4-2-1でスタート。

ヴェルディの保持時は、ビルドアップ時は晃樹がアンカーの林の脇に降りてきて繋ぎに参加し林の負担を減らす事でクリーンに前を向ける事が増えましたし、ターンもスムーズになってきたのでビルドアップの出口として機能するようになってきてると思います。そこから先、右サイドはバスケスが受けて宮原がオーバーアンダーラップでサポートするいつもの形なんですが、左サイドは梶川が降りて深澤が前線に張って背後を狙うWGのようなタスクがあるようです。晃樹と梶川の役割が入れ替わる事はありますが深澤は変わりませんので最終ラインは左サイドに寄りながら3バックで守ります。平が4バックと3バックの左CBと左SBをこなせるのでとてもスムーズですね。

非保持は4-4-2のハイプレスでボールホルダーの自由と選択肢を奪いながらもあわよくば奪いにいき、GKまでは無理に寄せに行かないいつもの形。藤枝としてはもう少しゆっくりボールを持ちたいようですがヴェルディがそれを許さないって感じです。バックパスには追っていきますがコースを切りながら寄せてからの二度追いでカバーしてますので穴を空ける事は無いですね。

藤枝の保持時は、DHやシャドー経由又は直接WBに入れたら全体的にかなりボールサイドに寄って人数をかけて数的優位を作り、中央への斜めのパスやドリブル突破を狙ってダメなら幅を取る逆サイドWBへサイドチェンジをして前進していく所は去年からあまり変わってないように見えますが、前線に人数をかけるようになった気がします。

非保持は、5-3-2をベースにしながらのハイプレスで、前向きで寄せに行ける時はいいんですけどそうでない時は寄せの強度がちと足りなかったり誰が寄せるかがあまりはっきりせずにセットディフェンスになるシーンがありますので、ポゼッションする事で守備機会を減らす目的もありそうな印象です。

まだゲームが落ち着かない間にバックパスをインターセプトした斎藤が運び、シュートフェイントで右CBの小笠原を外して阪野に渡していきなり先制します。斎藤のシュートフェイントで勝負ありだったかなと。

藤枝がシンプルに横山に入れてチャンスメイクするようになりましたが、縦に急ぐ印象があまりなかったのでいきなりの失点が影響していたのかもしれません。ただその後は後ろから繋ぐようになったんですがヴェルディがボールホルダーを自由にさせずに選択肢を限定しているので落ち着いてポゼッションしながら前進する事は難しそうです。

林がボールに触れずにターンして前を向くシーンが目立つんですが、ある程度時間的な余裕がある時はこちらの方がいいと思います。変な形でボールを奪われる事が無く安心した預け先にはなれてますので後は前後を繋ぐハブになる所を進めていってほしいですね。

13分に右サイドに流れた阪野から逆サイドポケットへ差し込むようなクロスを梶川が合わせて追加点を取りました。

阪野のコメント

チーム2点目では梶川選手の珍しいヘディングゴールをアシストしました。

ターゲットがちっちゃいので、そこに合わせるのは大変でしたと書いておいてください。(笑)。実際は空間に落とすようなイメージでよいところに蹴ることができましたし、決めるのも簡単なシュートではなかったので、本当によいゴールだったと思います。

ターゲットというよりもスペースを狙ったクロスようですね。相手のミスと藤枝のプレスを剥がしながら逆サイドWGがポケットに入ってくる狙い通りの形で序盤に2点のアドバンテージを得る事ができました。プレスはハマってますし相手のミスからチャンスメイクをできてるので狙い通りなんだと思います。

藤枝としては左サイドの横山を起点にチャンスメイクをしたいんでしょうけど、こっちのサイドには宮原がいるのでお互いのストロングが噛み合ってる分チャンスを作りきれない部分もあるかなと。

18分の得点も2点目と似たような右サイドから左サイドポケットへのクロスの形でした。前述しましたけど藤枝は前向きで寄せにいけないとちとファジーになる傾向があるのでレイオフや引き込んでからのフィードが刺さる事もありますが、それ以上にヴェルディがチャンスを決めきれてるのが大きいですね。

藤枝の最終ラインに高さが無いのでハイプレスをひっくり返すor出足を鈍らせる為に阪野を起用したんだと思いますが、WBの背後のスペースで起点を作りながらバスケスのアクションに応じてできたスペースを埋めたりして非常に効いてますね。

3点差になった事でヴェルディが無理に追わずにセットするようになったのもありますが、藤枝が最終ラインで廻してる時に前の選手のモビリティがちと落ちてきたのでヴェルディとしてはより守りやすくなってきました。藤枝としてはサイドから前進する所と中央へ打ち込むパスの使い分けをしてるんですけどポジトラ時も含めヴェルディに前向きで奪われてしまい前進を許す展開は変わりません。

ヴェルディが縦に運んでプレスを剥がしたり斜めのパスで前進する事が多くなりましたが、精神的に余裕ができた分スペースを見やすくなりトレーニングの成果が出やすくなってきたのかなと。

ヴェルディが寄せて奪いにいく所とコースを限定する所を使い分けられてる対応がいいのはあるんですけど、藤枝は全体的に前がかりになっていて後ろとの距離が遠いので、後ろは出し所を探しながら探しながらで中々テンポを上げられずに前進が難しくなると今までヴェルディで散々観てきた形のようになってるので何とも言えない所はあります(^^;)

それと前線に人数をかけている分中盤が空いてオープンな展開になっているので、戻る事に多くのエネルギーを割かなければならなくなってる所ももの凄く見覚えあります。

最序盤の失点でゲームプランが崩れてしまったのかもあるんでしょうけど、強固な盾でぶん殴った上でミスを誘い付け込んでいくゲームプランがしっかりハマってますし、隙のない闘い方ができていた前半。



後半頭から藤枝は鈴木と水野と矢村→山原と岩渕と渡邉、ヴェルディバスケスと晃樹→加藤蓮と河村へと交代。藤枝は岩渕が右シャドーに入り杉田が左DH新井が右DHへ移動。ヴェルディは加藤蓮が左WGに入り梶川が左IHへ移動。

藤枝は前線に当ててフリックやレイオフ、蹴った時は全体を押し上げてセカンドボールを拾いシンプルに前進し、押し込んでから始めてサイドを使うようになってきました。中央でクリーンに奪われるリスクは増しますが、それはそれで仕方ないと割り切ってるように見えます。そこからはシンプルにクロスを入れるよりサイドから崩しきる意識がかなり強めです。

藤枝がリスクを受け入れる代わりに(ふっきれたのかもしてませんが)岩渕が中央で起点を作れるようになったので前半より押し込まれるようになりましたけど、前線が二度追い三度追いやプレスバックでコースを限定してくれてる事もあって守備は安定してますし、選手達も特にストレスを感じてる様子はないですね。まあこの時間帯で失点したらメンタル面にどういった影響がでるか?を見たかった部分は少しだけあります。

藤枝としては中央からサイドを使って前進してサイドからの崩しとサイドチェンジで揺さぶる本来の形ができてきましたけどヴェルディの中央が固く中々決定機までは至らない時間帯が続きます。

60分に阪野→北島へと交代。この展開なら背後が空きますので盤面をひっくり返すのが刺さりそうな展開ではあります。右WGに入り河村がCFへ移動。

62分にバックパスミスを斎藤が奪って運んでGKの股下を抜いて追加点を上げます。藤枝としてはいい時間帯に1点目と似たような形での失点はもったいないですね。まあヴェルディとしては先制点と4点目はバックパスを狙ってましたし、2点目3点目も後ろが詰めてましたので狙い通りではあると思うんですが

得点してヴェルディが前に迎撃に出る意識が高くなってきたのもありますが、藤枝が急ぎ過ぎて前後の距離が遠くなる前半と同じような展開になってきました。

66分にヴェルディは梶川→綱島へと交代。藤枝は杉田→平尾へと交代。岩渕に中央で起点を作られていたので林と綱島で中央を固くしようって事なのかなと。大量リードだと甘さが出る傾向が高くなるので隙を作らない事に重点を置いているようです。

71分に斎藤→佐川へと交代。足を攣ってましたど斎藤はここまで二度追い三度追いやプレスバックでチームを助けてくれてましたしほんとお疲れ様でした。佐川はCFに入り河村が右IHへ移動。


加藤蓮のシュートのこぼれを林が拾って北島に渡してのループシュートが決まって5点目が入ります。この点差で余裕があったのもあるかもしれませんがよく上が見えてましたね。中央防犯FC藤枝ブルックス(アビスパ福岡の前身)出身選手が藤枝でプロ初ゴールを決めるのもなにかの縁なんでしょうか
確かに宮原を思いっきり振り切ってますね(^^;)

75分に背後に抜け出した佐川が倒されて金浦が警告されましたけど、佐川はゴールに向かってプレーをできておらずDOGSO(決定的な得点機会の阻止)の条件を満たしてなかったのでSPA(大きな得点機会の阻止)になります。

77分に金浦→山田へと交代。杉田もそうでしたけど須藤監督は警告を受けた選手を早めに下げてゲームが壊れてしまうのを防いでいる様子。

ボールホルダーから自由と選択肢を奪いながらしっかり身体を張る守備は終始安定してますし、ボールが持てなくてもストレスを感じてる様子もなく大量リードで甘さが出るような感じもなさそうなのは凄くいいと思います。

83分に岩渕が起点になって平尾のクロスを渡邊が合わせたこの試合一番の非決定機でしたけど、後ろからどんどん選手が出てくる藤枝の良さが出たシーンだったかなと。

この後ヴェルディは加藤蓮を最終ラインに下げて3-4-3(5-3-2)に代えて藤枝のWBをWBが捕まえやすくしてきました。繰り返しになりますが絶対隙を作らない!強い意図を感じます。

藤枝は中々前進できない事もありロングレイオフで背後を狙うのがメインになってきましたけど、ヴェルディは連動して押し上げる事ができているのでオフサイドがとれてます。

終始前線がボールホルダーに寄せて自由と選択肢を奪いながら二度追いやプレスバックをして後ろが連動して押し上げて答える守備の安定感のまま終了。



最後に、最序盤に得点できたのも大きかったのは確かなんですけど終始いい守備からのいい攻撃を体現できてました。

xG(ゴール期待値)1.49で5得点は流石に上手くいき過ぎた感はありますが、藤枝のxGを0.38で抑えられてますので守備の連動性や個々の献身性は自信を持っていいと思いますし、我慢して耐えるみたいな印象が無かったのが良かったです。ボールを持てれば持つし持てなければ別にいいよができればどんな展開にも対応できますしやれる事が増えますからね。

ショートカウンターやクロス時に逆サイドWGがポケットに入ってくる形で得点できて今まで取り組んできた事が形になったのも良かったです。

今までのヴェルディでこういう展開だとほぼ間違いなくボロ負けコースでしたのでボールを持たずに主導権を握れるようになってきたのは感慨深い所があります。

今まで指揮を執って下さった方々をどうこう言うつもりはありませんし感謝してますが、ロティーナさんやイヴァンさんが組織とは何か?守備とは何か?戦術とは何か?の種を蒔いてくれたモノのの所から城福監督や江尻強化部長がこのクラブ伝統のユルくなる悪癖に取り組んでいってもらえれば強いクラブになっていけると思いますので期待してます!


須藤監督のコメント

2連敗をして、何が足りなかったのかということを精査して1週間やってまいりました。その1週間やってきたものを出す前に失点をしてしまったというのが、今日はすべてかなと感じています。

入りに失点した事でチームとしての意思統一が難しくなってしまったようですね。ボールが前進してから後ろからどんどん選手が出てくるのではなく、選手が先に行ってしまって出し所が無く詰まっていて修正する前にまた失点する流れで良さをあまり出せなかった印象です。