20211121 第40節ホーム琉球戦

解説の佐藤悠介さんと琉球喜名哲裕監督は共にヴェルディ在籍経験があるんですけど1年違いで被ってないんだよなーと思ったホーム琉球戦。ヴェルディは4-1-2-3で琉球は4-2-3-1でスタート。

ヴェルディの保持時は、琉球の4- 2-3-1と陣形が噛み合ってしまうので外しながら前進する必要があるんですが、赤嶺の脇から前進してIHがサイドに流れて佐藤凌我が降りてくる形と、加藤が相手を引きつけて深澤を使う形。どちらかと言うと後者がメインです。加藤は寄せてくるのがトップ下の池田の時はシンプルに最終ラインに落とし、左SHの清武の時は引きつけて空いた深澤に渡してビルドアップを楽にしてくれてますね。

琉球の保持時は、DHの富所がCB間に入るかCBと三角形を作ってビルドアップ。ヴェルディの寄せが速いのもありますが、ボールを持った時に様子を見るようなシーンがちらほらあるのでより捕まりやすくなってしまってる様子。本来はビルドアップとシンプルに赤嶺に収めてもらう形を使い分けてるような印象です。前進したらサイドに叩いてクロスと斜めに打ち込んでくる縦パスが基本線。

ヴェルディの非保持時は、奪われたらすぐボールホルダーに制限をかける事でコースを限定するカウンタープレスが効果的です。今まではしっかり押し込んだ時だけでしたけど、コンパクトな陣形が作れてるのでそれ以外でも効いてますね。

琉球の非保持時は、ハイプレス時は人を掴みにきて後ろも連動してるのでここは相変わらずいいですね。セットすると4-4-2で守りますがこちらも人につく意識が高いようです。

いきなり深澤が左SHの清武の寄せをズラして加藤につけましたが、寄せてくる角度がよく見えてましたね。

ヴェルディはビルドアップ時に赤嶺の脇から運ぶのと加藤が相手を引きつけてスペースを作って前進する形。相手の1列目を越える為のビルドアップの手段が増えて越えられるので中盤が前を向いてWGが仕掛けてプレーできるので崩しに繋げやすくなってます。それと琉球のハイプレスでWG目掛けてのフィードも織り交ぜますが、跳ね返しに対しての反応がいいですね。

それと、琉球のハイプレスに対してSBが降りてきて相手を引き出しマテウス含め前向きの選手がその背後を狙うのも整備されてますし、全体的に相手を見てどこにスペースができるか?の所がはっきりしているようです。まあ加藤の貢献度が高いのもありますが。ある程度押し込んだ時にサイドチェンジをするのはフリーで受けられればそれでいいですし、ダメなら中央が空いてくるので餌撒きにもなりますからね。そういう意味では山下がもう少し縦に仕掛けてくれるとより効果的になりそうです。

ヴェルディは両WGが幅をとるんですが、右は深澤がインナーラップでサポートし、左は新井が仕掛けてるので福村が後方や大外でサポートとWGの特長に合わせてSBがサポート方を変えながら崩しにいきます。SBはWGの位置を確認できるのでWGがやりたいプレーに合わせてサポートする文字通り[縦関係]の方が機能しやすくなりますからね。

琉球がボールを保持する時間帯が長くなる時間帯、ビルドアップはサイドチェンジを織り交ぜて前進しようとしてきますけどヴェルディの2列目を中々越えられないですね。赤嶺が収めてサイドに叩く形の方が前進できてます。

中盤の攻防が激しいのもありますが、背後を狙う事が少ない事もあってお互いに中々最後の所までいけない展開が続きます。

マテウスのフィードを晃樹が受けた所からショートカウンターを受けましたが、浮き球は到達まで時間がかかる分相手も寄せられるのでここは気をつけてもらいたい所。

31分にクリアボールを拾った佐藤凌我が梶川に落とした所から梶川が運んで新井へスルーパスから決定機を作れましたが、ここまで背後を狙ったり縦に速い攻めがあまり無かったのでこういうのも織り交ぜていけると崩せそうな感じです。

この後からWGを入れ替えましたが、選手達の判断でやってるようですが、山下も左の方がやりやすそうなんですよね。

琉球も最終ラインやGKからシンプルに背後に蹴ってくる事が増えてきて一気に盤面をひっくり返す形も入れてきました。

39分に風間宏矢のパスを奪った山下が運んで狭い所を通して晃樹に渡した所のトリッピングでPKになりましたが、この展開だとお互いショートカウンターがより効果的になりますからね。

ヴェルディにも縦に速い形が出てきて押し込む事が増えてきました。お互いそうなんですがトランジションの反応が良く球際で競れてるので中々シュートまでいけません。

44分の失点は事故ではあるんですが、CBの岡崎のフィードの所で沼田と清武に対して深澤だけになっていて数的不利になった所から後手後手になってしまいましたね…

琉球はミドルゾーンでセットして無理をしないようになったんですが、そんなに持たせてる感ではないので判断としては難しい所かなと。

加藤の貢献度が高いのはありますが、ビルドアップの整備が進んで1列目を越えられるので主導権を握りシュートチャンスまでいけるシーンを作れました。トランジションの反応が良く球際の攻防もしっかりしていて見応えがあった前半。



後半、琉球の寄せの強度が上がってきたので中盤でパスが引っかかってショートカウンターを受けるシーンが出てきました。もう一度締め直してきたって感じです。

山下が縦に運んで佐藤凌我に渡してマイナスクロスまでいけましたが、山下が縦に運ぶのもあると崩せそうな印象があるのは前半と同じですね。

押し込むと琉球はかなり自陣深くで構えるので中に速いクロスとマイナスクロスにミドルシュートが効きそうなんですが、そこはチームとして共有されてるようです。

52分に若狭→理仁へと交代。アンカーに入り加藤が右CBへ移動。若狭は足を痛めていたようです。

お互い縦に速い形を使うようになりましたが、晃樹に栄直がつく時に佐藤凌我への縦パスをつけるのは意識してやっている様子。このシチュエーションで入れ替わられてしまったらGKと1vs1になってしまうので潰しにくいですからね。

ライン間を効果的に使えてますし、ビルドアップでスペースと時間を作って空いた所から前進する事ができているので後は自分で打つか人を使うかの判断の所かなと。

59:23~山下が仕掛けた所から奪われたんですが、そこからカウンターに行けそうな前向きの選手へのパスコースを梶川が塞いでいたので攻撃を遅らせて奪い返せました。目立たないんですけどこういうポジショニングはチームを助けるプレーになります。

64分に赤嶺→上原へと交代。役割としては同じだと思います。

ヴェルディがボールを保持して押し込む時間帯が長いので、琉球は奪って逆襲に転じようとしても距離が長い上に守備で走らされてる分出力が足りなくなってきました。まあリードしてるので攻め急ぐ必要はないんですけどボールを持たずに主導権を握るってタイプのチームでもないですからね。

前節の4点目もそうなんですけど佐藤凌我がディフェンスの背中から入ってくるプレーが良くなってるんですけど小池から学んだんでしょうか?

飲水タイム後に晃樹が前に行き過ぎてて背後のスペースを使われてましたが、ボールより前に人数をかけ過ぎる癖があるんですよね。

クロスや崩しのバリエーションが増えて色々な形があるんですけど琉球人海戦術で耐える展開が続きます。ヴェルディとしてはどう動かしどこを突いていくのか?をもう少し突き詰めたいかなと。

75分に2回目のPKを獲得しましたが、視野外から入ってきて山下の足が沼田の足と当たったって感じなので沼田としては納得できないのは理解できます。

ところでPK戦でも2本止めればスーパーヒーローですけど…ねえ…(^_^;)

77分に新井→小池、琉球は池田→茂木へと交代。茂木は左SHに入り
上原がトップ下清武がCFへ移動。推進力のある選手を入れてきました。

琉球は残り10分切った中でも保持した時に前に出てきます。シュートで終わったりスペースに出して合わなかった形ならカウンターを受ける事がない分セーフティに攻撃を終えられますけど、時間を稼ぐって感じはないですね。

86分に加藤と福村と佐藤凌我→奈良輪と大雅と竜士へと交代して3-1-4-2へ変更。4-4-2ブロックをより配置で殴りやすくしようって事なんでしょうか。

琉球は金井と風間宏矢→鳥養とハモンへと交代。

89分の得点は大雅のバックパスで琉球がラインを上げようとしたタイミングで梶川からのクロスを沼田の背中から入ってきた小池が上手く合わせました。もちろんクロスの質やヘディングの合わせ方や当て方が良かったのはありますけどようやくやりたい形で取れたって感じもあります。

押し込む展開が続きますが、もう少しシンプル背後を狙ってもいいかなとは思いました。

押し込む展開のまま終了。



最後に、ビルドアップや崩しのバリエーションが増えてプレッシャーラインを越えたり空いた所を使って前進し、ボールを保持して主導権を握れてましたが、仕掛けと崩しのディテールの部分をもっと詰めていけたらいいですね。

守備の所で相手にしっかり寄せて時間と選択肢を奪う所やトランジションの反応は維持できてますし、このまま継続し続ける事が大切なので続けていってもらいたいです。

梶川のコメント

ただ、相手を引きつけて良い形まで行っている中、もっと周りを使ったらより良いシュートが打てたというシーンも前半は多く見受けられました。シュートに行くのは悪くないですが、個人個人とならずにチームとして勝つために、というところではもっとしっかりと質を上げたり、考え方ももう少し変える必要があると思います。

加藤もそうなんですけど、こういう所がしっかり見えているのは流石だなと。

「個を出すな」、「チームのためだけにプレーしろ」というわけではなく、ただ前提を理解した上でチームの勝ちに繋がるようにやってほしいと感じています。

晃樹のコメント

ここ最近は自分たちのサッカーを突き詰める部分、試合において相手を見ながらやるべきことをこなすという部分のバランスが取れているように見えますが?

どっちが良くてどっちが悪いとは言えない部分ですが、本当に今はそういう部分のバランスはうまく取れていると思います。決めごとが少なくなったぶん、結構自由に動けたりしているので、それが良いプレーに繋がることもあるので、良いバランスだと思います。

ここの部分で梶川と晃樹に齟齬のようなものが出てるんですが、決めこどが少なくなって自由に動き(主に前に行き過ぎて)空いたスペースを使われていたシーンもありましたし、梶川の言う前提を理解した上でが組織戦術では大事なので、規律の中で選べる選択肢が少し増えた、網の目が少し荒くなったので幅を出せる位のニュアンスの方がいいかなと。