小林監督の詳細な分析インタビューから始まったアウェイ北九州戦。ヴェルディ保持時3-2-5非保持時4-4-2。北九州保持時2-1-3-4~2-2-6非保持時4-4-2。
序盤の北九州は大きく蹴ってボールを渡してからのカウンタープレスで押し込んできます。
ヴェルディは奪ったら前線に蹴って陣地回復&小池を走らせるとまずはリスクを負わずに対応するといった所。
北九州はバックパスをスイッチにしてキーパーにまで追ってきて時間を奪ってきますし、蹴らせたボールを回収してのバックパスをGKの松井が20秒くらいボールを足元に置いてましたので、ここまで追わせて陣形を間延びさせるような撒き餌もしてきます。
ヴェルディも奪われた時のカウンタープレスが早く蹴らせて回収はできてるんですが北九州の寄せの早さもあって試合のテンポが上がってる分ミスが増え自分達のテンポが中々作れません。北九州のプレスは相馬監督時代の町田みたいにサイドの密集地帯に追い込み圧殺するといった感じなのでどこかでテンポを落とせる所を作れれば主導権を握れそうなんですが
大宮戦でも左SBを逆サイドに張らせて前進してましたが、進めればそれでいいし相手がスライドのをしようとすれば空いたスペースを使ってきます。ここは整理されてますね。
譲瑠が右サイドを見る事で相手にパスコースを消させて前進しましたが、スピードだけでなくこういった駆け引きでも剥がせるんですよね。こういうプレーは北九州の選手も上手いんですけどね
スローインでは今まではそのまま奪われてしまう事もありましたが、相手を剥がして前進できるシーンもありますし改善されてきてると思います。
サイド攻撃的の際は、お互いあまり高さがある訳ではないのでマイナスや逆サイドポケットへアーリー気味のクロスと簡単に放り込む事はしません。
10分、晃樹の落しを佐藤が小池に展開してハーフスペースを上がってきた奈良輪に落として逆サイドポケットへのクロスを松井がファンブルして潮音を抑えにいってた野口に当たりゴールに入ってしまいました。思わぬ形で先制。
こういう失点をするとメンタル面に影響出がちではあるんですがノッてるチームだけにあまり影響がなさそうな感じです。
12分の佐藤のスルーパスに抜け出した小池のファーストタッチは完璧だったんですがその次が少し大きかったですね。ここで追加点が取れれば展開も変わったかもしれませんが
13分、新垣のクロスが若狭とマテウスに当たり逆サイドにいた町野に押し込まれてすぐさま追いつかれます。まあこれでおあいこなんですけどね。
お互いトランジションの反応速度が早くて中盤の攻防が激しく、ここで相手のマークを外した方が決定機を作れるので緊張感のあるゲームになってきました。
北九州の2DHが縦関係になってるんですが、後ろにいる加藤に晃樹がプレスバックにいって起点を作らせないシーンもあるんですけど、ここを起点にして椿に楔を入れてから新垣や野口を使い右サイドのライン間から前進する事が多くなってきました。起点になっている加藤を誰が見張るのかがはっきりしてない様です。
北九州は仕掛けたり奪われる事を怖がってないですし、縦突破したらマイナスクロス、次は戻して逆サイドポケットへのクロスみたいにこの時今自分は何をすべきかの優先順位が定まっているようなので迷いなくプレーできてる分スムーズな攻撃ができてます。
相手の圧力を感じてるんでしょうけどマイボールにしてから急ぎ過ぎてボールを手放してしまい再攻撃を受けるようになってしまいペースを握られてきました。小林監督が言ってた奪った後のワンプレーが差になってる印象です。
前からプレスに行くと、北九州の戻りながらのドリブルで間延びされられてのレイオフで剥がされます。ここも整理されてますね。
CFは引き続き潮音と晃樹が入れ替えながりやってるんですけど、佐藤を含め入れ替えた時に空けたスペースを使われ前進されてるのでスカウティングも申し分ないようです。
33分にようやくらしいパス廻しができるようになったんですが、レイオフを敵陣向いて受けられないとバックパスを追うような形になり北九州のプレスのスイッチを入れてしまいます。いつもこういうミスはそう無いんですが、北九州のプレスが早く時間を削られて圧力を感じてるからなんでしょう。
北九州が押し込むと前線6枚になりますが、両SB幅、CFSH4枚が4バックの前に立ってボールが入ったらその隣の選手が裏を狙う構造のようです。
時よりカウンターにいけるチャンスがあるんですがあまり周りを見る余裕がないような印象です。失った後のカウンタープレスは効いてるんですが
距離感とタッチ数の違いはありますが、お互い進める時は進みレイオフで空いた所を使っていくんですが、北九州の方が選手同士の距離が広い分1つ飛ばすのも効果的になってますし、選択肢の中の優先順位が決まってる分判断が早いという印象ですね。前に出せる時は前、ダメなら横にズレて前、レイオフで前みたいな感じです。攻撃の迫力は凄いんですけど約束事はシンプルなのでその分判断に無駄な時間を使わないって印象です。
北九州の対策はボールを持ちたがるヴェルディからボールを取り上げて主導権を渡さないととてもシンプルでそれが自分達の良さを出す事にも繋がってます。もちろんヴェルディの攻め手で空いた所を使う事もやっているのでゲームプランもしっかりしてるんですが
このボール支配率なので後ろ重心になるのは仕方ないんですが、椿と福森を警戒してか小池の位置が低いのでカウンターが遅れてたので今節は小池が前て潮音が下がった方がよかったかもしれませんね。まあSBを上げて滑走路を阻害してくる対策はされてるんですが
いいところが無かった訳ではないですが、北九州の圧力で時間を削られミスも増えやりたい事がほとんど出せなかった前半。
後半頭から小池→山下へと交代。右サイドに展開してからチャンスメイクができていたので新しい槍をといった所でしょうか。
左サイドの密集地帯を繋いで突破してやる!と奪われた時のカウンタープレスも効かせながら突破するんですが、山下へのスルーパスがカットされた時に防波堤になれる選手がいないので北九州の左サイドから簡単に進まれ町野にシュートを撃たれました。ここにカバーリング要員を置いておきたかったですね。
その後は佐藤や譲瑠を経由して左右に散らして幅を取りながら前進します。基本的な構造は両チームともほとんど同じなんですが、保持時の幅の使い方には違いがありますね。北九州は縦方向ヴェルディは斜め前方向にベクトルが向いてるのでその分テンポに違いが出ます。
後半はビルドアップから幅を使って前進して北九州のサイドにハメこむプレスを回避しながら自分達のテンポでやれてるので、密集地帯でも三角形を作ったパス廻しができる時間帯が増えてきました。
北九州はここまでセットプレーで1点しか取れてないそうなんですが、全体的にサイズがある訳ではないので致し方ないんじゃないかなと。というよりそれだけインプレーで取れてるって事は相手を崩せてる証拠ですからね。
ただ、北九州が幅を使って攻撃してきた時にボールホルダーに寄せられておらずコンパクトなブロックを作れてないんですよね…
59分、町野に簡単に楔が入って右サイドの野口に展開されてからのクロスに町野が合わせて逆転されてしまいます。後半ここまで良かったんですが守備の質の差が出てしまったかなと…
この直後新垣→藤原へと交代
61分、晃樹→大久保へと交代。そのままCFに入ります。そういえば大久保にとってここは地元ですね。
63分にカウンターを受けたシーンは全体的前に行き過ぎてるんですよね…基本的に譲瑠が背走する状況を作ってはいけないので
スローインから相手を剥がすのは前半からできてましたし、奪われても奪い返して大久保→奈良輪と佐藤のワンツーで中に入ってきた時にポジションが被らないように大久保が止まるのはさすがだなと。奈良輪が中央に入っていきハーフスペースにいる佐藤から逆サイドポケットへの潮音のクロスを井出に落としてシュート。これは2度セーブした永井を誉めるしかないですね。オウンゴールになった形もそうでしたけどやりたい形でのシュートシーンがようやく出てきました。
68分のコーナーキックの守備から山下と潮音のポジションが入れ替わってます。右サイドは奈良輪が幅を取るので替えたんですかね?
71分、潮音→理仁へと交代。
飲水タイムの後北九州の運動量が少し落ちてきたんですが、カウンタープレスの時はいいんですけどブロック守備で加藤が2CF脇にいて起点を作る所に誰が寄せるか定まってないんですよね。こういう所の差で主導権を握れてないように見えます。
大久保が真ん中で起点を作ってレイオフで中央から前進できるようになってチャンスを作れました。晃樹はDH前で受ける事が多いのでここで潰される事もありましたが、大久保はライン間を使います。
82分、ディサロと椿→鈴木と内藤へと交代。
84分、譲瑠→松橋へと交代。右WGに入り理仁が左IH井出右IH佐藤がアンカーーへ移動。
87分、加藤→川上へと交代。
後半はヴェルディも押し返せてはいるんですが北九州のブロックが固いですし、中々奪えないので難しいですね…締まった試合はできてるんですが
ラストチャンスになったマテウスのシュートを鈴木が腕で止めてるんですけど…まあ福岡戦では得しましたからね…
そのまま終了。
後半押し返せてはいたんですが
最後に、小林監督はシンプルなロジックを積み重ねて強固なチームを作ってきたなと思う所が一番ですね。密集してるサイドに追い込んでサイドチェンジを許さずにヴェルディからボールを取り上げて主導権を奪い、逆サイドに出された時にサイドバックが高い位置でウイングにスムーズに運ばせず、攻撃時は両サイドバックを上げるのは選手に自信と勇気持たせられないとできませんからね。
ここに元々持ってる強固な守備とカウンタープレスの下地があるんですからこれだけ連勝してるのも納得です。
ヴェルディも後半修正して幅を広く使ってプレスを剥がして前進しフォワードに当ててからサイドを使って逆サイドポケットへのクロスとやりたい形は出せていたんですが組織としての完成度の差があったかなと。まあ小林監督相手に守備で上回れというのは厳しいんですけどね。
【TOP】2020明治安田生命J2リーグ第14節、ギラヴァンツ北九州戦(1-2)の試合レポートと監督・選手(奈良輪・藤田)コメントを公開しました。
— 東京ヴェルディ公式💚8.29(土)vs京都⛩️(味スタ)/8.30(日)vsマイナビ🎋(西が丘) (@TokyoVerdySTAFF) 2020年8月23日
こちらからご覧ください▶https://t.co/CKPUb9015d#verdy #giravanz pic.twitter.com/0hAmmNb34Z
奈良輪
今日は自分たちが悪かったのか、それ以上に相手が良かったのか、どちらのイメージでしょうか?
個人的な感想としては相手がシンプルに強いと感じました。試合後にシャワーを浴びていた際に近くの選手と話しましたが、『今日の相手はこれまでで一番強かった』と、素直に話せるような感じでした。相手も自分たちに対してどんな感想を持ったかどうかは気になるところですが、去年からここ数試合にかけては自分たちの対策をしてくるチームが多いですが、北九州はしっかりと自分たちのサッカーを貫いてきました。お互いに自分たちの長所を出した試合だったと思いますし、負けた自分が言うのもおかしいですが、やっていて楽しかったです。こういうゲームを勝てるようにやってきたいと思います。
負けた後のインタビューで楽しかったと言えればそれだけまだまだ伸び代があるって事ですからね。今回は一週間空きますので休みも取りながら課題に対して取り組んでいってもらいたいです。